古美術 谷口


本ページは掛軸の取り扱いや保管については初心者の方、取り扱いに不慣れな方、不安に思われておられる方々の為に、簡単な分かりやすい「画像 付き掛軸取り扱いページ」です。本来の伝統的な手法と若干違いがあるかもしれませんが、一番一般的で簡単な方法として説明しております。
掛軸の取り出し、掛け方
まず、箱の蓋を開け矢印の部位をもって摘み上げるように持ち上げる。あまり深く考えないで自然に。
矢印の部分を引っ張ると締めが解けるようになっています。軸を持つ手は自然にやわらかく。
「矢筈(やはず)」といわれる棒を使い軸紐に掛けて軸をつるす。その際、片手に矢筈、もう片手で優しくしたから軸を持ち下方にゆっくりと滑らすようにたらす。巻きの最後まで手を離さないこと。
掛軸の巻き取り方
両軸先を持ち、掛軸の半分くらいまで(自分の目線くらい)緩やか目に巻いていく。そこで片手で軸をもう片手で矢筈を持ち、矢筈を軸紐にかけて吊り上げ(矢筈で軸紐−片手で中途巻きの軸)突っ張って状態のまま矢はずを側面から右もしくは左にゆっくりと下方に下げる。丁度軸自体を180度回転させるように。そこで矢はずを離し軸の先端部が下に垂れた状態で両軸先を持つ。ゆっくりと巻き上げていく。
風帯(ふうたい)のあるものについて
風帯とは掛軸の飾りの一種で付いているものがある。大抵は2本なのだが洒落幅として「一本風帯」という物もある。
風帯はまず片側を折り目に沿っており(画像上部参考)その上から反対側をまた折り目に沿って折る。(画像下部)決して巻き癖にそって垂らしたまま巻き上げないこと。
風帯もたたみ、すべて巻き終えると両軸先を持って均一平行に巻き締める。その際あまり力を加えすぎないように(図がこすれて胡粉のあるものは剥がれます)。たるまない程度に巻き締めるだけです。
巻紐を中央部よりややどちらかによせ、そこから紐を巻いていく。紐が重ならないように、隙間が空かないように順に。(画像の状態程度まで。)
画像のように残った紐を軸紐に上からくぐらせる。
くぐらせた紐をループ状のまま、反対側の軸紐に下から上へとくぐらせる。。
ループ状のままくぐらせると、最後に左側に残った紐先とループ部とが均一の長さになるよう絞り締める。
掛軸の保管方法
共箱でない木箱や購入時に無地の状態での箱だと押入れ等に保管した際、いちいち中身を空けてから確認しなければならない。かといって箱に直接墨で書き込むには相当の技法が必要。そこで箱の「あご」といわれる部分(画像矢印部)に和紙にて「作者名と画題」などを墨で書いて貼り付けると保管上分かりやすい。書き損じでも何度でも書き直せるので気楽に書ける。また和紙が不必要になった時は濡れ雑巾等でこすれば簡単に剥がすことができる。
保管場所や温度はさほど気にする必要もないでしょう。箱に入れた状態で高温・多湿を避ければまず問題はありません。日本の気候だとシミが出来るような場所といえば「風呂場」や「洗面所」くらいですが、そんな場所に掛軸を保管される方もいないでしょう。また掛けている際には水分だけは絶対に避けましょう。例(濡れた手で触る、濡れ雑巾でこするなど)シミの原因になります。
掛軸の関係部材
「風鎮(ふうちん)」
掛軸が風圧などであおられないようにするための重り。百貨店や古美術・美術店等で購入することができ、材質も多種にわたる。
どうしても付けなければいけないものでもなく、「あれば尚良し」くらいの感覚で。
「矢筈」
これは上記で説明していましたが、掛軸を掛ける際絶対に必要なもの。適当な棒を加工して製作することもできるでしょうが、さほど金額の高いものでもありません。これも百貨店や古美術・美術店等で購入することができます。
「防虫香」
掛軸を虫から守りまた、香を軸に残すもの。衣料用防虫剤で代用される方もいますが逆に臭いが軸に付着することがあります。保管場所の説明にも記述しておりましたが、高温・多湿をさけて3ヶ月に一度くらいは天気のいい日に掛けて風を通してやることで防虫香は必要ないかと。ただし、数年間ほど箱に入れたままなどの場合は防虫香をお勧めします。
百貨店、表具店、美術店等で購入可能。
慣れてくるとそれほど難しいことではありません。数回こなされるとこのページは見る必要がなくなるでしょう。また表具の修復についてですが、「オレ」「シミ」「虫舐め跡」「欠損」などはある程度表具修復で回復します。紙表具や新しい表具なら別ですが元から古い表具になっている掛軸はよほどの欠損がない限り「打ち直し」にてそのまま活用することをお勧めします。古い表具も美術品の一部です。当方表具修理代行いたします。作業内容によって金額に大差がございます。まずはメールにてご相談ください。


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