世紀末の風景
作：ko2001
1998年08月27日
地球外生命体研究所，アリゾナ州 アメリカ
「アレシボ天文台から入電。25日より受信中の電波は，依然一定のリズム
の信号のままであり，パターンの変化は見られない，とのことです，博士
」
「信号パターンの解析状況は？」
「キー情報がないので，困難を極めています」
「．．．．」
1998年09月13日
連邦政府ビル８Ｆ第３会議室，ワシントンD.C.
アメリカ
「ＪＰＬからの情報では，ハッブルの画像データに写っていた物体は，赤道
上空160万km上空で静止したまま動いていないとのことです。」
「アレシボの電波の発信元が，これであると言うのは確かか？
」
「はい。アリゾナ，フランス，野辺山の電波望遠鏡からも同じ結果が報告
されています。ただ，依然，信号の内容は把握できておりません。」
「いったい，何者なんだ．．．．」
「やはり，地球侵攻を企むエイリアンの仕業でしょうか？
」
「馬鹿を言え。これから行きますと宣言してくる敵がどこにいる？
ＳＦ小説の読み過ぎだ。 」
「なるほど．．．」
1998年11月18日 富士五合目，山梨県 日本
「あっ，今のそうでしょ？ ほら，また。
わー，見えた見えた。」
「えー，おれ全然見えないよ。どこどこ？
」
「ほら，また流れた。そっちじゃなくて，こっち見るのよ，こっち。
」
「ウォーッ，見えたぞ。あっ，今度は長いぞ。スゲー
」
・
・
・
．．．今年の９月頃より断続的に数を増していた流星の数は，昨夜から
未明にかけて全国的に見られた獅子座流星群によりピークを迎えたと
思われ，期待された流星雨とは言い難かったものの，近年希に見る
出現数を誇り，見る人を楽しませました。
今回の流星群の極大時間に当たった北大西洋上空では，一時間に
最大３００００個以上の流星が観測されたと，ユーロ，NASAの合同
調査チームから報告されており，各国天文台では，流星塵が増加した
との報告も入っています。
次のニュースです。．．．
・
・
1998年12月24日
国立衛生研究所，フロリダ州 アメリカ
「今日はイブだぜ。まったく。こんな時に，なんてこった」
「ぼやくなよ。今年のインフルエンザはいつもと型が一致しないんだ。
早く特定しないと，また死者が出るぞ。」
「もう，アジア地域では大流行してるじゃないか。我が国でもワクチンは
結局，間に合わないぞ。」
「これも，仕事さ。さあ，早く終えて帰ろうぜ。」
1999年02月14日 東京 日本
．．．昨年末から，全国的に猛威を奮っているインフルエンザですが，
これまで発生が確認されていない型のウイルスのため，有効な
ワクチンもなく，これまでに２００万人ほどの患者が確認されて
います。
ただ，今回のインフルエンザは，特に思春期以降の女性がかかる
率が非常に高く，特に妊産婦の間での発病が大きな問題となって
いましたが，一過性の発熱と腹痛のみが主な症状で，一週間程度で
回復するため，重症患者の報告は確認されていません。
ただ，今年は人込みを避ける女性が多いせいか，バレンタインデーの
今日も，各百貨店などへの人手が少なく，かなりの減収が見込まれて．．．
1999年06月12日
国立衛生研究所，フロリダ州 アメリカ
「腹部肥大が見られた感染マウスの卵巣から，異常が発見されました。
インフルエンザウイルスは，卵巣で集中的に増殖しており，今回の
症状の腹痛がこれにあたります。」
「そんなことは，もうとっくにわかっているではないか。」
「いえ，次の映像をご覧ください。左が正常なマウスの卵子の染色体，
右が感染マウスの卵子の染色体です。ご覧になればお分かりのように，
第９，第１１，第１６
染色体に，何らかの異変が起きています。」
「なんと。人間にもこれは．．．．」
「はい。最近感染した妊産婦から採取した卵子にも，同様の変異が
確認されています。」
「で，その遺伝子のゲノムコードは解明されているのか？
」
「残念ながら，まだです。ただし，生体構造の構築には無関係ではないとの
見方が有力です。 」
「ということは．．．．」
1999年07月18日 サンジガ病院，ペイロウ郡
インドネシア
一人の若い女性が出産した。
だが，その子供は，．．．．
一九九九年七の月
恐怖の大王が空から降ってくるだろう
アンゴルモワの大王を蘇らせるために
その前後の期間 マルスは幸福の名の元に支配するだろう
ＥＮＤ
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