第14話 無言の抗議 |
父の通夜、葬儀は淡々と進められました。本当にたくさんの方が焼香にいらしてくださいました。 以前に書いた通り、サスケは「人見知りが激しい」ので、家の中でお留守番です。通夜の時も大人 しく、悪さもせずに留守番をしていました。もう二度と父は戻ってこない事を察しているようにベラン ダに出る事もなく、父の居場所だったソファ−の上で過ごしていたようです。私達は今のまま、母を 一人にする事は出来ないと考え、49日の納骨が終わるまで一緒に暮らす事にしました。「サスケ、 明日(告別式)が終われば、一緒にいるからな。明日一日、いい子にしてるんだぞ。」上目遣いで 私を見るサスケは、あきらめた様にため息をついていました。ところが、翌日の告別式の朝、散歩 から帰ったまでは良かったんですが親戚達も集まり、「じゃあ、行きましょうか。」と、なった時です。 ピン!っと耳を立てたサスケは一目散の玄関に向かって走り出したのです!通夜の時も、同じシ チュエ−ションだったんですが、その時は大人しく、「いってらっしゃい」状態でソファ−の上にいた のですが、この日は違いました。「僕も行くんだ!」と言っている様に先頭に立って出て行こうとす るんです。「ダメだよ、サスケ!お前はお留守番だろ!」と、私が言っても聞きゃあしません。必死 に私の手を振りほどいて飛び出そうとしています。「ひぃひぃ」と鳴くサスケを何とか家の中に残し 私達は出かけました。告別式が終わり、火葬場に向かう車の中で母が言いました。「サスケは今 日がお父さんと最後のお別れだって分かってたのかもしれないね・・・。」「!・・・なんて 可哀相な事をしてしまったんだろう!」実際にサスケがそう思っていたかどうかは定かではありま せん。勝手に私達がそう思っただけなんでしょうが、その時はサスケに申し訳ない気持ちで一杯 でした。「今晩は、目一杯遊んでやろう」と、思いながら玄関を開けました。「サスケ、ただいま! お父さんが帰ってきたよ!」「・・・・・」いつもなら、ダダ〜ッと飛び出してくるはずのサスケが出て きません。「おかしいな?」と、家に入ってビックリ!台所にこんもりとウンチが・・・ 当のサスケは例のソファ−の上で上目遣いで唖然とする私達を見ています(^^); 「お・・まえ・・・」 怒るに怒れない私達。これって、サスケの「無言の抗議」だったんでしょうねぇ。 |