Konica Hexar Silver
2000-01-28 version1.0
ヘキサーについて
- 紹介
- コニカヘキサーであります。最近ヘキサーRFが出ましたね。あれの元祖とも言うべきカメラです。ヘキサーRFってなんだそりゃ?とお思いの方もいると思います。ヘキサーRFのRFはレンジファインダーの略です。「レンジファインダーっていったらアンタが絶賛するあのライカとかいうカメラと同じでっか?」そうなんです。あれと同じなんです。でよく似ています。ただヘキサーRFはモータードライブが内蔵されていますのでライカのような手巻きレバーがありません。また、露出も自動であります。ただピントを合わせるのだけが手動でライカと同じようになっているのです。「ピントもオートにすりゃーいいじゃないの?」という疑問をお持ちになる方にはこのコニカヘキサーを。そうなんです。コニカヘキサーはすべて全自動のコンパクトカメラであります。「なんじゃそれ?なんで後に発売されたヘキサーRFがマニュアルで前に発売されたヘキサーが自動やねん?!」確かにそういう素朴な疑問をお持ちになると思います。
それをわたしなりに考えたいと思います。(つまらないと思いますのでとばして下さい。)
まずコニカヘキサーがどんなカメラか?ですね。コニカヘキサーはぱっと言えば、全自動コンパクトカメラです。しかし定価は10万近い値段です。つまりいわゆる高級コンパクトカメラってやつです。高級コンパクトカメラは他に例えば、ミノルタTC-1、コンタックスTVS、リコーR1S、ライカミニルックス、などがあります。これらのカメラのユーザーっていうのはお金に余裕のあるカメラマニア、金持ち、スタイル重視のアート系の人、写真家、などなどまず一般人は使いません。まあそうでしょうね。このカメラ群の中でコニカヘキサーの位置づけは、華やかというよりかは渋目です。スタイルも大きいし、材質もどこか安っぽいです。じゃーどこが渋いのかと言うと、レンズの開放F値がf2であること(ヘキサノン35mmF2)、この一点にあるでしょう。これはほんとになかなかないんですよ。一眼レフでは当たり前なんですが。そしてファインダーの倍率が0.6倍であること。これもなかなかないです。さらにファインダーの位置がカメラに向かって右端についていること。これもなかなかないんですよ。しかし、これらの特徴は、あるカメラを思い出させてくれます。そうM型ライカですね。もちろんぜんぜん及びませんが、どこかあのライカを意識したようなスタイルとレンズを設定しているのです。機能的には色々あって、例えばシルバーモデルにはついていないのですが、サイレントモードなるものがついてます。これはフィルムの巻き上げなどを静音化してシャッター音をほとんど無音化するモードです。これは街でのスナップ撮影には有効でしょう。またおもしろいところで、普通赤外線フィルムを使用する場合ピントの位置がずれるのですが、それを自動補正してちゃんとピントを合わせてくれるモードがあったりと、カメラマニアというよりか、撮影重視のカメラマンに重宝がられる機能がついています。そういう実用渋目カメラというのがコニカヘキサーであります。
それでは伏線をお話ししましょう。1990年代はじめ頃から高級カメラが各社から発売されました。そして少し飽和した頃に京セラコンタックスG1が出ました。G1はレンズを交換することのできる高級コンパクトカメラです。そのころはかなり話題をさらいました。多くの人がかなり評価しました。いまでもそうかもしれませんが。しかし同時にある不安も語られました。それは「ほんとにピントがあっているのか確認できない!」です。G1レンズは開放F値が大きいため、被写界深度が浅いのですが、レンズの絞りを開放で撮影する場合、少しでもピントがずれるとぼけてしまうのです。特にそれは90mmなどの中望遠レンズ使用にさいして言われました。どうにか確認できないものか?カメラを信用するしかない?でもそれではプロのような仕事カメラマンには嫌われるでしょうし、実践カメラマニアの方にも嫌われるでしょう。でもまあカールツァイスが使えるからええかってみんなあきらめていたのです。
そしてもう一つの伏線。各社から高級コンパクトカメラが出そろった頃、カメラマニアの間では「ああこの高級コンパクトカメラのレンズをライカに取り付けることができたらなあ!」という話があったとかないとか。確かに高級コンパクトカメラの売りの一つはレンズの性能にありました。それはもう絶品の描写です。そこで最初にライカ用にレンズだけを特別に作ったのがコニカヘキサーに取り付けられたヘキサノン35mmF2だったのです。そしてこれまた各社からライカ用に高級コンパクトカメラについているレンズを特別に供給することが少しはやったのです。その中には本レポート一番のミノルタGロッコール28mmF3.5も入ります。
ピントの確認ができて、そしてレンズは交換できて、描写は絶品。この二つの伏線が混じったときにヘキサーRFの企画が起こったのではないかと。
推測ですがマニアの間では定説かもね。
とにかくみんながほしかったものは
「M型ライカ」
だったのです。
結局これにたどり着くのか?どうでしょう?
