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パニック発生,その時

[目的]

  小さな子供は,親に守られながら成長する。
  時には反抗することもあるが(※1),それでも,親に絶対の信頼を置いて
生きている。
  そんな彼らに,想像もしない事態が発生した場合,どういう行動に出るかを,
幸いにしてその信頼関係が保たれている身内(※2)にて検証してみることにした。
 



(※1)よくあるが...


(※2)言わずと知れた,HとSである。

[方法]

  子供にとって,信頼する親に異常事態が発生することにより,パニック状態が
発生すると考えた所長は,以下の方法で実験を試みた。
  その方法とは,

  
死んだふり をすることである。(※3)



(※3)子供の心に発生する不安の嵐を
    想像すると胸が痛んだが,これ
    もすべては研究のためである。


[実験結果]

CASE1  ・・・ H(男子)の場合(※4)

  本を読んでいたHの近くで,所長はゴロゴロしていた。
  何か,質問しようと,Hが声をかけてきた機会を,所長は逃さなかった。
  すかさず,体を弛緩させ,まったく反応しなかった。呼吸さえも可能な限り
我慢するという徹底ぶりである。

  何度か声をかけたあと,近づいてその姿を見たHは,
  黙って,本を読みに帰って行った。.....

(考察)
  ただ,静かに寝ているとしか考えなかったらしい。(※5)



CASE2 ・・・ S(女子)の場合(※6)

  積み木で一人で遊んでいたSの近くで,所長は,またまた,ゴロゴロしていた。
  何やら「積み木でケーキを作った」と言いながら近づくSに気づいた所長は,
すかさず死体に変身した。
  呼んでも起きない所長を見たSは,突然,仰向けで倒れる所長の腹の上に
馬乗りになり,「起きろ」と絶叫し始めた。
  CASE1で,寝ていると勘違いされることを予想していた所長は,さらに実験を敢行した。

  どうやっても起きない所長に対して,Sが次にとった行動は,
「十数発に及ぶ,ビンタの嵐」であった

  それでも,実験を続けようとした所長の目に映った光景は,
「持ってきた積み木を両手に持つSの姿」であった。

もちろん,実験中止である。(※7)



(※4)Hが7歳の時の話である。










(※5)後日,確認したところ,死んで
    いるなどとは思いもよらず,寝て
    いるところを無理に起こして,
    叱られるのが恐かったらしい。

(※6)Sが3歳になったばかりの頃で
    ある。







(※7)大変な恐怖を感じた。
    あのまま続けていたら,いったい
    何が起こったのであろうか?

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