2003年の「40歳おっさん(東京在住)の単独夜間富士登山ルポ」を
聞いた末息子が、自分も富士山に登りたいと宣言してから、3年が経った。
その間、兄の夜間登頂、姉の山小屋泊・お鉢めぐり付き の結果を聞く
たびに、「自分も」と言い続けていた彼にも、ついにチャンスが回ってきた。

本番を前に、近場の山での足慣らしを時々実行してきたのだが、
その全てにおいて、同コースを先に体験した兄、姉の一歩先を行く
踏破能力を見せつけてくれ、引率のリーダ(父親、つまり私)から
チャレンジ権を授けられたのである。

時に、2006年8月**日 決行と相成ったのだが、ちょっと問題が。

この時期、五合目までの有料道路が通行止めとなり、

夜間に五合目まで車 → そのまま睡眠 → 早朝登山開始

という、高度に慣れろ作戦が使えないのだ。

また、小1の息子の性格上、姉のように山小屋で午後6時から
静かに睡眠、なんてことは絶対に不可能だと思われるので、

早い夕食を摂った後、車で自宅を出発。

スバルライン料金所近くの専用無料駐車場で仮眠

朝一番のバスで五合目へ

少し休んで、日帰り登山開始

とならざるを得なかった。


とは言え、富士登山はそんなに甘くないので、

@ 最低、兄が小3、姉が小2の初登山でそれぞれ到達した元祖室(3250m)まで。
A 実目標として、@の高度への到達。
B あわよくば登頂。

のAあたりを目指して、とにかく歩かせてみることにした。(いい加減)

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5:** 山麓駐車場発の始発バスに乗り、いざ五合目へ向けて出発。

朝飯用のおにぎりはいらないというので、ちょっと引っかかりながらも
自分の分を食す。
(リーダは目覚めが非常によい。子連れの緊張感もあり色々不安材料が
頭を駆け巡りはするが、そう言う時はまず食ってから考えようという性格なので)

五合目に着くと、恒例となった五合目「小御嶽神社」参りを終え、することも
ないので、とりあえず六合目に向けて出発した。

六合目まで歩を進めるも、なんか息子のペースがのらない様子。

朝飯食ってないからだろうと、六合目先の登り/下りの分岐点付近で
おにぎりを無理やり食わすも、えらく長〜い時間をかけて食う。

うちのガキ(男)どもはなんで寝起きが悪いのだろうと諦めながら
辛抱強く食い終わるのを待ち、結果的に中休止の後七合目を目指して
出発。

恒例のジグザグ登りで少し元気が出てきたとうに見えたので、
リーダ自ら率先して角々で深呼吸休憩を摂りながら、高度を
稼いでいく。

七合目の小屋がはっきり見えてきた頃には、それまで歩いて稼いで
きた高度を目の当たりにして、かなり嬉しそうな様子。

天候もキレイな晴れで、なかなか登山日和。

無事に七合目,花小屋 に到着。

岩登りもなんのそので、短い足で段差を次々にクリアしていくのは
頼もしいのだが、唇が真っ白なのが気にかかる。

**小屋に着いて休憩中、水を飲んだとたんにその水を戻してしまった。

突然のことにビックリすると共に、リーダの頭の中でパトライトが回り出し
緊急エスケープモード作動!! となる寸前によく見ると、唇の色が
いつも通りの真っ赤に復活しているではないか。

聞いてみると、六合目の食事以降急速に気分が悪くなり、ついに我慢
できなくなって吐いてしまったらすっきりしたという。
事実、その後は元気を取り戻し、吐いたものもほとんど水分だけで
服装の汚れも運よくほとんどなかったので、登山を続行することに
した。
(店先でいきなり吐かれて、洋服拭きの雑巾まで貸してくれた**小屋の
優しいおねーさん、ありがとう。 山小屋勤務が不釣合いなキレイな人でした)


