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Shade相談室
ここでは私が今まで見てきた参考書に載ってたものを寄せ集めた基礎知識を紹介します。マニュアルにもちゃんと載っていることがほとんどですけど。

注意!
旧バージョン『Shade Debut R4』を使用しています。
モデリング
閉じた線形状と開いた線形状
掃引体と回転体
自由曲面の性質
自由曲面の作成(1)
自由曲面の作成(2)
閉じた線形状の性質
メモリの節約
角の丸めと切り落とし(面取り)
面取り作業(基礎編)
面取り作業(応用編)
角の丸めと切り落としの注意点
角の丸めと切り落としの条件
表面材質
二次光沢
反射と荒さ
透明度と屈折率
メタリック
発光とソフトグロー
テクスチャー
リファレンス
光の作り方
炎の作り方(1)
炎の作り方(2)
煙の作り方


モデリング
ここではモデリングを中心にやっていきます。
閉じた線形状と開いた線形状

生徒「先生、閉じた線形状と開いた線形状ってありますよね?。これって何が閉じた開いたって事なんですか?。」
先生「これはコントロールポイントの始点と終点が閉じているか開いているかって事です。<図1>を見てください。どちらも四つのコントロールポイントで描かれた同じ線形状です。左下のポイントが始点で右下のポイントが終点です。」
生徒「なるほど。じゃあ、左が閉じた線形状で右が開いた線形状ですね。」
先生「そう。作るモノによって使い分けが必要になるだろう。」

掃引体と回転体

生徒「先生、掃引体と回転体ってのは?」
先生「じゃ、まず掃引体から。右の図を見て。この円を掃引体にするよ。[SOLID]の掃引を選びます。そしたら掃引の始点から終点までをドラッグします。この時に方向と距離を指定することになります。すると・・・、」

生徒「円柱になりましたね。」
先生「そう。円が上方向にドラッグしたぶんだけ引き伸ばされたわけだ。図では掃引の時に引く線は円からずれているけど、別にどこから引き始めてもいいんだよ。まあ引き伸ばしたい形状からドラッグし始めたほうがわかりやすいだろうけどね。」

先生「さて次は回転体だが、これは引いた線を軸に360度回転するわけだ。やってみるよ。右の図の形状を回転させます。」
生徒「この形状を回転させると・・・、丸い箱ができますね。」
先生「そうだ。回転体を作るときは断面図を書いてそれを回転させるというのが基本だね。」

生徒「まさしく回転体!」
先生「注意することは軸となる線を引く時に、カーソルの座標を確認しておこう。X、Y座標の位置があっていてもZ座標の位置がずれていたら変な回転体になってしまうぞ。」

自由曲面の性質

生徒「先生、この自由曲面ってのがよくわかりません。わかりやすく教えてください。」
先生「あのね、自由曲面は自由曲面パートに入っている線形状同士が結ばれた形状です。で、このパート内の一番上の線形状から下の線形状へ順番に結ばれていきます。<図1>を見てみて。四角形が上、中、下と三つ縦に並んでます。これを上、中、下の順番で自由曲面パートに入れてみましょう。すると<図2>のようになります。」
生徒「おっ。立体になりましたね。」
先生「ではココでブラウザ内の線形状の1番目と2番目を入れ替えて見ましょう。すると<図3>のようになります。」



生徒「なんかキノコみたいになりましたけど??」
先生「ついさっき言いましたが、パート内の上の線形状から順番に結ばれるわけですから位置を入れ替えた事によって、今まで上、中、下の順番で結ばれていたのが中、上、下という順番で結ばれたわけです。」
生徒「そうか。パート内の上から下へでしたね。」
先生「そう。では今度はまた元に戻してから二番目の四角形をY軸回転させてみましょう。90度回転させてみました。すると<図4>のようになります。」
生徒「あれ?。なんでねじれるんですか?。」
先生「それは、この場合四角形同士を結ぶわけですが、それぞれの線形状は同じ順番のコントロールポイント同士が結ばれます。つまり始点は始点同士。終点は終点同士。その間のポイントもそれぞれ同じように結ばれます。その結果このような形状になるわけです。」
生徒「じゃあ、同じ形状同士でも筆順が違っていれば形がねじれる訳ですね。」
先生「その通り。そうならない様にコントロールポイントの順番を把握しておく必要があります。そしてそれだけでなく、それぞれの線形状のコントロールポイントの数が同じでなければなりません。そうでないと結ぼうとするポイントが足りないわけですからダブッてしまい、やっぱり形状がおかしくなります。まあ大体は形状をコピーして移動させながら作ると思うから、その場合気にすることは無いけどね。」



