| 第18話 逃 走 |
| コタロ−が来て二日目の夜、事件が起こりました。夕方の散歩に私がサスケを、カミサンがコタロ−を 連れて多摩川の河川敷に行きました。サスケはすでにコタロ−を「仲間」あるいは「兄弟」と言ってもいい ほどに認めています。家の中でも、しきりに「遊ぼうぜ」とちょっかいを出すし、コタロ−の行くとこ行くとこ について回ります(^^); 最初は2匹が「ガウッ!」と暴れだすと「ケンカだ!」と焦っていたんですが、よく見 てみると完全にジャレあっているのです。少なくともサスケは本気で噛む事などしないし、まさにジャレて ているのです。どういう訳かサスケは、すっかりコタロ−が気に入ってしまったようです。 |
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| ジャレ合うサスケとコタロ− |
| 河川敷に下りるなり、サスケは「早く放してくれぇ!コタロ−と遊ばせろ〜」とヒィヒィと鳴いて私とコタロ− を交互に見ています。リ−ドを放してやるなり、サスケとコタロ−は「ガウガウ」と言いながら遊び始めまし た。イヤイヤ、走る事走る事(^^); ものすごいスピ−ドで走り回りながら、お互いが交差するところで「ガウ ガウ」とジャレ、またお互いに走り出すという行動を繰り返します。こんな事いつまでもやってりゃ疲れます わな。しばらくすると、それぞれの行動を取り始めました。日は完全に落ちて回りは真っ暗です、その時、 初めて私達は「大きな間違い」をしていた事に気づきました。「コタロ−が見えない!」もちろん、サスケの 姿も見えません。しかし、サスケは「名前」も覚えてるし私達が呼べば戻ってくる事を知っています。ところ が、コタロ−は来て二日目そんな事分かるはずがないのです、いや私達はそこまでの飼い主になってい なかったと言った方がいいでしょう。真っ暗な、だだっ広い河川敷の端から端まで探す事は不可能です、 「コタロ−!」と覚えてもいないであろう名前を呼ぶしかありませんでした。小1時間探したでしょうか、や はり見つかりません。「これ以上は無理だな・・・。」「やっぱりノラの生活が良かったんだよ。」こんな会話 で諦めようとする私達。カミサンは懐中電灯を持って、もう一度探しに行きましたが無理でした。あの広い 河川敷で真っ暗な中、小さなコタロ−を探すと言う事は不可能に近いでしょう、まして動き回るんですから ね。私達の中で、「逃げたのは仕方がない、ただただ事故にだけは遭わないで欲しい。」そういう気持ち で一杯でした、それというのも河川敷に行く道すがらに交通量の多い道路があるんです。もし、コタロ−が ウチに来るまでに過ごしていた団地の一角に戻ろうとした場合はそこを通らなくてはならないのです。「ウ チに、イヤ私が拾ってさえ来なければ・・・」なんとも居た堪れない気持ちでした。その時、買い物に出た母 が帰るなり「なんか、犬だか猫だか分からなかったけど、コタロ−みたいのがウロウロしてたよ。」と言うで はありませんか!すっ飛んでベランダに出るカミサン。何故かサスケまでがベランダについていきます。し ばらくして、「いた!」カミサンが叫びました。今度は私達が走る走る(^^); いました!間違いなくコタロ−で す。「戻って来た」、「見つかった」よりも「事故に遭わずに良かった」と言うのが、その時の気持ちでした。 サスケはベランダから顔を出して私達がコタロ−を抱いて帰ってくるのを待っていました。「サスケ、お父さ んは帰ってこなかったけどコタロ−は帰ってきたよ。」 |
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