そこからは、手のひらを返したように驀進を続ける息子。

なんか判らないが、外れかけてたギアがショックで元の鞘に収まったみたいな
急に滑らかに動き出したロボットを見ているようで、動けるならまあいいかと
経過を見る。

岩場は難なくクリアしたが、再び小石交じりの急坂が始まるとさすがに
スピードは落ちてくるが、無事に3000m地点も越え、
あせらずピッタリマークして共に登っていく。
(絶対に離れてはいけないという、兄の登山時の教訓を守って)

前半の遅れが効いたのか、やや遅れ気味で最低目標の元祖室(3250m)
に到達。

まだ行けそうなので、今回の本当の目標にチャレンジする。

どんどんきつくなる傾斜をだらだらと、「あと何回ジグザグ越えたら次の小屋だ」と
恒例のウソ八百を並べながら結構時間を食いながら、次々と
小屋をクリアしていく。

そうこうしているうちに、恒例の午後の風が麓からの雲を運んでくる
ようになり、だんだん肌寒くなってくる。

それでも頑張って、*:** 富士山ホテル に到着。

この先は、通常なら約2時間で山頂まで行けるのだが、そろそろ息子の
パワーも減衰し、山頂まで行ってもその後の下りが大変なことに
なってしまいそうだったので、今回はあたりでと息子の同意を得て
下る準備をする。

息子はと言えば、「これまでの初挑戦で、兄弟の中で一番高いところまで
来た。すごい。」と褒めちぎってやると、すっかりその気になって
鼻高々で、さっさと下って、五合目でお土産を買おうと別腹の元気が
そこからともなく沸いてきたかのような感じ。
やっぱり、ねじが数本たりないロボットみたいなやつだ。

下る前に、富士山ホテルのきれいなトイレで用を済ます。(もち論有料)

と、ここまで登ってくる間、ず〜っと思っていたことではあったが、
通過した全ての山小屋のトイレが、きれいになっていた。

50mくらい手前から臭気が漂っていたり、大人の小指ほどあるハエがブンブン
飛び回っていたりする、きったな〜いトイレはなく、すべてピッカピカ。

これだったら、毎回利用したいと思っていながら、便所があまりに汚いので
躊躇せざるを得なかった 蓬莱館 がやっと使えそうだと今後が期待できる。
(上の息子に、一度くらいは楽な富士登山+ご来迎+最高峰を経験させて
やりたいのだ。 ここのところ、嵐状態ばっかりだったので)

後は帰るだけと気分を一新した二人は、富士山ホテルの敷地を抜けて
下山道へと出、下山を開始する。

幸いに人も少なかったので、ストックを持たない息子の手をとりながら
二人三脚で6合目のトイレを目指しつづら折れを下っていく。

詳細は省略するが、やはり多少のひざ付近の痛みを感じながらも
トイレに到着、引き続き残りの道を進み、*:** 五合目に帰着。


各種お土産を選んでいる頃には、息子の元気は完全復活しており、
待っていたシャトルバスに乗り込み、愛車の待つ麓の無料駐車場までの
40分ほどのバス旅を楽しむ(実際はグーグーと爆睡)

下山道では少なかった人も、五合目までくるとドッと増え、バスには立ち
客もいるくらいだったが、五合目周辺のハイキング客も多かろうと
無視しで、帰りの高速運転の英気を養う。

全員、終点の無料駐車場までいくものと思い込んでいたが、料金所付近で
降りる人、さらにそこから乗ってくる人など、なんだかよくわからない状態
だったが、気にしない。


無事に愛車に帰りついた二人は、汚れた服を着替え、高速に乗り一路東京を
目指す。

途中、談合坂SAで恒例の休憩をとる。ここで、疲れ具合により夕食が摂れるか
どうか個性が出るところだが、今回は躊躇なく「ラーメン」を注文する息子の
姿があった。父親はカツ丼を食す。旨かった。

あとは、ひたすら自宅を目指すのみで、多少渋滞しながらも、

20:00頃、無事帰宅。

今後が楽しみだ。