アルゼンチンに赴いた家族


マルビーナス戦争
そのころ、マルビーナス戦争があった。1982年、この国がイギリスと戦争をはじめたのである。フォークランド紛争、といったほうが日本人にはピンとくるかもしれない。ある朝、目覚めるとどのアパートの窓にもブルーと白のアルゼンチン国旗がかかげてある。はじめは遠い南の島の出来事なのであまり関係ないだろうと思っていたが、次第に周囲がざわついてきた。徴兵があるという。知人の息子もかりだされるらしい。死者も出ている。週刊誌には母親の手記が載っている。
アパートのエレベータに乗ると、階下のおばあさんがすかさず話し掛けてくる。
「さっきのテレビみたかい?イギリス船を撃沈したって。わが国もすごいじゃないか」
広場には多くの人が自国の優勢を祝して集まってきた。まるでサッカーの試合に勝ったときのようだ。テレビでは空襲警報をながしている。
結局敗戦という形で戦争も終わり、普通の生活に戻りはしたが、第二次大戦中日本国民が一部の情報しか知らされず、勝っているものとばかり思わされていたということもうなずけるような経験だった。


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