自由曲面の作成(1)

先生「では立方体を作ってみましょう。」
生徒「えっと、まず四角を描いてコピー移動して・・・と。四角の筒が出来ましたね。」
先生「そう。でも筒の両端をふさがなければいけません。方法は<図1>の二通りが基本ですね。左が自由曲面とは別の線形状で蓋をする方法。右は自由曲面のみでふさぐ方法です。」
生徒「・・・・・。」
先生「いまいち理解できない様子だね。ではまず別の線形状でふさぐ方法でやっていきましょう。」

先生「左が君が作った筒だね。この状態から蓋をするわけですが、まず筒の両端の線形状を同じ場所にコピーします。この場合全部ですが。そしてコピーした線形状をそっくりそのまま自由曲面パートの外に出します。これでOK。」
生徒「ホントだ。」
先生「ちなみにこの構造は、掃引体を[変換]したときと同じでしょ?」
生徒「ああ、そう言えば。」
先生「では次に自由曲面のみでふさいで見ましょう。」

先生「まずさっきと同じように筒の両端の線形状を同じ位置にコピーします。そしたら今度は自由曲面の中の両端の線形状を選択して[MODEFY]の[一点に収束]を選択します。するとふさがります。<図3>」
生徒「・・・。先生、なんです一点に収束って?」
先生「これはね。選択した線形状のコントロールポイントを重心の一点に集めることなんだ。この場合、この一点に4つのコントロールポイントが集中したわけ。隙間の無い一点だから完璧にふさがれることになります。」
生徒「なるほど。でも二通りあるのはわかりましたが、どっちの方法を使ったほうがいいんですか?」
先生「実際は自由曲面のみでふさぐ方法のほうが多用されているように思えますね。自由曲面のみで構成されているから、不必要な「パート」が省けて容量も少なくすむしブラウザ内も整理されるからじゃないでしょうか。私もこっちの方をお勧めしますよ。」
生徒「じゃ、僕もこの方法でやっていくことにします。」

自由曲面の作成(2)

生徒「先生。一点に収束する方法で自由曲面を作っていたんですが、形状の中にコントロールポイントが収束されないから困ってます。この場合は別の線形状で蓋をする方法を使うしかないんですか?」
先生「いや、そんなことはないよ。このケースでは、ただ単に一点に収束した線形状を[MOVE]で移動してやればいいんだよ。ちゃんと線形状が外側に出ないような位置にね。<図1>」
生徒「あ、そっか。」
先生「あともう一つやり方があるんだ。一点に収束を選ばずに[MOVE]の[特別]を選んで、一点に収束したいところをクリックしてトランスフォーメーションの拡大縮小のところをX、Y、Z全て0にするんだ。収束させたい座標があるときはこの方法のほうがいいかもね。」

先生「じゃ、ここで君に問題だ。<図2>の形状を自由曲面のみをつかってふさぐ事はできるかな?」
生徒「じゃ、やってみましょう。えっとまず両端の線形状をコピーして一点に収束して、コレを[MOVE]で移動・・・あれ?どうしても線形状が凹型形状の外側にでちゃう。先生、これは別の線形状で蓋をするしかありませんね。<図3>」
先生「ブー。ちゃんと自由曲面のみでふさぐことができます。こういう場合は[一点に収束]を使わずにそれぞれのコントロールポイントを収束すればいいんです。」
生徒「?」

先生「自由曲面のみでふさぐときは無理矢理一点に収束する必要はありません。このケースでは複数の点に収束してみます。例えば<図4>のように4点に収束してみましょう。この場合、点ではないですが隙間の無い直線ですので、やっぱりこれも完璧にふさがれてます。また<図5>のように2点でも構いません。」
生徒「なるほど。一つ一つコントロールポイントを移動させていくんですね。」
先生「そう。前回は四角や円のような複雑でない形状の為、一点に収束できるので[一点に収束]を使ってオートでやっただけです。複雑な形状の場合は面倒でも一つ一つを寄せていくことになります。応用を利かせればもっと複雑な形状でもいけるでしょう。」
生徒「そうですかあ。」

