昨年の9月議会においてお知らせしましたように、行徳地区の広尾という場所に、石原製鋼所跡地(約3.9ha)を大洲のような防災公園とするために買い取るという議案が採択されました。
しかし、廃建屋つきで買い取ったところ、鉄の相場が上がり、整備費用がただ同然ということになってしまいました。当初見積もった7・5億円の予算はどうなる?

    ■土地取得経緯
   
  2003年7月:  石原製鋼からの土地の売却の申し出あり。市は都市基盤整備公団大洲防災公園を担当した現在の都市再生機構)に相談したが、大洲方式の「防災公園街区整備事業」は利用できず断念。
  2004年7月: 石原製鋼が土地を売却するに当たり公有地拡大法により申請。市は買取希望を打診。
都市再生機構を介して商談するも値 段があわずに断念。
  2004年8月: 市が単独で更地での交渉をするが、石原の同意得られず断念。
  2004年9月14日: 工場の廃建物つき(取り壊し作業は市負担)で交渉成立。
  2004年9月: 議会に追加議案提出 再生機構の見積もりで、解体工事費7・5億、土壌汚染対策費は6億、土地代33億円とともに総額で、47.2億円余りの債務負担が可決
  2004年10月28日: 売却契約成立
    ■取得目的
   
 
・  行徳にはもはや公共のためのまとまった土地を入手困難
倒産した工場跡地がマンション化し、基盤整備や児童対策(学校の受け入れ)に伴う経費増大の懸念
行徳地区は江戸川に阻まれ、避難地も少なく、災害時の大洲のような防災公園が必要
    ■私の判断
   
  当時、50億円からの予算外の債務負担をしてまでの緊急性の有無について、相当悩みました。財政難を理由に福祉削減を謳いながらの50億の出費。防災・街づくりというと補助金を出す国。それを一部利用して、公園整備をしていくことの善し悪し。苦渋の選択で賛成しました。
    ■債務負担行為決定を急いだ理由
   
 
・  石原製鋼側の債務者が売却を急いでおり、市が買わなければ、マンション業者に売ることになっていたため、議会の審議時間も調査時間も不十分だった
国の街づくり交付金を受けるためには、本年度中に土壌汚染対策と土造成を行わなければ時間的に間に合わない事情があった。 
    ■その後の状況の変化
   
無償で解体をやらせて欲しいとの申し出が複数あり。
 
・  北京オリンピックへ向けて、中国の建設ラッシュ
鉄鋼価格の高騰により、ただ同然の廃屋の鋼材が宝の山に!
  (1)解体に伴い発生するスクラップ(鉄)の売却収益が(2)解体工事費を上回り、利益が出るのではとの予測((1)−(2)=利益)
   
    ■今回の結論
   
 
・  そこで、全国でもまれな、「建物解体工事及び処分条件付有価物の売り払い」方式で、入札をする事になった。鉄の相場の変動や、有価物の見積もりを積算するにはまた数百万円の費用と時間がかかるため、解体工事を含めて、入札手続に必要な費用10万円で有価物を売りますという設定。
結果11社が参加
落札価格:3150万円!(解体工事もきちんとしてさらに3150万払ってでもこの事業の儲けが出ると踏んだ額)結果的には7.5億円の解体工事の出費はなくなり、逆に3150万円入ることになるという逆転劇。
    ■最大の問題点
   

7.5億円で解体工事を発注していたら丸損ということになったケースだった。
・  都市再生機構の見積もりを信じきってしまった。
行政も機構もそしてわれわれ議会人も、鉄鋼の価格高騰を認識できなかった。
情報収集能力が問われる事例
行政の入札方式は積算根拠に基づき、その妥当性を判断していく手法で、時間をかけて、議論して決定して行く議会制民主主義のルールで行われている。
「ビジネスチャンスは逃すな!」という経営手法は結果的には市民サービス向上にはなるが、こうした相場にまで、敏感でなければならず、逆にリスクもある。

 


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