一目惚れ
                                   作:ko2001


  君は,二人が初めて出会った時の事を覚えていますか?

  あれは,ある日曜日のお昼頃,人影もまばらな街の一角で,何気なく
  君の姿を見掛けた時だったんだ。

  静かな物腰の君は,なかなか僕に笑顔を見せてくれなかった。

  でも,その,ちょっと大人びた雰囲気に僕は参ってしまった。

  それから,二人の付き合いが始まったんだよね。
  期待に胸膨らませて,妨げるものは何もないと信じていた。

  だが,破局はすぐにやってきた。
  取って返したような,君の冷たい仕打ちに,僕は戸惑いの気持ちを隠せなかった。

  それでも,僕は信じ続けた。
  第一印象を。インスピレーションというやつを。

  僕はじっと耐えつづけた。ずっとずっと。

  でも,君から感じる,拒絶する想いは日増しに強くなり,
  ついには,肉体的苦痛を感じるまで追いつめられた。

  あぁ,何故だ? 何故,君は僕をこんなに拒絶し続けるのか?

  もう修復不可能なまでに広がってしまった溝を,埋める手段を僕は持たない。
  こんな形でさよならするのはつらいのだけれど,君が選んだことだから。

  僕を怨まないでおくれ。

  少しの間だけでっも,素敵な夢を見させてくれて,ありがとう。

  さようなら...


  やっぱり,あかんなぁ,見た目で選ぶんは。

  もう履くの止めよ,この靴。


                    END


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