いまはデジタルカメラが大流行です。
きっとデジタルカメラが全盛の時代がやってくるでしょう。しかしわたしは住み分けのようなことが起こると思っています。銀塩カメラは特に35mm判カメラはきっとこういう趣味性の高いカメラがずーっと残っていくことになるのではないかと思うのです。コニカはそいつを見越して幸先のいいスタートを切ったとわたしは思います。ヘキサーRFは少量生産ですし、これから長い間、よりよい改良を加えつつ続いて行くことでしょう。
コニカにエールを送りたい気分です。
じゃ話はコニカヘキサーシルバーに戻しましょう。
- 購入経緯
- 実はだいぶ前からこのカメラがほしいと思っていました。学生の頃はお金がなく結局買わずじまいだったのですが、ヘキサーもシルバーへとバージョンアップしたころわたしはやっと経済的に余裕ができて、「前からほしかったから。」というそれだけで買いました。このカメラはあのアラーキー大先生も使っています。
- 触感、見た目
- シルバーはあまりかっこよくありません。全部黒に塗ってやろうかと思ったりします。いまはもうシールなんかを貼ってもう完全に遊びカメラと化しています。どうも材質が悪い(たぶんアルミ製だと思うのですがそれの加工がどうもね)のでこういう遊びカメラのように扱ってしまいがちです。
- 操作感
- シャッター操作は軽快です。でも最近ちょっと調子が悪いですね。ファイダーは青かぶりと歪曲収差がありで、まあでも普通のコンパクトカメラよりも格段に見えやすいと思います。ボタン数が少ない割に機能が多彩なので、どこかのボタンを押しながらこのボタンを押すとかまあそういうわずらわしい所もあります。ヘキサーの機能をすべて説明書なしできる人は尊敬しちゃいます。
- 総評
- そういえばレンズ描写を書いていませんでした。とてもシャープだと思います。特に中心付近が。よくレンズ描写を語るとき「線が細い。」とか「線が太い。」とかいいますが、ヘキサーは断然「線が細い」です。また写真の印象がとても繊細な感じになります。スナップとかやっていますと微妙にぶれたりしますのであまり感じませんが、街中でビルなどの風景写真を撮るとその線の細さを実感します。雑誌などで測定される解像力データではピカイチではないのですが(悪いわけではありませんよ。)実写ではかなり「ええ感じ」の描写になります。繊細な描写がお嫌いな方はだめでしょうが。
このカメラは結構いろんな写真家が使っています。今はどうか知りませんが、アラーキー大先生、大西みつぐ、瀬戸正人、etc。さっきから書いているように実践的な写真道具であります。それにそんなに高級感もありませんし、だから使い勝手がいいカメラということにもなります。ヘキサーRFはほんとに高級になっちゃいましたけど、このカメラはこのカメラでずっとおもちゃっぽく続けてほしいなと思います。まあ実販売価格6万円ですので「おもちゃだとう!」と怒る方もいるかもしれませんが、やはりライカやその他全金属カメラをみちゃいますとどうもこういうカメラはおもちゃにみえちゃいます。すいません。
コニカさんこれからも渋目でお願いいたします。
誠に勝手ながら以上であります。
以上
次回は、ニコンNewFM2でも行きましょうか。
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