日本一有名な...

                                作:ko2001

  「以上の結果に異存のある方はどうぞ....
   ないようなので,この内容にて一年後の実施を決定
   いたします。
   ただちに,関係各位への通告を実施願います。
   もちろん,トップシークレットで。
   では,解散いたします。             」

  時に1999年1月某日,米国の通称13人委員会と言われる
  秘密会議が開催され,ある,とてつもない秘密プロジェクトが
  発動された。それは,人類の未来を左右する重大な....



  1999年,日本では,過去に例を見ないほどのUFOとの遭遇事件が
  発生していた。
  それもすべて第3種接近遭遇,宇宙人との接触という形で。
  あまりの事態に,政府も調査組織を置かない訳にはいかず,
  そこにも,続々と報告が寄せられていた。
  当然,マスコミも大騒ぎを繰り返し,日本国中が宇宙人の話題一色と
  なったが,誰一人として,その本当の意味を知るものはいなかった。



  そして,約一年後の1999年12月某日,13人委員会の席上にて。
 
  「いよいよ,結果が出る日が近づいてきましたね。大統領」

  「うむ。大体,今まで何十年も宇宙人の好き勝手にさせておいて,なんら
  こちら側の意思表示をしなかったことが,宇宙人の勝手な行動を増長させる
  結果になったのだ。
  だが,これで,その忌まわしい過去に終止符を打つのだ。」

  「しかし,今更なのですが,そのような大事な事項の決定権をあのような
  国に任せてもよろしかったのでしょうか」

  「それは,一年も前にこの席上で決定したことだ。
  それに,あの国は,教育の程度はそこそこ高い割りに,簡単に情報操作
  されてしまうというおろかさを持っているので,われわれにとって都合
  がよいのだ。
  それに,あの国には,Mr.ヤオイがいる。彼はなかなかのエージェントだ。」

  「なるほど。それで,肝心の宇宙人どもの行動は?」

  「グレイ族はこの通知を受けると,即時行動に出ている。
  われわれは,今まで通りグレイ族との友好関係を維持できれば,他の宇宙人
  など,どうでもよいのだ。グレイ族から得た武器ですべて蹴散らしてやる。
  で,投票はいつだ?                        」

  「2000年の1月の終わりには結果が出る模様です。」


  「地球での日本国での遭遇作戦はすべて終了いたしました。
  しかし,船長,今回の作戦の目的はいったい何ですか?
  なぜ,今までそれほど重視していなかった日本での集中作戦の必要が?」

  「 われわれグレイ族は,今までアメリカと協定を結んで前線基地を設け,
  そこから地球全土への各種作戦を実施してきた。
  ところが,近年,この様子を嗅ぎ付けた他の宇宙人達もどんどん地球に
  侵攻してきており,勝手な行動をとり続けている。
  そこで,地球側がアメリカを中心に宇宙人受入委員会を作り,
  「地球上で一番有名な宇宙人コンテスト」を実施し,そこで一位に
  なった宇宙人のみに,地球での行動権を認めるという方針を打ち出した。
  それが,間もなく,この地球時間2000年初めに開催されるのだ。
  その投票対象国に選ばれたのが,日本国なのだ。
  我々の勝利は,確実であろう...                  」


  かくして,2000年が訪れると同時に,日本国では,緊急国勢調査と題して
  問題の宇宙人知名度調査が開始された。もちろん,実際の内容は秘密裏に...
  調査には,一ヶ月を要したが,いよいよ結果がでる日が来た。

  「大統領,予想通りの展開でしたね。」

  「もちろんだ。もう,結果を聞くまでもあるまい。」

  そして,13人委員会の席上にて,今回の投票結果が発表された。

  「それでは,集計結果を発表します。
  今回,日本で実施された,宇宙人知名度コンテストで一位をとり,
  地球人との正式協定の締結の栄誉に輝く宇宙人,それは...」

  関係者が固唾を飲んで見守る中,司会者は不思議そうな表情でこう言った。

  「にこちゃん大王です....」

                   END


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