閉じた線形状の性質

生徒「先生、今更なんですが線形状でつまづいてます。」
先生「何?、何を今更・・・まあいい。で、何がわからんのかな?」
生徒「<図1>のようなギザギザ状の閉じた線形状を描いたんですが、レンダリングすると何故か<図2>のようにまっすぐな板になってしまうんです。」
先生「なるほどね。君はまだ閉じた線形状の性質を理解してないようだね。閉じた線形状というのは同一平面内にコントロールポイントがなければいけないんだよ。」
生徒「え?同一平面内ですか?。いまいち意味がわかりませんが・・・。」
先生「つまりね。平らな形状じゃなきゃダメなんだ。君が描いた形状はギザギザになってるけど、これじゃダメ。まっすぐでないと。閉じた線形状一つで3Dは表現することはできないんだよ。」
生徒「閉じた線形状を描くときは3Dではなく2Dで描かないとダメなんですね。」
先生「そゆこと。」
生徒「じゃあ、こんな形状を描くときはどうすればいいんですか?」
先生「そこで自由曲面を使うんだよ。」



先生「ま、やり方は一つじゃないけれど一番簡単なやり方は、<図3>のように両端の波線を自由曲面パートにいれる方法だね。」
生徒「ああ、これならわかります。そっか、自由曲面でやれば問題ないんですね。閉じた線形状で描けるから、てっきりそのままレンダリングされると思ってました。」
先生「わかったようだね。でもせっかくだからついでにちょっとしたテクニックを教えておこうか。」
生徒「え?なんスか、一体?。」
先生「君が描いた<図1>の閉じた線形状を自由曲面に変換する方法なんだけど、ややこしくなるからよーく聞くように。」
生徒「はい。」
先生「<図4>を見て。君の描いた閉じた線形状だけど、まず出来上がる自由曲面の4隅となるのコントロールポイントを4つ選択するんだ。そしてツールボックスの[OK]を押すと[MODEFY]の[変換]が使えるようになるから選択すると<図3>のような自由曲面に変換されるのだ。」
生徒「・・・先生、言ってる意味がよくわかりませんが・・・。自由曲面の4隅?。」
先生「ココは聞くだけじゃなくて、君も実際にやりながらやったほうがいいね。とりあえず同じようにやってみなさい。」
生徒「えっと、この4点を選択して変換っと・・・。おお、<図3>と同じになりましたよ。」
先生「そこでブラウザを見て。自由曲面がどんな線形状で構成されているかを確認してみれば理解できると思うけど、選択したコントロールポイント同士を結ぶ線形状で構成されているでしょ?。」
生徒「そうですね。」



先生「4点の選択には何通りかあるけど、選択したポイントによって変換された自由曲面の形が変わってくるんだ。試しに他のポイントを選んでみて。」
生徒「はい。じゃココとココと・・・・。そして、[OK]を押して変換・・・あれ?変換できません、先生。<図5>」
先生「フフ、当然だよ。自由曲面の性質上無理なのだ。自由曲面を構成するそれぞれの線形状はコントロールポイントの数が同じでなければ形がおかしくなるからね。選択する4点の間にあるコントロールポイントの数がそれぞれ一致するようにポイントを選択しないとダメなんだ。したがって<図6>の位置がもう一つの選択法だね。」
生徒「・・・(怒)。それならそう言って下さいよ。」
先生「すまんすまん(笑)。じゃ、同じように変換して。」



生徒「はい。・・・おわっ!。先生、変な形になっちゃいましたよ。<図7>」
先生「ふむ。じゃ、ブラウザでこの自由曲面を構成してる線形状がどんなものかを見てみて下さい。」
生徒「・・・なるほど。こんな線形状になるわけですか。先生、僕わかってきましたよ。」
先生「そう。このように選択する4点をどれにするかで形が変わってきますから、その自由曲面を構成する線形状をどのようにするか考えて選択しましょう。」

メモリの節約

生徒「なんです?。いきなりメモリの節約なんて。モデリングになんの関係があるんでしょう?。」
先生「まあ聞きなさい。ちょっとブラウザを見て。君の作ってる形状データはやたら[パート]が多すぎないか?。あまり意味なく何階層もパートを作ってもメモリの無駄遣いだぞ。これではレンダリングに余計時間がかかってしまう。」 生徒「えっ?。そうだったんですか。」
先生「うむ。あと掃引体や回転体は必要が無ければ自由曲面に変換しないほうがいいよ。理由は同じ。」
生徒「なるほど。試してみると確かにそのようですね。データの容量も小さくなりました。」
先生「それとピクチャーマッピングはあまりデカいイメージを使わずに、貼りつける形状がたくさんある時は、それらを一つのパートにまとめてそのパートにマッピングする。マスターサーフェスも有効活用しよう。まあ、ちょっとしたモノを作る程度なら気にすることは無いけど、それなりに凝ったモノを作るときは、この事にも注意してブラウザを上手く整理しながら製作を進めていってください。」
生徒「はい。わかりました。」

