ライカM6
1999-9-18 version1.1
ライカM6について
- 紹介
- ライカM6は、35mmフィルムを使用するレンジファインダーカメラです。レンジファインダーというのは、前回マミヤ6MFで語ったように「距離計付きのぞき窓」のことをいいます。つまり一眼レフではありません。コンパクトカメラの元祖みたいなカメラです。しかしすべて手動で操作しなければいけません(いわゆるマニュアルカメラ)。焦点も露出も全部自分の意志で設定します。難しそうだとお思いの読者もおられると思いますが、全自動のカメラなんかよりボタン数も少ないし、というかボタンはシャッターボタンしかありません、全然扱いやすいです。写真って言うのは、フィルムに光を感光するだけのものということをわかっていたら、全自動カメラのようにいろんな設定をしなくても良いので、非常に簡単なカメラです。カメラ初心者の方はこの辺がわかっていないので、何も知らずオートカメラを買いますが、スポーツ写真などをしないのなら、安いマニュアル操作のカメラを買った方がいいと思います。
マニュアル操作のカメラはたいてい安いです。しかしこのライカM6はかなり高いです。今は知りませんが、20万円します。レンズは10万円くらいです。全部で30万円以上ですね。なんでそんなに高いねんと思うと思いますが、わたしにもわかりません。ただ、昔のカメラはなんでも高かったようです。このカメラは失礼に聞こえるかもしれませんが、昔のカメラです(現在も発売されてます)。きっとこのカメラはその時代を背負って立っているのでしょう。(自分でも訳が分からない。)
歴史のことついでに、1954年にM6のご先祖様であるライカM3が出ました。それから順不同でM,M2,M4,M5、M6その他派生したものなどがあります。これ以前のライカはLマウントでバルナックライカと言います。1913年(1910年かも)にライカ一号機が作られています。で、1954年に作られたM3はMマウントになり、その当時のカメラの最高峰でありました。あまりにすごいものを出したために日本のカメラ会社は一斉に一眼レフに鞍替えしました。皮肉なことに安心したライカは一眼レフの開発に出遅れることになるのです。そしてカメラにおいて日本が天下の時代になったのです。(少し乱暴ですが、事実です。)(マウントとはカメラのレンズ取り付け部のことです。)
交換レンズは、何十本もあります。過去から現在まで、多種多様作られました。歴史が長いのと、くさってもライカと言われますが、やっぱりレンジファインダーカメラの金字塔だからでしょう。
- 購入経緯
- わたしが働いてまもなくしてもらったボーナスとそれまでの給料全部はたいて買いました。カメラおたくを自称するわたしは、やはりライカを避けて通ることはできなかったのです。古くさいカメラにも関わらず、多くの写真家が使っていたというのも大きいでしょう。レンジファインダーであるというのも大きいです。わたしはストリートフォトがメインですが、そういう場面でレンジファインダーは有効に働くであろうと考えました。
- 触感、見た目
- 艶消しブラックで、「引き締まった感じがなかなかかっこいいな」が第一印象です。小型の割にずしりと重くて、とっても頑丈そうだと思いました。両サイドは丸みがありこれが持ったときにたまらなく良いです。手になじむっていうのはこういうことを言うのかと思いました。
- シャッター
- シャッター音は小さいです。クラシックカメラファンの方はM6の音はだめだとか言うみたいですが、別に音で写真を撮るわけではありませんので、このくらいの音なら街で撮ってもパーティの席上で撮っても、全然耳障りにならないだろうという程度のものです。一眼レフの音に慣れているとこれはたまらなく小さく聞こえます。低速では、シャッターを切った後にカタンコトンと鳴るのがかわいくて良いです。
- 巻き上げレバー
- 全自動じゃありませんので、自分で巻き上げを行います。その操作感ですが、(ニコンF3というカメラがありますがこの巻き上げレバーの操作感はチョーなめらかですが、)負けず劣らずというところでしょうか。とてもなめらかでかつレバーは細いのにとても頑丈そうです。
- 距離計ファインダー(レンジファイダー)
- ファイダーはもうとっても美しいの一言です。歪曲はまったくなく、非常にシャープです。少し茶色かぶりでありますが、気になりません。(微妙です。)これ覗いたら、他社の高級コンパクトカメラやオートレンジファイダーカメラのファイダーはあほらしくて見れません。完璧です。でもライカの中では、M6が一番劣るとのこと。ということはM3はとてつもないということでしょう。
