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調布市に住む不動産鑑定士のコラムHEADLINE

不動産の遺産分割・遺産評価で気をつけたいポイント



  はじめに

遺産相続は、人生の中でもそう何度も経験するものではありません。

いざ当事者になると、勝手がわからずどうすればよいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。

遺産相続をなし崩しに進めてしまい、損を被ってしまったり、相続人間でトラブルに発展したりということは決して珍しいことではありません

そして相続する財産の中で大きなウエイトを占める場合が多いのが不動産。今回は、不動産の相続に関する注意点をご紹介します。

 

遺産分割における注意点

相続に関しては民法で基本原則が定められています。遺産を分割する際には民法に則って相続人が決まり、相続人ごとに決まった割合で分配される遺産を法定相続分と言います。これは不動産が遺産の場合でも同様です。しかし、遺言が残っている場合には、原則遺言に書かれている故人の遺志にしたがって相続人と相続割合が決定されます。民法でも、法定相続よりも遺言による遺産の相続の方を優先することが定められています。
遺産を分割する方法には、現物分割(遺産をそのままの形で分割する方法)、代償分割(特定の相続人に、その相続人の相続分を超える遺産を不動産等の現物で相続させ、代わりに代償として相続分に満たない遺産しか相続しない相続人に対し代償金を支払う方法)、換価分割(不動産等の遺産の一部もしくは全部を売却して、その代金を相続人で分ける方法)、共有分割(各相続人の持ち分を定めた上で、遺産を共有する形で相続する方法)の4種類があります。
注意しなければならないのは、常に相続される遺産がプラスであるとは限らないという点です。住宅ローンなどの借金(に限らず債務全て)も原則として相続されます。例えば相続財産が不動産のみの場合で、不動産の時価よりも住宅ローン残高の方が多ければ、相続するのは返済義務のみということになります。
遺産を分割する方法とは別に、相続する方法もいくつかあることを頭に入れておきましょう。相続の方法には、単純承認(故人の権利義務を無限に承認するという相続)、限定承認(相続によって得た財産の限度においてのみ債務を弁済するという留保付きでする相続)、相続放棄(故人の権利義務の一切を承継しないという相続)の3種類があることを頭に入れておく必要があります。
ここでの注意点は、自分に相続があったことを知った時から3ヶ月以内に相続形態を家庭裁判所において申述しなければ単純承認したものとみなされてしまう点、そして限定承認をするには、自分に相続があったと知った時から3ヶ月以内に相続財産の目録を作成して、家庭裁判所に提出をし、さらに共同相続人全員が共同して限定承認をする旨を申述しなければならない点です。

遺産評価における注意点

相続する時には、相続する財産の価値を把握する必要があります。預貯金や流動性のある有価証券などは時価が比較的わかりやすいですが、不動産はその土地や建築物の価値が一見して目に見えません。後にトラブルに発展させないためにもきちんと価値を評価する必要があります
しかし不動産は流動性が低く、個別性が高い、そして情報の非対称性が大きい(売り手と買い手に情報格差があるということ。これにより売り手は粗悪なものを高く売り、買い手にとっては低い値段でないと買うインセンティブが働かないため、市場に粗悪品が溢れてしまうこと、俗にいうレモン市場)という3つの特徴があるため、価値の確定が難しいのです。
そのため、不動産鑑定士に評価を依頼するのが賢明であるといえます。鑑定評価書を作成できるのは不動産鑑定士のみです。


おわりに
遺産分割や遺産評価に関しては、その場で合意したとしても、後々になって親族間の不和の原因となる場合もあります。そのような面も考慮した上で、慎重に協議を行わねばなりません。

時には故人の生前に受け取った生前贈与なども考慮し、遺産相続の分配バランスを取ることも求められます

ただ単に遺産を正確に分けようとするだけではなく、その後を見据えて遺産分配を行うことが相続人には求められているということを心に留めておきましょう