世紀末の風景3
                            作:ko2001


チャカチャンリンチャンリンチャンリン..ドンドン。


エー,またまたバカバカしいお話を一席。

ドンドンドンッ,ドンドンドンッ
「ご隠居はん,ご隠居はん....いてまっか,ご隠居はん!!」

「なんやねん,やかましいなぁ。なんや,おまはんかいな。
 相変わらず,アホな顔しとるのう。          」

「へへぇ,おおきに。....ちゃいまんがな。
 えらいことでっせ,ご隠居はん。       」

「なんや,やかましいなぁ。今,帳簿つけの最中やさかい
 ちょっと待っとり。
 おーい,だれか,お茶でも出したって。羊羹もあったやろ」

「これは,また,うまそうな羊羹ですな。ほな,お言葉に甘えて。
 クチョ クチョ こりゃうまいわ。ええとこの羊羹さんですな。
 これは。クチョ クチョ。ふまいわ,ホグホグ       」

「やかましいなぁ。黙って食い。」

「ずずずー。お茶もおいしいですな。ハー,ごっつぉーはんです。
 ほな,さいなら。                    」

「おいおい,おまはん,なんか用事とちごたんかいな」

「あーそうでしたわ。えらいこってすわ,ご隠居はん。
 さっき,ニュースで.....          」

「知ってるがな。今晩,地球が滅亡するちゅうんやろ?」

「知ってるがなって,ご隠居,今晩でっせ。今晩。
 ルパンが激突して小便する言うて...」

「次元が衝突して消滅する や。無理やりやな」

「そんで,どないしまんねん。ご隠居はん。わたいまだしたい
 ことが一杯ありますねんで。どないしょー...」

「慌ててもしゃーないがな。なるようにしかならへんねんさかい。
 ちょうどええわ。ええ酒があるさかい,今晩は一緒に飲み
 明かそか。                      」

「こんな日に,こんなじいさんと一緒でっか。情けない」

「いらんかったらええで。わし一人で飲むさかい。」

「い,いただきます。」

てなことで,男二人で注しつ注されつ,エー気分になって
きております。

「な,八兵衛。うまい酒やろ。これが新潟の雪で育った...」

「もう,そんなんどうでもよろしいがな。もう一杯おくれやす」

「そやけど,もうこんな時間やで。別になんてことあらへんがな」

「でもご隠居,さっき,なんやピカッと光りましたで。」

「それがどないしてん。おまえもわしも,ほれ,そこに左官の
 茂吉もちゃんといてるがな。
 あら,やっぱりデマやったんやなぁ。         」

「はぁ,ほんに。心配して損しましたわ。ささ,もう一杯」

「なぁ,八兵衛よ。これっちゅうのも,三度三度のお供えを
 かかさんと,ちゃんとお奉りさせてもろうてるさかいやと
 思うわ。鰯の頭も信心からなんて言うけども,神も仏も
 ちゃんとおりはるんやで。今夜は飲み明かそか。」

「へい,ご一緒させていただきます。」

「ほんなら,天の神さん方とも乾杯や。」

「乾杯!!!」

     ・
     ・

「ご隠居はん」

「なんや」

「今晩はまた,空気も澄んで,ええ天気でんな。」

「そうやな。雲もないようやな」

「ええ天気ですわな?」

「そうや,ちゅうてるがな」

「そんなら,なんで星のひとつも出てませんねん?」


             END