今月の丸 2002年6月号 「空中機動軍」 |
久しぶりに復活しました、丸の紹介です。いや、全然時間ないですし、他のコンテンツにかまけていたので。申し訳ないです。 今月号は「空中機動軍」。空挺部隊の話、特にヘリボーン作戦の話です。ヘリボーンと言っても、あまり聞いたこと ないなぁ・・・という方がおられるかも知れないので、ちょっと解説しますと、ヘリコプターを中心とした空中機動、空挺降下を行う作戦です。特殊 部隊なんかも良く使っていますね。ヘリボーンに対して、エアボーンという単語もありまして、こちらは固定翼機による作戦。今ではほとんどパラシュート 降下のことを指しますが、最近は損害が多いことや部隊集結が難しい等の理由で、ほとんど使われていません。もっぱらヘリボーン中心です。 空中機動兵力というと、思いつくのはアメリカ第一騎兵師団です。ベトナム戦争の時に、ヘリボーン作戦の主役として誕生した、 空中機動の専門部隊で、車両装備は通常編成の歩兵師団の1/3くらいしか持っていないですが、代わりに輸送ヘリや攻撃ヘリを、編成にわんさか持っている、ヘリボーンのための部隊です。 騎兵と名前がついていながら、当然のことながら馬は一頭もいません。第二次世界大戦の頃は、純粋な機甲部隊として、太平洋戦線で活躍した師団です。その後、一旦解隊されましたが、また復活したという経緯があります。 本書ではその第一騎兵師団の話が2編、アメリカばかりじゃ片手落ちだろうと、ソ連空挺部隊の話も1編載っています。ソ連空挺部隊はアフガン作戦の頃にヘリボーンで大活躍しているのですが、アフガンゲリラもスティンガーを持っていたり、指揮系統がうまくいかなくて、損害も多かったみたいです。今は、予算もないし、もう少しコンパクトになって、戦訓も取り入れているので、マシにはなっているみたいですが。 あと、掲載されているのは、陸自の新編成部隊である第12旅団。元々、中部地区を固めていた第12師団を旅団化したものですが、新編成の際に即事性の高い、空中機動旅団として編成変えされています。 基幹兵力は3個連隊ですが、1個連隊は本部中隊と3個歩兵中隊で構成されています。コレって大隊とは言わないんでしょうか?550名で連隊っていうのは、大戦末期のドイツ軍みたい。あ、即応予備の連隊として、48普通化連隊も新設されてます。これで4個連隊編成です。全部足しても3000名に足りない歩兵部隊・・・。 あと戦車大隊が廃止された代わりに、ヘリコプター隊が新設されました。輸送ヘリがUH−60とCH−47Jがあわせて16機、それに観測ヘリとしてOH−6があります。 全部あわせて、一回の機動で輸送できるのは、重装備を外した1個連隊といったところでしょうか?岐阜にいるので、本州の東西南北どこにでも移動できそうですが、どうにも輸送力が足りないですね。これから連隊兵力と輸送ヘリの能力、それにいまはない、攻撃ヘリを増やしていくしかないですが・・・どこまでやり遂げられるのか・・・重装備の師団よりは役に立ちそうな部隊なんですけどね。 あと、丸なんで、ドイツの空挺部隊史も載っています。この手のネタはあちこちでやっているんですが、今回の記事は空挺部隊の輸送機、グライダーの話が中心です。これも結構知られていますけどね。 グライダーといえば、日本のク8の話も載っています。こちらはあまり知られていないですね。ク7があまり性能がよくなかったので、さらに改良されて作られた機体なんですがって、ク7も知られていないし。 日本陸軍の空挺用グライダーです。私が知っている限りでは、沖縄に第九師団を空中輸送したときぐらいしか、使用されていないみたいですが。 さて、誌中の「ワイドイラスト」は「航空工業再開50周年 日本のつばさ開発クロニクル」です。戦後、航空開発が再開された後に、日本で作られたほとんど全ての航空機が網羅されています。 戦後の日本の航空機と言えば、富士重のT1、各社共同のYS11、新明和のP(U)S−1、三菱のF1、F2なんてところでしょうか?世界最新鋭というほどにはなっていないですが、ゼロからここまで来たという点は充分評価できると思います。 「ワールズウェポン百科事典」はドイツに鹵獲された連合軍軽装甲車の末路です。明らかに量産国より活躍しているところがなんともいえません。 「戦史発掘」は、グライダーの話が今月号は中心になっているので、こちらもグライダーの話。海軍滑空機特攻隊の話です。こちらに、海軍特攻機としては幻の「神竜」の話が載っています。「神竜」については知らない人も多いかと思いますが、一人乗り木製の特攻用グライダーです。贔屓目にみても、戦果のあげられる機体ではないです。500キロ出せる一線機の特攻がバタバタと落とされているときに、無動力のグライダーが連合軍の防空砲火を突破できると思っていたのでしょうか? 今月は記事としては、馴染みの薄いものが多いような気がします。来月は、ミッドウェー海戦60周年特集みたいなので、きっと良く見知った名前がたくさんでていることでしょう。 |