距離計は、当然かもしれないですが、非常に正確。ズミクロン35mmの距離リングの回転角は無限遠から0.7mまで100度もありますが、ピント合わせがとても微妙です。
- その他、気づいた点
- シャッターストローク
- ニコンNewFM2では、シャッターボタンを押していくと当たりの様な所があり、それを押し切るとシャッターが切れます。M6の場合、NewFM2のような当たりはなく、 シャッターが切れるまで滑らかですが、長いストロークがあるだけです。最初はどこで切れるのかわからず、戸惑いました。慣れれば何てことはありません。
- フィルム装填
- 難しいです。説明書どおりにはけっしていきません。
大概のカメラは、裏蓋ががばっと開きますが、このカメラは底を外します。それでフィルムを差し込んで、フィルムを巻き上げるのです。フィルムがちゃんと巻き上がっていると巻き上げと同時にフィルム巻き戻しノブがくるりと回るのですが、最初これがなかなかうまくいかないのです。フィルムの先端が巻き上げカムからすぐに外れるようです。このためフィルムを差し込む際、フィルムの先端を折り曲げてカムにしっかりつくようにします。しかしこれでもうまくいかないことが多々あります。もう後は、コツをつかむまでたくさんのフィルムを使うしかありません。めちゃくちゃゆっくり巻き上げるかそれともめちゃすばやくするかのどっちかです。
もちろん最初の巻き上げがうまくいけば、後は普通通り巻き上げていくことができます。
- ライカM6について
- M6を手にして2年たちますが、買って良かったと心底思います。短所だけを見ると、一眼レフと比べて、扱いにくいカメラであります。望遠レンズは135mmまでだし、マイクロレンズは扱いにくし(現在ライカ社はサポートしてません。)、フィルム装填たいへんだし、たしかに一眼レフはありがたいと思います。しかしこのカメラは、モードラ付nikonF2のような威圧感もなく、またコンパクトカメラのような馬鹿馬鹿しさもありません。そのデザインは一種独特の品を醸し出しています。使い方を限定すれば、一眼レフよりも優れた所があります。広角レンズでストリートフォトをすれば、一眼レフの方がわずらわしいでしょう。
このカメラを使用すると写真の撮り方をもっと工夫するようになります。例えば、距離を固定にして、ノーファインダーで撮るとか、パンフォーカスにするとか、露出も固定するとか。ストリートで撮る場合、確かに露出(路面に合わせる)も距離(1.5〜2m)も一定の方が撮影に成功することが多いです。自動カメラなら変な所にピントがあったり、露出が飛んでオーバーになるとか。
ポートレイトにも有効でしょう。例えばシャッターを切った瞬間も被写体をファイダーで見ることができます。(一眼レフの場合、ミラーアップで見えませんね。)とどうなのかというと、シャッターが切れた瞬間に、被写体が目を閉じているかどうかを確認できます。また小型であるため、カメラ慣れしていない被写体への威圧感もないと思います。
このカメラを使っていると、当たり前のことですがカメラは単なる暗箱で、シャッターはフィルムに届く光の量を調節し、レンズは風景をフィルム上に結像させるものなのだということを実感します。写真ってほんとはとっても単純なのだということを再確認させてくれます。ピントも露出もだいたいでうまくいくのだなと(ポジフィルム使用でも)。ですから、M6購入者は高いからといって大事に棚に飾ったりしないで、どんどん街に出ていって、ビシバシ写真をとってほしいです。写真の単純さと奥深さを実感させてくれるこのカメラは、きっとあなたに”写真の秘密”を知るきっかけを与えてくれると思います。
以上
次回はニコンF5です。マニュアルカメラを絶賛しながら、F5も持ってます。
ライカM6を使った一番最近の写真(ONEの写真から)を以下にリストアップします。<2014-3-21更新>
ちょっと追加。よろしければONEも見てください。<2015-9-20更新>
2014-11-9
2014-9-7
2014-8-24
2014-7-27
2014-7-13
2014-6-29
2013-7-21
2013-7-7
2013-1-27
2012-11-11
2012-10-28
2012-10-14
2012-9-30
2012-9-16
2012-9-1
2012-8-05
2012-7-21
2012-7-7
2012-6-17
2012-6-3
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