夢  青い飛行機

まどろみの中で、
腹のせりでた男の姿を見た。
口には立派な髭、
胸には勲章が並んだ
大袈裟な将軍

右手には、
ひび割れた皮の手袋。
左手には、
ゴーグルの付いた皮の帽子。
将軍はだまって差し出し、
ドアの方に顎をしゃくった。

皮の帽子と手袋を身に付け、
指示されるままに、
パジャマ姿のまま玄関へ。

外は月の光で明るく、
団地の白い壁も輝いていた。
そして
街路灯の下には車ではなくて、
青い飛行機。

将軍がクランク棒を回し、
プロペラは勢いよく回り始めた。
操縦桿を握りしめながら、
スロットルを開くと、
ブルブルと震わせながら動き始める。

ここは団地の外周路。
青い飛行機は、不法駐車の車を避けながら滑走する。
わずかな直線を見つけ、
速度を確認し、
操縦桿を引いた。

かろうじて、電線をくぐり抜け、空へ。
星空の下では向きもわからず、
団地を何度も周回する。

慣れたところで、曲芸飛行に挑戦。
宙返りを試みるが、
機種を上げると、即、失速。

手を振る将軍が目に入り、
しぶしぶの着陸。
ゲームよりも簡単な操縦に嬉しくなる。

自宅前まで滑走し、
車庫に入れるために、
ギアをバックにし、
いつものようにハンドルを回す・・・・・

将軍!!