角の丸めと切り落とし(面取り)

生徒「[MODEFY]の中にある[角の丸め]と[角の切り落とし]のことですよね?面取りってどう言う意味です?」
先生「辞書で調べてみましょう。めん‐とり【面取り】名 工作・料理などで、材料の面と面とが交わったかどをけずり取って丸くすること。とあります。これはより立体感のあるリアルな作品を作りたいときに必須の作業です。まずは何故面取りが必要かということからやっていきましょう。」
生徒「はい。」
先生「じゃ、まず<図1>を見てください。大小の立方体を作りました。これを視点を移動させて右のほうから見てみなさい。<図2>」
生徒「<図2>あれ?小さい方が大きいほうに溶け込んだように見えます。境界がわかりません。」
先生「でしょう。この立方体の角はどんなにどーんなに拡大しても角が立ったままです。例えれば、これは刀の刃よりもするどい角です。故意に作り出さない限り実際にはこんなに鋭い角を持つ物体は身の回りにないでしょ。角に見えても拡大すれば丸まっているはずです。そうでなければ触れただけで指が切れちゃいますからね。更に言うならこれは分子レベルの・・・・」
生徒「はいはい、わかりましたよ。つまり完璧なまでの角だから面の境界がわかりにくいんですね。」
先生「そう。だから面取り作業が必要になるわけです。では実際にこれを面取りしてみましょう。」



生徒「<図3>おお。丸みを帯びて立体感が出てきましたね。境界もはっきりわかります。」
先生「ね。こっちのほうが断然良いでしょう。これによってレンダリング時間が今までよりも長くなりますがそれに見合うだけの価値はありますよ。じゃ、面取りの仕方を詳しくやっていきましょう。」
生徒「はい。」

面取り作業(基礎編)

先生「では毎度おなじみの立方体を実際に丸めて見ましょう。まずは上面の正方形の閉じた線形状を選択します。今のうちに言っておきますが、実際は選択した正方形の閉じた線形状が丸められるのではなく、この線形状に交差している開いた線形状が丸められることになります。<図1>」
生徒「それはつまり側面にある4つの開いた線形状を丸めるということですか?」
先生「まあそんなとこです。まず[MODEFY]の中にある[角の丸め]を選び、どれだけ丸めるかを数値で入力します。さて、ここで注意してもらいたいのは入力した数値がどこに活きているかということです。<図2>を見てください。側面の開いた線形状だけを見て考えてみましょう。例えば単位をmmとすると入力した数値が「50mm」ならば、選択した閉じた線形状に交差している開いた線形状の角がR50mmに丸められます。」
生徒「一つだったコントロールポイントが二つに増えましたね。」
先生「そう。これによって正方形の閉じた線形状がもう一つ増えることになります。」



先生「さて、同じように底面の線形状も丸めてやって、<図3>のようになりましたね。」
生徒「はい。じゃ次は側面の開いた線形状の丸めですね?」
先生「そうです。じゃ側面の開いた線形状を選択して同じく[角の丸め]を選択してください。今度はこの開いた線形状と交差している閉じた線形状の角が丸められることになります<図4>。」
生徒「これも一本の線だったのが2本の線に置きかえられて角が丸められましたね。」

先生「これで面取り作業の終了です。どうです?かなり立体感がでたでしょう?」
生徒「そうですね。こっちのほうが断然いいですねー。」
先生「ちなみに右側が[角の切り落とし]で面取りされた形状です。作業方法は同じです。ただ角の曲線が直線になるだけですからね。けどこれは角の丸めと比べるとまだ荒さが目立つかな。」
生徒「そうですね。丸めるほうがより滑らかに見えますからね。けど使いわけが必要になるときがあるかもしれませんね。」

面取り作業(応用編)

先生「前回で面取り作業の基礎は身についたようだね。じゃ今度は面取り作業時の注意点を含めて応用テクニックを教えよう。」
生徒「注意点と応用テクですね。よろしくお願いします。」
先生「うむ。では君に問題だ。<図1>の図形のすべての角を丸めて見なさい。この図形は君が「自由曲面の作成(2)」で作ってたやつだよ。」
生徒「ちょろいもんです。前回の作業は完璧に憶えてますからね。えっと、まずはこの閉じた線形状を選択して、数値を50にして丸めて・・・。よし次は・・・、」
先生「ちょっとそこでストップだ。見たまえ。どこかおかしいことに気づかないか?<図2>」
生徒「あ?そういえば丸めによって新しく出来た線形状が歪んでいる?」
先生「そのとおりだ。では何故こうなってしまうのかを考えていこう。」

