このレンズは、ミノルタがライカLマウント用に作ったレンズで あのTCー1に搭載されているものです。TC-1と言えば、あのアラーキー 大先生も使っている35mm高級コンパクトカメラ(チタン製)です。 このレンズの描写は、非常にハイコントラストでカラーの発色も 実に明解です。そしてバリバリにシャープな解像です。 また少しばかり周辺光量不足が発生しますが、 味があっていいものです。
と、ここまではどんなカメラ雑誌にも書いてあることでさして 新しくもないと思います。
わたしとしてはカメラ雑誌にも書いてなかったレンズ使用上の注意みたい なものを書きたいと思います。実害があったとかそういう話ではありませんのでご安心を!
このレンズはレンズ構成図を見ると一見レトロフォーカスタイプだと思えますが、おそらく1群目の1枚レンズをなくせば、ほぼ対称型レンズと言ってもいいようなレンズです。よってレンズ単体を実際にみるとレンズ後群がレンズ鏡胴から飛び出さんかのように迫り出した形となっています。このレンズをライカ(M型)に取り付けると後群のレンズからフィルム面までの距離が非常に近くなります。レンジファイダーカメラ(M型ライカ)は、一眼レフカメラのようなミラーボックスを必要としないわけですから、もちろんこのようなレンズも使用することができます。しかし現在ライカ社が出しているレンズはすべてレトロフォーカスタイプのレンズです。おそらく対称型レンズではおもに広角レンズ系では周辺光量不足になるため、レトロフォーカスタイプにしているのかもしれません。
それはともかくこのレンズはレンズ最後尾からフィルム面がかなり近いレンズです。そのためフィルム面に入射する光の角度がレトロフォーカスタイプのレンズと比較して、大きくなっているみたいです。そうするとどういうことが起こるかと言えば、標準フィルムサイズ(24×36mm)よりも大きめに写ってしまうのです。実寸で24×37mm(でも四隅はイメージサークル限界のため欠けてます。)でした。フィルムガイドレール側は同じ大きさなのですが、縦辺側で写りこみが生じているみたいです。ひょっとするとホロゴンやスーパーアンギュロンなんかも同じことが起こるのではないかと思います。
使用上の注意としましては、ポジフィルムをスリーブ仕上げで頼んだ後、自分でマウントをするときに、通常フィルムのコマ間は2mmほどですが、このレンズ使用の場合、上のような理由から1mm以下になることがあるため、鋏を入れるのがたいへんであるということです。(はじめわたしはカメラが壊れていると思っていました。)けっしてカメラが壊れている訳ではありませんのでこれをお読みの方は注意して使って下さい。
以上
2006-11-3 追加
レンズ購入時に箱に入っていた説明書にMTFが載せてありましたので、下記に追加します。
1999年当時では上記の如く”どこのカメラ雑誌にも”描写について書かれておりましたが、新世紀を迎えた今では、このレンズを顧みる人はあまりいません。ということで、上のMTFを追加しました。またレンズ構成図も出てますが、なんと!非球面が3面も使われてます。すごいクリアな描写をするレンズなのですが、非球面効果だったんですね。ちゃんと見返してみる物です。この説明書には登場しませんが、このレンズの歪曲収差はほぼ完璧です。(確かアサヒカメラの診断室に出ておりました。探しておきまする。)
次回マミヤ6MF。