背景
証券取引所に上場している赤字企業が上場維持のために債務超過解消の必要がある場合に、債務超過額に見合う金銭出資を受け ることが出来ない、又はそのような金銭の具体的使途が見出せないときに不動産の現物出資が利用されるケースがみられるようになった。
このような増資の場合、資産額を少しでも増やしたい不動産の現物出資を受け取る会社(それに応じた株式を発行するので以下「発行企業」 という。株式の上場を維持したい既存株主、少しでも高く不動産を換価したいという現物出資者の三者の利害が一致してしまうため、
現物出資の目的となる不動産(以下 目的不動産という)の鑑定評価を行う不動産鑑定士等が関係者の思惑や利害に取り込まれてしまう という事態が生じやすい。
ここ数年、上場会社による、債務超過解消を目的とした不動産現物出資が少なからず見られたが、それたの目的不動産の中には 売却が困難な分譲別荘地や不採算のために閉鎖した宿泊施設等不動産の価格の見極めが非常に蒸すかしく不動産鑑定士の判断如何により
鑑定士の判断如何により鑑定評価額に大きな差が生じやすい物件が含まれ不動産鑑定士の判断の妥当性が問われる場面も散見される 状況である。
1.現物出資を目的とした不動産鑑定評価においては一般的責任に加えて次のような責任を果たす事が求められる。
(1)現物出資を目的とした不動産鑑定評価における説明責任 鑑定評価額等の不動産鑑定士の判断は、発行企業への出資者や融資した金融機関だけでなく取引先等の多くの利害関係者等が鑑定評価に
おける調査内容や判断根拠を把握することができるように鑑定評価書のなかで説明を尽くす必要がある。具体的には、現物出資を目的とした鑑定評価書においては
鑑定評価報告書の記載を工夫する等し、鑑定評価で用いた数値等の判断根拠を明示するとともに鑑定評価に採用した思料や参考にした統計数値等を美時事することにより、明示責任を十分に
果たさなければならない。
(2)現物出資を目的とした不動産鑑定評価における不動産鑑定士の法的責人 現物出資を目的とした鑑定評価を行った不動産鑑定士は、目的不動産の科学が定款に記載され、又は記録された価額に著しく不足するときは、注意を怠らなかったことを証明した場合を除き
会社に対して当該不足額を支払う義務を負う。
2.鑑定評価に起因する刑事責任
現物出資を目的とした不動産の鑑定評価については、鑑定評価の内容次第で、依頼者のほか証券市場にも悪影響をおよぼすことがある。このような場合、不動産鑑定士は、鑑定評価法上の責任や
ある。このような場合、不動産鑑定士は、鑑定評価法上の責任や 民事上の責任だけでなく、刑事責任を問われる可能性があることを認識すべきである。
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記載を 工夫する等しなければならない。;
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