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謎のいぼ治療

[最初の事件]

 所長が小学生高学年になったころ,左足のかかとに魚の目が出来た。
 親が裁縫用握りはさみで周囲の皮膚を切ってくれ,歩く時に痛みがない
ようにはしてくれていたが,いつも切りながら,「この真中の芯を引き抜くと

治るぞ。でもすごく痛いぞ」と言い続けたが,そのままにしておいた。(※1)

 そのうち,今度は左手の人差し指の爪の根元に,突然のいぼができた。
 これは痛くも痒くもないのだが,気になって仕方がなかった。

 そうこうしているうちに,所長はその指のいぼをコンパスでつついて遊ぶ
ようになっていた。だんだん,皮がむけてきて,しまいにはそのいぼが,
真中から二つに裂けてしまうような状態にまでなってしまった(※2)
 結構血が出てきてしまったので,帰宅後,まずは消毒と,オキシフルを
振りかけて,泡が出る光景を楽しんだ。

 そして,数日後,左手のいぼは,その傷の治癒と共に消え去った。

 そればかりか,時期を同じくして,左足の魚の目まで消えてしまったので
ある。(※3)






(※1)「すごく痛い」と言われて
    「よっしゃ,やってくれ」と
    言う子供はいないと思う。



(※2)特に痛みは感じなかった。
    というか,我慢できた。
    学校の授業中の出来事で
    ある。



(※3)もちろん,魚の目は周囲を
    はさみで切る以外は薬も
    何も塗布していない。


[再び...]

 最初の事件から,四半世紀が過ぎた,1999年初頭のこと。
 所長の息子Hの右足親指の第一関節付近から人差し指方向にいぼが
出来ているのを発見した。早速はさみでつついてみたところ,痛いという。
 そこで,自分は使用したことがない,いぼころり系薬品の使用を試みた。
よく動く子供の特性と値段を考えて,バンソウコウタイプを使った。
 使い続けること2週間....いぼの皮が白く変色してきた。説明書では
この白い部分をドンドン切っていけば,そのうちなくなると書いてある(※4)
 試みてはみたが,痛がっていくらも切れないし,血まで出るので,そのまま塗布を続けた。

 そのうち,Hが,「いぼがびらびらしてきた」と言うので見てみると,なんだか
剣山みたいに裂けたような形になっているではないか。
 この一本一本を切っていけば,そのうちなくなるだろうと考えた所長は
怖がるHの足をつかんで,そっと切っていった。
 だが,あんまりうまく切れないので,周囲のかさぶた状の皮膚をとり除こう
と,毛抜きで引っ張ったところ,そのビラビラの一本が抜け落ち,必要以上

の出血が始まってしまったのである。

  慌てた所長は,ティッシュで押さえたその傷に,またまたオキシフルを
ぶっ掛けて,せめて細菌感染だけでも防ごうと努力した。(※5)

 そうして,いぼ取りバンソウコウは中止となり,普通のバンドエイドで止血
したまま,数日が過ぎた。
 そして,一緒に入浴した際に,傷の具合を確認したところ...

 いぼが綺麗さっぱりなくなっているではないか...








(※4)本当にコロリを落ちるもの
    であると思いこんでいた。
    小学生の時にそう教えて
    くれた奴がいたのだ。
    許せん!!!








(※5)美しい親の愛である。


[考察]

 いくら考えても,わかろう筈もないが,一度ならず2度までものオキシフルに
よるいぼの治癒を目の当たりにして,所長はなにかきっと秘密があるはずだと
にらんでいる。(※6)

  それにしても不思議なのは,最初の事件で,足の魚の目まで消えてしまった
ことである。
 だれか,知っていたら教えてくれい!!!


 なお,所長は,現在でも再実験の機会を虎視眈々と狙っている。(※7)


  




(※6)もしかしたら,癌の
    治療にも有効かも
    しれないではないか。





(※7)いぼを見つけたら,
   ぜひ実験して結果を
   レポートして欲しい。

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