人生80年とすると現在41歳の私はまさに人生の折り返し点に立っているといったところだろうか。だからこそ「結婚、そしてそれから・・・」の自分の歩みをまとめてみたいと思ったのかもしれない。後半の人生を新たな気持ちで始めるために・・・
20年前、特に地元市川市をテーマに、地域福祉とその実現の可能性を探っていた。当時「コミニュティ」ということばは、私にとって新鮮で、とても魅力的な響きがあった。単に地域という地理的な行政区分ではなく、コミニュティにはそこに住む人々が主体的にかかわる、相互援助的な意味合いが感じられた。それは村落共同体とか家とかいう、束縛を伴う、古いイメージではなく、新しい共同体を示唆していたように思う。
私にとって「住む町」とはそんな思い入れがあったにもかかわらず、結婚して実際に核家族として生活してみると、そこでまっていたのは閉鎖的な世界でしかなかった。「何かおかしい」と私の感性がつぶやきだした。
コミニュティで人々が人間らしく生きる。そして相互に助け合うことが可能になり、主体的に社会問題の解決に取り組む。そんな地域福祉のあり方への理想が、今また私の頭の中によみがえってきた。
自立へ向けての自分探しから始まった私の活動は、今新たに理想のコミニュティ、人々の新たな関わりへ向けて展開しようとしている。 私はこれまで多くの方々に励まされ、育てられてきた。アルゼンチンの友人たち、ブラジルの日伯援護協会の方々や多くの専門家たち、日系の老人の方々、日本の女性問題グループの先輩方・・・。これらの人々との出会いは私の人生の大切な宝物となっている。
今回執筆にあたって私を叱咤激励してくれた中学・高校時代の友人・遠藤佳子さんと私の読みにくい原稿から出版にまでこぎつけてくださった河嶋隆司氏には本当にお世話になってしまった。このバを借りてお礼を申し上げたいと思う。
最後に私をやさしく見守ってくれた双方の両親や姪、いつも家事に協力してくれた二人の娘達、そして私のよき理解者として私をしっかりと支えてくれた夫に心から感謝している。
皆さん、どうもありがとうございました。
1993年10月 石崎たかよ