援協へ行きだして、4ヶ月が過ぎた頃、事務局長の小畑氏に独居老人の家庭訪問という仕事を与えられた。援協では前年の1987年の7月に、サンパウロ在住の日系一世の一人暮らし老人について調査をした。今回は、その時の70名の調査票をもとに、一軒ずつ訪問し、その後の状況の「聞き取り調査」をするというというものだ。
ブラジルへ来て半年。サンパウロの地理さえろくにわからず、
「ショッピングセンターまで一人でいけた。医者のところまでバスで行けるようになった」
と喜んでいる程度の私に、たった一人で地図を頼りに、さまざまな、しかも場末の家々を訪問するという仕事はかなり難しい。私にできるのだろうか、不安ではあったが出会うであろう老人たちの話をまとめていくことは、きっとすばらしい仕事になるという魅力はあった。

結局ひきうけたものの、最初の何日間かは70名の調査票をながめてはため息をつく日々だった。どのようにはじめればいいのかもわからない。訪問の前に電話をしようと思っても、ほとんどが電話などない人ばかり。ハガキを出して訪問日を決めようか・・・。とにかくやりはじめなくては。とりあえず住所を見て援協事務所のある日本人街付近から訪ねてみることにした。


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