先生「丸めた図形の一部分を拡大してみた。さてここで前回の「面取り作業(基礎編)」で言った事をよく思い出して欲しい。私は言いましたね。実際は選択した線形状が丸められるのではなく、この線形状に交差している線形状が丸められることになります。・・・と。」
生徒「確かに言いました。」
先生「では<図3>をよく見てください。勘違いのないように繰り返し言いますが、[角の丸め]を選択したときに入力した数値は、新しく出来た線形状との間の長さではなく、交差している線形状が丸められる長さを指しています。」
生徒「(う・・・、ちょっと勘違いしてたかも・・・。)」
先生「ですから、この場合開いた線形状の角がR50の曲線になるような位置に新しくコントロールポイントが追加されるわけ。それらのコントロールポイントを結んだ線形状が<図2>の歪んだ線形状なのだ。」

先生「そこでこの問題を解決するには<図4>のように、閉じた線形状を同位置にコピーしてから、各コントロールポイントを角の丸め時に入力する数値よりもすぼめていきます。ここでは50mmより長ければ良いですから今回は75mmにしてみました。適当でいいですよ。」
生徒「そうか。丸める数値が50mmなら、それ以上の長さが無ければおかしくなりますからね。」

先生「<図5>を見て。一点で閉じてある方の開いた線形状は角度も長さもバラバラだったけど、コントロールポイントをすぼめていった方は角度、長さ共に同じでしょう。これが理想ですね。こうしておけば丸めたあとに追加された線形状は歪むことがありません。」
生徒「あとは[角の丸め]をするだけですね。」

先生「そうですね。真ん中の線形状を選択して[角の丸め]です。すると歪みの無い線形状が追加されましたね。」
生徒「今度はきれいなL字型ですね。」
先生「そしたらもう一番上の線形状、均等に角の丸めを行う為にすぼめた線形状はもう必要ありませんので削除して構いません。もちろん削除せずに収束して自由曲面をふさいでもいいですよ。」
生徒「よーし。これで複雑な図形も均等に角を丸められるようになったぞー。」

先生「ここでもう一つだ。ちょっと手順をさかのぼって、線形状をすぼめるところがあったよね?」
生徒「ああ、あの丸める数値よりも多くすぼめると言ってたとこですか?」
先生「そうです。そのときに<図7>のように丸めたいところのコントロールポイントだけをすぼめてやれば、一部分だけ丸めをかけることが出来るんだよ。」
生徒「えっと・・、じゃこれで[角の丸め]を実行すればあの端の部分だけが丸められるんですか?」
先生「うん。これで均等に丸めをかけるだけでなく、丸めたい所だけを丸めることもできるようになったね。」
生徒「う〜ん。正に自由自在ですねえ。」

角の丸めと切り落としの注意点

先生「角の丸めと切り落としのやり方を覚えた君に、ここで角の丸めや切り落としをやる時の注意点を教えましょう。」
生徒「はい。」
先生「ではまず適当な大きさの円柱を作って角を丸めてください。」
生徒「今の僕には簡単ですよ。・・・・はい、作りましたよ。<図1>」
先生「ではここで角の丸めによって新しく追加された線形状をよーく見てください。」
生徒「あ?そういえば丸めによって新しく出来た線形状が歪んでいる?(・・・・は!確か前にも同じセリフを・・・!)」
先生「そのとおりだ。では何故こうなってしまうのか。それは角の丸めをしたときに新しく追加された線形状は、角の丸めを適用した線形状がそのまますぼめられた線形状であり、この時接線ハンドルは変わらないままだからなんです。」
生徒「本当だ。接線ハンドルは前と変わってません。だから円が歪んでるんですね。」
先生「今までは接線ハンドルをもたない多角形でしたからね。では、この歪んでる線形状にスムーズをかけて円にしましょう。これでOKです。」

角の丸めと切り落としの条件

先生「角の丸めや切り落としを選択するには幾つか条件があり、これらの条件を全てクリアしている線形状だけが角の丸め、切り落としを選択できます。」
生徒「そうそう!ちょうど聞こうと思ってたんですよ。何でかわからないんだけどたまに選択できないときがあるんですよね。あれは何ででしょう?」
先生「ではその条件を説明していこう。まず今更言うのもなんだけど、自由曲面で無ければダメです。」
生徒「うん。言われてみれば今まで皆自由曲面でしたからね。これはわかります。」
先生「そして角を丸めたい線形状は、2つの面が合わさっている線でなければなりません。例えば今までは四角柱や円柱を丸めてきましたが、これが筒状だった場合は端に位置する線形状は丸めることができません。<図1>」
生徒「確かに、筒の端の部分は途切れていて角がありませんから丸めようが無いですからね。」

