悦楽共犯者
Spiklenci Slasti (Conspirators of Pleasure)


6人の悦楽共犯者たちによる「性交のない最初のエロティック映画」。こう書くとなんか妙にお洒落だけど、そこはヤン、そんなわけはない(いい意味で)。
別々に生活しながらも、どこかで繋がる6人の男女が、謎の行為にふける。その行為は間抜けなようでいて真剣、でもやっぱり笑えるのはヤンだから。
終盤までアニメーションが使われない。だから、クライマックスの突然のアニメーション攻撃に打ちのめされる。
悦楽に酔いしれる(?)たびに、一人一人違う音楽が鳴る。その6種類の音楽を担当したのはクエイ兄弟。セリフは一切なく、音楽と音響が際立つ。
主人公ピヴォイネの、謎の鶏人間(画像参照)は、マックス・エルンストの小説に出てくる「怪鳥=ロプロプ」がベース。



なまえ職業音楽 えつらくぶり
ピヴォイネ
Pivoine
不明交響曲 一応主人公?マールコヴァから「日曜日に」と書かれた手紙を配達され、大急ぎで「鶏のかぶりもの」を製作。ロウバロヴァの部屋に無断であがりこみ(散らかり放題)、ミシンまで使う徹底ぶり。ヴェトリンスキーの車を盗んで山里へ行き、ロウバロヴァ人形を相手にロプロプ爆発!
「ファウスト」のラストで主人公とぶつかる次なる犠牲者はこのペトル・メイセル君。後ろ髪が長いところも変わっていない。
ロウバロヴァ
Loubalova
不明あやしげ(教会っぽい?) ピヴォイネの隣人。猫と暮らす未婚のオバチャン、という雰囲気。吟味してろうそくを購入した後、ピヴォイネを模した藁人形を相手に廃虚でSM・・。
ワードローブがかわいい。しかし鶏の首は躊躇せずかっ切れる強者。
マールコヴァ
Malkova
郵便配達人チル系 パン(ヨーロッパで見かけがちな不味そうな茶色パン)をちぎって指で丸めまくる。家に帰ると、その玉をしこたま体に注入し、至福の眠りへ・・。6人の橋渡し的役目も。
髪を下ろすとかわいい。
クラ
Kula
雑誌店経営たのしげ 店番の合間にハイテクな電動自慰機械を製作。アナの大ファンで、ニュースが始まるとテレビに釘付けになる。
一般的に判りやすいのがこの人では?現実にいそう(いないか)。目がこわい。
ヴェトリンスキー
Wetlinski
刑事オペラ アナの夫。工事現場でブラシを盗んだり、指サックを万引きしたり、他人のキツネ毛?ショールをこっそり頂いたりして(刑事なのに・・)ローテクな自慰道具を製作。
彼の「痛きもちいい」悦楽ぶりはみもの。けっこうダンディー。
アナ・ヴェトリンスカー
Anna Wetlinska
ニュースキャスターメロドラマ調 夫との冷え切った性生活を、鯉(クリスマスのチェコでは、伝統的なごちそうとして樽に入った鯉が売られる)を飼ってなぐさめる。
現実にチェコの人気キャスター(本名)。作品中でのニュースのジングルは実際に使われているものと同じだった(97年の時点では)のが笑える。


チェコ・イギリス・スイスカラー87分セリフなし
制作=Athanor(Praha)/Koninck International(London)/Delfilm(Geneva)
脚本・監督・美術=Jan Svankmajer
撮影=Miloslav Spala
アニメーション=Bedrich Glaser, Martin Kublak
プロデューサー=Jaromir Kallista
音響=Ivo Spalj , Francois Musy
音楽オペレーション=Brothers Quay, Olga Jelinkova
キャスト=Petr Meissel(ピヴォイネ)
Gabriela Wilhelmova(ロウバロヴァ)
Barbora Hrzanova(マールコヴァ)
Jiri Labus(クラ)
Pavel Novy(ヴェトリンスキー)
Anna Wetlinska(アナ・ヴェトリンスカー)

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