緊急事態
作:ko2001
≪1999年9月15日 ロエター共同電
トップニュース≫
「 日本時間 9月12日16時34分に打ち上げられた小型シャトルにて,
建設中の宇宙ステーション
フリーダムの居住楝の修理作業に単独で向かった
日本人飛行士
長屋さんとの連絡が途絶えていることが,判明しました。
モニターカメラを通して確認したところ,長屋氏と思われる影が確認できる
そうですが,身動きせず,居住楝内を漂っているとのことです。
NASAからは,急遽救助用大型シャトルを編成し,今夜20;40頃打ち上げ
る予定であると発表があり,安否が気遣われるなか,一刻も早い救助が待たれて
います。 」
≪1999年9月20日 ロエター共同電≫
「
フリーダムに無事到着した,救助用シャトルのクルーにより,フリーダム居住楝内で
漂っていた,日本人宇宙飛行士
長屋さんの死亡が確認されました。
長屋氏は宇宙服に入ったまま死んでおり,居住楝の空気も満たされているとのことで
未知の細菌による汚染も考えられるため,急遽,特殊装備を別シャトルにて送り込む
準備をしていると,NASA広報部から伝えられています。
」
≪1999年9月24日 読買新聞≫
宇宙ステーションで変死した,日本人宇宙飛行士の遺体は,無事特殊部隊により
回収され,9月25日PMに,デンバー空軍基地に帰還予定。
ただし,遺体は特殊パッケージにて封印されているため,宇宙服に装備のテレメータログ
(注:飛行士の健康状態を記録する機器)の回収には至っておらず,死因の究明には,尚も
時間がかかる見込み。
≪1999年9月24日10:20
ロエター共同電≫
救助シャトルの着陸地として予定されている,デンバー空軍基地のあるカリフォルニア州議会は
早朝からの緊急州議会によって,シャトル着陸の拒否を議決。謎の細菌による汚染の危険が
あるためとのこと。州知事もこれを承認。シャトルの着陸が不可能に。
≪1999年9月24日AM
ロエター共同電≫
救助シャトルの着陸拒否,アメリカの全州にて可決。
シャトルの帰国は不可能に...
≪1999年9月24日 読買新聞夕刊≫
御布施総理は,クレントン大統領の要請により,日本への着陸の可能性を検討。
野党議員らが猛反対。国会が荒れに荒れる。
≪1999年9月25日 読買新聞朝刊≫
御布施総理,国会質疑の答弁で,「細菌汚染の危険性が皆無でなないので,大都市近辺への
着陸は無理。着陸場所は沖縄しかない」と暴言を吐き,退陣決議が野党より出される予定。
≪1999年9月25日PM
ロエター共同電≫
NASAは,帰還の目処が立たないシャトルの救助クルーへの物資送付のため,退役した
チャレンジャーUの打ち上げを決定。これにより,NASAのシャトルはすべて宇宙に浮かぶ
事になり,帰還しない限り,次のミッションの予定は延期確実となる模様。
≪1999年9月25日最終
ロエター共同電≫
NASAは,今後の宇宙開発計画に,著しい影響があるとして,日本政府に対して,
総額,3000億ドルの賠償金を求める訴えを連邦裁判所に起こした。
≪1999年9月26日
朝目新聞朝刊見出し≫
宇宙飛行士の死。日本経済に大打撃。
≪1999年9月28日 ロシア
モスクワ電≫
「
補償があれば,ロシア領内への着陸を許可する用意がある。」
≪1999年9月28日 アメリカ
ホワイトハウス広報部≫
「
ロシアからの着陸許可は,我が国の国防に重大な影響を及ぼす可能性があり,はなはだ
遺憾である。大統領は,既に地中海に空母4隻の展開を指示。
」
≪1999年9月29日AM
ロエター共同電≫
ロシア軍が一斉に南下を開始。一触即発の危機に!!」
≪1999年9月29日AM BBC電≫
日本人飛行士の死は,完全な密室殺人。ホームズを生んだ英国の威信にかけて
謎を解明すると発表。(英国推理協会談)
≪1999年9月29日PM BBC電≫
推理協会は先に元ダイアナ妃の死の謎を解くべきだと,英国宇宙旅行協会が,猛反発。
≪1999年9月30日
朝目新聞朝刊見出し≫
御布施内閣総辞職。
国勢選挙に向けて,議員故郷に散る。
≪1999年10月2日 ロエター共同電≫
カナダ在住の,マリー・グリフィスちゃん(8歳)からの手紙を読んだクレントン大統領は
急遽,アメリカ国内への着陸を指示。目には涙が...。
マリーちゃんからの手紙には,以下の内容が書かれていた。
「どうして早く助けてあげないの?」
≪1999年10月4日 ロエター共同電≫
飛行開始から20日ぶりに,日本人宇宙飛行士の遺体回収さる。
連邦裁判所は,日本政府に対して,米国産作物の輸入関税撤廃と,日本製品の3ヶ月間の
米国への輸出禁止を条件に,賠償金額を400億ドルにする和解案を提示。
日本政府は,この条件での和解を希望するとの見解を表明。
≪1999年10月6日 ロエター共同電≫
日本人宇宙飛行士の死因は,ただの窒息死と判明。
テレメータ情報の解析が続けられている。
≪1999年10月8日 ロエター共同電≫
日本人宇宙飛行士の窒息の原因は,宇宙服を着用中の睡眠による酸欠が原因と判明。
≪1999年10月9日
朝目新聞朝刊見出し≫
宇宙飛行士,居眠りで窒息死!!
≪1999年10月9日
読買新聞朝刊見出し≫
ヘルメットの外には,大量の酸素が...うっかり居眠り。
≪スポーツ新聞各紙≫
居眠り男,世界に大迷惑。それでも宇宙飛行士か!!
≪1999年9月26日
ニュースステーション≫
「...この,日本経済を混乱に落としいれた張本人,長屋飛行士とはどんな人だった
のでしょうか?この長屋八兵衛氏に,生前より親交のあった御隠居さん(仮名)
へのインタビューをどうぞ。」
「御隠居さん,長屋氏はどのような方でしたか?」
「死人を悪う言うのは気が進まん。あいつは素直なええやつやった。
でも、ここだけの話,
あいつは正真正銘のアホや。」
END
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