近年手適用が容易で有効性な手法として利用されることの多い重回帰分析を不動産鑑定評価に使ってみました。(ちなみにアメリカの住宅地の価格は全て重回帰分析で算出されているようです)
現行の不動産鑑定評価では情報量が少なく、多面的な正確を持つ土地価格の適切な把握が困難と思われます。従って当事務所では不動産鑑定評価基準を定型的に遵守するのみならず、出来る限り価格の本質を追究、解明し室の高い鑑定評価書になるよう努力しています。価格と最寄り駅からの距離に関して強い相関関係があることが判明し、道路距離によって価格の大枠が把握されることが分かりました。しかし不動産の価格は最寄り駅からの距離のみならず他の多数の要因によって価格が形成されています。そこで不動産の価格を形成する要因を複数把握して、これらから不動産の価格を把握を重回帰分析によって求めます。
データはH22年地価公示価格で三鷹駅を最寄り駅とするものである。価格形成要因は多数あるが、ここでは地価公示で公表されている道路幅員、最寄り駅からの距離、容積率の3項目を価格形成要因としました。
三鷹駅を最寄り駅とする平成22年度の地価公示地の概要 |
実勢価格 |
道路幅員 |
駅距離 |
容積率 |
561千円 |
16.0m |
850m |
200% |
556千円 |
7.0m |
1,600m |
80% |
522千円 |
3.6m |
800m |
100% |
566千円 |
5.4m |
650m |
80% |
589千円 |
5.0m |
450m |
100% |
406千円 |
4.9m |
1,400m |
80% |
458千円 |
3.6m |
600m |
100% |
442千円 |
4.0m |
1,400m |
80% |
472千円 |
3.6m |
1,000m |
200% |
522千円 |
16.0m |
540m |
200% |
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上記のデータから重回帰分析により求めた土地の価格を求める式は下記の通りである。
y=577千円+6.445x1−0.0681x2−0.4035x3
x1=道路幅員
x2=三鷹駅からの距離
x3=容積率
下図は重回帰分析による推定値と実際の地価公示価格の関係を示したものです。
青点が公示価格、赤線は推定値が実際価格(ここでは公示価格)が100%一致した場合の直線です。青点が赤直線周辺に集まる程度が高いほど、重回帰分析によって求められた式が公示価格を良く現しているといえます。下図を見れば直線とは無関係に各点(公示価格)がバラついており、残念ながら求められた式は土地価格を求めることは難しいと判断されます。またExcelで求められた有意水準Fからも回帰式の意味がないという結果が得られました。