先生「ここからがちょっと厄介だ。丸めをかけたい線形状が交差方向の接線ハンドルをもっていないこと。
生徒「ん?意味がよくわかりませんが・・・?交差方向の接線ハンドル?」
先生「図で説明したほうがいいな。では<図2>を見てください。正方形を段々に積み重ねた自由曲面ですが、図で指しているコントロールポイントが接線ハンドルをもっていてはいけないということです。」
生徒「なるほど。この場合、開いた線形状のコントロールポイントのことですね。」
先生「そうだ。左の図形は接線ハンドルをもってないので丸めをかけることができるが、右の図形は接線ハンドルをもっているのでダメだ。どっちか片方でも接線ハンドルをもっているとダメなんだよ。」
生徒「これはこの自由曲面を構成している開いた線形状全てがそうでないとダメなんですね?」
先生「そのとおり。」

先生「そしてこれも接線ハンドル絡みだが、丸めたい線形状の両端の線形状が、丸めたい線形状に向かう交差方向の接線ハンドルをもっていないこと。
生徒「うむむ・・・・?。」
先生「<図3>を見ながら説明していこう。丸めたい線形状の両端の線形状はわかるね?」
生徒「ええ、図の2つの閉じた線形状のことですね。」
先生「その交差方向だから、開いた線形状を見てください。この線形状の図の2箇所のコントロールポイントの接線ハンドルのことですね。これの丸めたい線形状側の接線ハンドルがあるとダメなんです。でもその反対側の接線ハンドルならあっても別に構いません。」
生徒「じゃ、そのダメなほうの接線ハンドルを削除すれば良いんですね。」
先生「そうだ。この図形の場合は4つの開いた線形状のそれぞれのコントロールポイントが接線ハンドルをもっているかどうかで決まってくるんだ。」

表面材質
ここでは表面材質についての簡単な説明です。
先生「さて、これが表面材質ウィンドウだが、大体の使い方はわかってるよね?」
生徒「ええ、基本色をえらんで光沢や反射などを設定する・・・、もう簡単なことならできますよ。」
先生「よろしい。さすがに全部一つ一つを説明するのは大変だからね。ではこれからは君の質問に答えていこうか。」
生徒「はい。」

二次光沢

生徒「光沢とサイズが二つずつありますよね。これってどうしてです?」
先生「これは二次光沢をつける為だ。例えば一つを光沢が強くサイズが小さい設定にして、もう一つを光沢が弱くてサイズが大きい設定にしてやれば厚みのある光沢になるんだ。」
生徒「なるほど。じゃ光の色を変えてやれば・・・、」
先生「そう。白い光と黄色い光を重ねてみたりするのもいいね。」

反射と荒さ

生徒「先生、反射はわかるんですけど荒さをいくらいじっても効果がわからないんです。」
先生「荒さを設定してやっても分散レイトレーシングじゃないと効果が現れないよ。」
生徒「そうだったんですか。どうりで。」
先生「ちなみに荒さを使うとすりガラスのような効果が得られます。」

透明度と屈折率

生徒「先生、透明なビンを作ろうとしてるんですが完全な無色透明にならないんですけど?」
先生「ちゃんとした理由を説明しようとするとかなりややこしくなるので結論から言うけど、基本色を黒にしないと完全な透明にはならないよ。」
生徒「へえ、そうなんですか。」
先生「うん。あとガラス玉やビー玉を作るときは屈折率を調整するとよりリアルになるね。」

メタリック

生徒「先生、メタリックは・・・」
先生「メタリックを使うと金属の表面のような光沢がでてきます。」
生徒「なんか説明するまでもないですね。」

発光とソフトグロー

生徒「発光の使い方がいまいちよくわかりませんが・・・。」
先生「これは形状自らが光を放ちたい時に使います。たとえば光の玉とか炎など。」
生徒「じゃソフトグローってのは?」
先生「これは発光と合わせて使うんだけど、光をぼかしてよりリアルな光を表現できます。」

