ETC12




T女史所有

2012. 9

今は、山ガールと呼ばれるように、女性の方も多く登られているが、

40年前もおられたんだよね。

八ヶ岳の黒百合を目指していたのだが、

同じバスに乗り合わせていた方と、話すわけでもなく、

程よい間を保ちながら、登ってました。

彼女が少しずつ遅れ始め、登山道を曲がるごとに姿は見えなくなります。
 
買ったばかりのコンロに火をつけ、コーヒータイム。

沸き始めた頃、赤い帽子が見えてきました。

ちょっとドキドキしながら、大人気取りで声をかけた。


 「よかったら、一杯どうですか?」

 『ありがとう、先を急いでいますので。』


ニコッと微笑まれて先に行かれました。

汗をかいていても、なぜか涼しげな方でした。
 
彼女の姿が遠くに見えなくなる時、

腕を振ってくれました。

嬉しかったな〜




それだけのことなんですが、その姿は目に焼き付いています。