Oldrich Lipsky オルドジフ・リプスキー(1924〜1984)

1924 年旧チェコスロバキア生まれ。カレル大学で哲学を学び、卒業後はプラハの風刺劇場で俳優と舞台監督を務める。1949年、バランドフ撮影所に入りシナリオライターを経た後、サーカスを舞台にした映画をつくるようになる。
代表的な作品は1964年[レモネード・ジョー](西部劇のパロディー。怪盗ホォゴ・フォウゴから父娘を守るべくレモネード・ジョーが活躍!らしい。)1969年[アインシュタイン暗殺指令]、1977年[アデラは夕食前]、1981年[カルパテ城の謎]、遺作となった1986年[偉大なる映画泥棒]など。
チェコスロバキアが生んだ、巨匠リプスキー独特のとぼけた面白さに骨ぬきにされます。ヤンが特殊撮影を担当している作品あり。


アインシュタイン暗殺指令
I killed EINSTEIN,SIRS!


西暦1999年、核兵器の影響で女性にひげが生えてきてしまった未来の人類。歴史を変えるべく、タイムマシンに乗って1911年のプラハへ、原爆を発明する前のアインシュタインを暗殺しにいく3人の化学者達。しかしアインシュタインと恋に陥ちた女化学者が、万事うまくいく方法を考えつく。

こう書くと何だかSF巨編のようですが、実はほとんどコメディ。でも現代のコメディ映画のような感じではなく、ヤンファンなら絶対にわかるチェコ笑い。特筆すべきは、われらが「ファウスト」のペトル・ツェペック氏が飄々とした若きアインシュタインとして出演!!こんな頃から役者をしていたとは・・・。しかも痩せていてかっこいい。

1969年カラー99分ビデオ=クラウンレコード(廃版)
監督=オルドジフ・リプスキー、脚本・原作=ヨゼフ・ネスバルバ、音楽=ブラスティミル・ハーラ、撮影=イヴァン・シュラペタ
キャスト=ユジィ・ソバク、イアナ・ブレイフォバ、ルボミェラ・リプスキー、イヴァ・ヤノシュロバ、ペトル・ツェペック、ラドスラフ・ベルゾボハティ


アデラは夕食前
Adela jeste nevecerela (Adela had no supper yet)


アメリカの名探偵ニック・カーターは、愛犬捜査の依頼を受けプラハヘ出張する。ところがその愛犬は、かつてカーターが退治したと思っていた犯罪王クラツマル男爵の創った食肉植物アデラの餌になっていた。さらに男爵は、高校生の頃自分を落第させた教授に復讐すべく、教授とその娘クヴェトシュカをアデラに食わせようと企むが・・。

日本公開時のタイトルは[アデラ/ニック・カーター プラハの対決]([アインシュタイン暗殺指令]といい、何故わざわざ重そうな題にするのか?)
ヤンが特殊撮影のスタッフとして関わっているのでヤンファンは必見です。アデラ花のぐにょぐにょした動きはまさしくヤン・・涙でます。まさに「まだ見ていない人は幸せ」な大傑作。
アデラ論が必見な長谷川研究室のホームページはこちら

1977年カラー106分1983年日本公開ビデオ=パックインビデオ(廃版)2004年、プラハのビデオ屋でふつーに389コルナでビデオ、589コルナでDVDが売られていた(←画像)
監督=オルドジフ・リプスキー、脚本=イジー・ブルデチカフ、音楽=ルボシュ・フィシェル、撮影=ヤロスラフ・クチェラ、特殊撮影=ヤン・シュヴァンクマイエル
キャスト=ミハル・ドチョロマンスキー(ニック・カーター)
ルドルフ・フルシンスキー(レドビナ警部)[スイート・スイート・ビレッジ]に出演
ナジャ・コンヴァリンコヴァー(クヴェトシュカ)
ミロシュ・コペツキー(クラツマル男爵)


カルパテ城の謎
Tajemstvi hradu v Karpatech (The Secret of the Castle in the Carpathians)


テレック伯爵は、結婚を目前にして誘拐された美貌のオペラ歌手・ベルデを思い悲嘆にくれる。伯爵は失意の旅の途中で、森で傷を負った村人ビルジャを助ける。村での噂から、ゴーグ男爵に誘拐されたベルデがいるのではという希望を持ってテレック伯爵はカルパテ城に向かう。

テレック伯爵=ニック・カーターで、リプスキー映画の常連ドチョロマンスキー(すごい名前だなあ)が相変わらずいいかんじ。

1981年カラー99分1987年日本公開ビデオ=クラウンレコード(廃版)
監督=オルドジフ・リプスキー、脚本=イジー・ブルデチカフ/オルドジフ・リプスキー、音楽=ルボシュ・フィシェル、撮影=ビクトル・ルージチカ、特殊デザイン=ヤン・シュヴァンクマイエル
キャスト=ミハル・ドチョロマンスキー(テレック伯爵)
ヤン・ハルトゥ(ビルジャ)
ミロシュ・コペツキー(ゴーグ男爵)
ルドルフ・フルシンスキー(オーファニック教授)

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