リファレンス
ここでは製作例を紹介。
光の作り方

生徒「先生、表面材質の所で光の玉とかを作れるって言ってましたよね?それってどうやるんですか?」
先生「簡単だよ。まず球をつくってください。そしてあとは表面材質を設定してやれば終わりです。簡単でしょ。」
生徒「球を作りました。で、材質はどう設定すれば良いんですか?」
先生「簡単だよ。まず球をつくってください。そして材質は透明にしてください。憶えてますか?」
生徒「もちろん。基本色を黒にして透明度を1.00ですね。」
先生「そう。そして光沢を消すことも忘れないでください。光沢を0です。そしたら発光を0.50、ソフトグローも0.50にしてみてください。」
生徒「おお、まさしく光の玉!」
先生「あとは好みに応じて発光とソフトグローを調節してみてください。発光の色を黄色などに変えてやれば蛍の光なんかにも見えるよ。それに今回は球でしたが、円柱にすればビームサーベルにも使えます。」

炎の作り方(1)

生徒「先生、炎を作ろうとしてるんですがなかなか上手く表現できません。もっとこう、メラメラって雰囲気を出したいんですけど・・・。」
先生「じゃまずモデリングだけど、まず球を作ってそれを拡大縮小で縦に引き伸ばそう。この卵型の形状が炎になります。<図1>」
生徒「形状は単純なんですね。ってことは問題は材質ですか。」

先生「そう。ほとんどは前回やった光の作り方と同じだよ。基本色は黒、光沢0、透明度1.00です。そして今回は黄色く明るい炎を演出したいので、発光色は黄色、発光を強めの0.70、ソフトグローも強めに0.70です。あとはテクスチャーです。」
生徒「でも『炎』なんてテクスチャーはありませんよ。」
先生「炎はなくてもその変わりになるものがあるぞ。定番が『海』だ。」
生徒「海ですか?」
先生「そう。まず、激しく揺らめく炎を作りたいのでマッピングは強く1.00、乱れも強めの0.80。そしてサイズは作った形状の半分くらいの大きさに調節するんだ。大きすぎると揺らぎが少なくなるし、小さすぎると揺らぎが細かすぎて炎に見えなくなるからね。さてこれでレンダリングしてみるぞ。」
生徒「おお!炎みたいになりましたよ!」
先生「ただの卵型の球体が表面材質をいじるだけでこんな感じになるのだ。」

先生「さてこれで終わりにしても良いんだけど、せっかくだからもう少し手を加えてみようか。」
生徒「どうする気です?」
先生「もっと違う形や色の炎を重ねてみるとよりリアルになるんだよ。早速やってみよう。さっきの卵型の形状と同じ位置に、一回り大きい球を作ってみてください。」
生徒「はい、作りました。」

先生「そしたら同じように材質の設定だ。さっき作った炎と違うところは、発光色が赤になったことと、テクスチャーの乱れを強くしたことだ。サイズはさっきと同じように、大きすぎず小さすぎず、この形状の半分くらいにしたよ。」
生徒「そしてレンダリング・・・と、赤いボヤーっとした炎が出来ましたね。」
先生「炎は中の方が黄色でも外側は赤いよね。それを表現してみました。」
生徒「なるほど。じゃこの二つの炎を一緒にレンダリングするんですね。」
先生「そう。でもその前にもうひと工夫してみるぞ。」

先生「今度は炎の中心あたりに小さい球を作ってみてください。炎の中には炎のでる元となる火種がありますから、それを表現してみたいと思います。」
生徒「はい、作りました。」

先生「こいつもさっきと同じ要領で設定して、発光色は黄色にします。そして発光を弱めにする為に、発光を0.30、ソフトグローを1.00とします。」
生徒「随分弱々しい光ですね。」
先生「あまり強すぎると、さっき作った炎と重ねたときに光が強くなりすぎるから、これくらいでいいんだよ。これで炎を三つ作ったね。では全てレンダリングしてみましょう。」

生徒「うわあ、結構厚みが増した炎になりましたね。」
先生「でしょう。炎もそうだけど、光線などの光を作るときには大体こんな感じで複数の形状を重ねるのが主流なんだよ。どうしても単体じゃ限界があるからね。それから今回はテクスチャーは『海』だったけど、他にも『しわ』を重ねてかけてみたり、『海』で作った形状と『しわ』で作った形状を重ねてみたりと色々な方法があるから試してみてね。」
生徒「へえ、それもおもしろそうですね。」

炎の作り方(2)

生徒「先生、さっき作った炎に更に手を加えようとしたんですが、おかしな事が起こってしまいました。」
先生「一体どうしたのかな?」
生徒「この卵型の形状をコピーの直線移動で増やしたんです。そしてレンダリングしたら変な黒く丸い影が出てきたんです。」

