養鶏協会の方向性を問う



一次生産額が大手スーパーひとつの売上にも満たないで、流通業者に右顧左眄しながら経営を続ける弱小業界を率いる養鶏協会の立場が難しいことは重々承知して居る。臭い物に蓋をしろという積もりもない。だが業界内の事情にこんなに疎い執行部にもお目にかかったことはない。平時はいざ知らず緊急事態で必ず馬脚を表すようでは困る。

並立する生産者協会設立の子細は知らぬ。だが業界の意志を統一して事に当たり、せめてもの要求を通す努力をするときに、二本芯で旨く回るものだろうか。このメリットは何なのだろう。それとも生産者にとって養鶏協会は頼むに足らずということだろうか。

<愛鶏園>の創設者、斎藤 虎松さんの頃の<いねうし会>を覗いても、たった三つ違いで官民のお歴々を網羅するかたちで、良い意味での談合の機会があった。今は余りにもトンチンカンである。
浅田農産事件の第一声の非難に始まって、茨城の弱毒鳥インフルエンザの処置に関する意見、そして今回の国費を使っての、余り意味のないサルモネラ調査(それぞれの反対理由は繰り返し述べた)、そのどれを取っても業界の意見を集約しているとは到底思われない。

私達のように古いだけの鶏飼いから見れば、業界某誌が巻頭で指摘して居るようにもともと烏合の衆の業界人が右向け右で柔順すぎるのも何か不自然ではある。
改めて誰が悪いと云って居る訳ではなくまたその立場でもない。ただこれまで現場発信を繰り返してきた経緯から、一番大事な業界団体の方向性が一向に掴めないのが気掛かりなだけである。あえて執行部の悪口を云えば、結果はともかく誰の時代にこれこれのことをしたというような、お役人と同じ発想が民間団体にまで及んでいる気がしてならない。
何かやって、これこれの効果があったと公式見解でごまかすやりかただけは、せめて民間ではやってもらいたくないし、もともとその手法は通用しない。分かる者はちゃんと分かっているのだから。

サルモネラ問題は全くくだらない。調べるのなら繰り返すように生活環境全体について野生動物、家畜、ペット類、ゴキブリに至るまで隈無く調査すべきでSEは鶏と卵固有のものだとするようなたわごとを真に受けて、鶏だけしらべても無意味どころか弊害ばかりになる。こんな馬鹿げた協会ならないほうがいいことははっきりしている。

それにどんな馬鹿げたことでも、それが業界の意志ということなら行政側も取り上げざるを得なくなる。その図式のなんと多いことか。そのたびに個々の業者は窮地に立たされるのだが。

H18,9,20 篠原養鶏場  篠原一郎



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