先生「ああ、これかあ。ゴメンゴメン、説明不足だったね。これはレイトレーシングでレンダリングする時に注意すべき点だったんだけどね。これは視線の追跡レベルが関係してます。
生徒「視線の追跡レベル?」
先生「そう。レイトレーシング法(視線追跡法)での反射や透過では、視線の追跡レベルという問題があるんだ。ちょっと見てみよう。まず『特別』→『レンダリング』→『その他』で『その他のレンダリングオプション』ウィンドウを開きます。」

先生「するとその中の一つに視線の追跡レベルってのがあるよね。」
生徒「ええ、ありました。5ってなってますね。」
先生「初期設定では5になってるよ。この5ってのはね。反射の場合は5回まで反射を繰り返すって意味なんだ。」
生徒「反射の回数なんてあったんですか?」
先生「もちろん。実際に光の反射は一回で終わりではなく、反射するものが複数あれば何十、何百回も反射を繰り返しているんだ。これをCGソフトで表現するといったら、レンダリングにどれだけ時間が掛かるか想像つかないだろう?この為に5回という制限をつけているんだよ。」
生徒「言われてみれば納得です。」
先生「そして透過の場合でも透過の回数は5回までってことになる。君の場合は透明な形状を重ねすぎて、この透過回数5回を超えてしまったんだよ。このようにレベルを超えてしまった場合は黒が表示されるんだ。またレンダリング時に『背景を反映』チェックボックスがオンになっていれば背景が表示されるよ。」

生徒「じゃあこの数値をあげてやればいいんですね?」
先生「そうです。どれくらい上げればいいかは形状によって変わってくるからね。面倒なんで一気に10まで上げてしまおう。別にここまで上げなくても良いんだけどね。」
生徒「じゃあ10にしてレンダリングと・・・あ、なおりましたよ。」
先生「このように、炎に限らず透明な形状をいくつも重ねるときは視線の追跡レベルを上げてやるのを忘れないようにしましょう。ちなみに最高で100回までで、当然回数が多いほどレンダリング時間が長くなるからね。」

先生「おっと、忘れるところだった。一つ言うことがあった。」
生徒「なんです、一体?」
先生「あのね、今回は背景とか設定しないまま作ったから気にならなかったけど、この炎は透明な形状だから背景があったり、炎の後ろに他の形状があったりすると思ったとおりに表示されない場合があるんだよ。試しに背景を表示してみるよ。『背景を表示』と『背景を反映』にチェックを入れてレンダリング。」
生徒「あっ、ホントだ。」
先生「変化がわかりやすいような背景を設定したんだけど、これはちょっと極端だったかな?まあとにかく、こんな感じで他の形状と一緒に作るときはこの点にも注意しながら作りましょう。」
生徒「はい。」

煙の作り方

先生「炎の作り方をやったので、ついでに煙の作り方も教えておこう。」
生徒「煙かあ。なんか炎と感じが似てますよね。」
先生「ホントそうなんだよ。作り方もほとんど一緒。だから結構手順を省略するけど、まずこんな感じの回転体を作ろう。今回の形状は火元から出る煙を表現する為に下を尖らせて見ました。そしてそれを直線移動で斜め上にコピーだ。」
生徒「はい。で、表面材質ですが・・・、」

先生「炎と違うのは発光色とテクスチャーくらいだよ。まず基本色は黒、光沢0、透明度1.00、発光色は白、発光0.40、ソフトグロー0.50だ。そしてテクスチャーだけど2種類のテクスチャーを重ねがけするよ。まず『しわ』。マッピングは0.50でサイズは形状の3、4倍と少し大きめにしました。そしてもう一つは『凸凹』。これもマッピング0.50、サイズを形状の3、4倍にしてみた。」
生徒「そしてレンダリングをすると・・・、おお、なんとなく煙です。」
先生「なんとなくは余計だよ。煙だと思いこみなさい。」
生徒「けど先生、これ湯気にも見えますね。」
先生「そうだね。それでもいいと思います。」
生徒「そうだ。白い煙じゃなくて黒煙にすればどう見ても煙ですよ。」
先生「実はね。そうしようとして発光色を黒にすると、元々透明な形状だから光が透過してなにも映らなくなるのだ。」
生徒「ほんとだ。レンダリングしたら何も映りません。じゃ黒煙はどうやって作るんですか?」
先生「さあ?どうやるんだろ?」
生徒「・・・・。」