2000年5月号

対 戦 車 戦 闘 車
〜タンクバスター〜




表紙は3号突撃砲です。灰色系の塗装が良く映えてます。3号突撃砲は量産性もよく、車高が低く、戦闘力が高い ため、戦争中期より各戦線で、戦車の不足を補って大活躍した車輌です。


カラー写真では、「フランス駆逐艦ジャン・バール」が掲載されています。フランス駆逐艦の写真は丸では珍しいの ですが、本級の掲載もほとんどないはずです。同級2隻しかありませんし、なかなか日本では馴染みのない艦ですし。
あとはニムロッド対空戦車という、恐ろしくマイナーな車輌のカラー写真が載っています。元はスウェーデンが開発 したL62という対空戦車の元祖と言えるものが原形になっているのですが、ハンガリー機甲師団の装備した対空用車輌で、登場した当時には、各国 ともまだ対空戦車の本格装備は行なっておらず、ひじょうに先見の明があったと言えます。40ミリ機関砲装備ですから、対空のみならず、地上戦 でも大いに威力を発揮したでしょう。
デザインはちょっと無骨な感じですが荒々しい感じもかもだしていて、興味をひかれます。


モノクロ写真では、まず「M4シャーマン戦車」の太平洋戦線での写真が幾つか掲載されています。ちょっとだけM3軽戦車 とかも載っていますが。
太平洋戦線ではほぼ無敵を誇ったM4シリーズは、島嶼戦に投入されて絶大な威力を発揮しました。しかし、写真の解説にも載っているのですが、M4では なく、M3ですら9000両を超える生産数を誇っており、戦車戦力では日本に勝ち目がなかったのがわかります。ちなみに日本の中戦車群では、M3軽戦車 にすら歯が立ちませんでした。
写真は密林戦と沖縄戦を中心に掲載されており、ヨーロッパでの対機甲戦とは違う、歩兵陣地攻撃用の散開陣形を描いた戦車群に興味深いです。


「Uボート写真集」は今号が最終回です。けっこう好きな写真シリーズだったんですが。今回の写真で一番興味を惹かれるのが、 空襲を受ける21型Uボートですね。21型の空襲シーンというのは今回初めて見ました。実戦参加はしていましたが、こういった 本格的な作戦参加をしているとは思っていなかったので。あとはUボートブンカー(Uボート用の補給・整備用コンクリートシェルター)や500番台Uボートが 何隻が載っているのも興味深い点です。




駆逐戦車といえばドイツ!という訳で、ドイツ中心になるのは仕方のない特集です。なんせ戦後の西ドイツでの「ヤークトパンツァーカノーネ」という、対T56用 駆逐戦車を作っているくらいですから。
あとはソ連の重自走砲(SU−100とかISU−122とか)も記事になっています。これらも重装備対戦車自走砲としては外せませんし。一応アメリカのT10やT36、イギリスのアーチャー なんかも載っていますが、どうしても独ソと比較すると見劣りがするのは仕方ないかなといった感じです。もっとも、日本に至っては今回の特集の参加資格がないですから(苦笑)。

今回の特集で、特に圧巻なのが、ドイツ対戦車自走砲(含む突撃砲)の一覧カタログがあることです。それも純正車輌のみならず、同盟国やフランス拿捕車輌の改造型まで載っています。かなり、 資料としては使い勝手がよさそうなので、これはいいな〜とちょっと読みふけってしまいました。しかし、フランス戦で捕獲した「マチルダ」改造車輌まで載っていますから、ちょっとすごいな といえるかもしれません(笑)




今回のワイド・イラストは恒例、「ミリタリーグルメ推奨・戦闘糧食の三つ星を探せ5」です。この特集好きなんです。5回も続いているということは、けっこう人気 あるんですね〜。読み応えありますし、食べてみたくなります。でも、自衛隊の糧食ぐらいしか無理でしょうね。あれって市ヶ谷の自衛隊の売店で買えると聞いたことがあるんですが、本当でしょうか(笑)
今回はスウェーデン・ノルウェー・マレーシアという3カ国です。回を追うごとに国がどんどんマイナーになっていく(笑) それはともあれ、各国のお国柄が出ていて、読み物 としては、かなり面白いです。シリーズまとめて単行本化するとたぶん買っちゃいそうですね。そのくらいこのシリーズはお気に入りです。

「ワールズウェポン大百科」は、日本工兵の力作車です。力作車といってもピンと来ない人もいるかも知れませんが、まあ、工兵用の専用重機だと思って頂ければいいかと。ちょうど 今の工事現場で見かける車輌の元祖みたいなのがずらっと並んでいます。
発電車や空気圧縮車まで載っています。もっとも開発されても、生産・配備車輌が少ないので、それほど活躍したのかな?という疑問もありますが。後方車輌に興味あるかたにはおすすめの特集です。

「海軍エビエーション物語」は今回。艦隊配備された水偵隊の話です。時期的には昭和1桁ごろの話ですね。前回も水偵隊の話でしたが、今回も艦隊水偵隊の構成とその作戦目的に ついて、解説されています。水偵隊は太平洋戦争序盤でも、陸上機隊を補って大活躍しましたが。その発展期の話が色々載っています。夜偵(夜間水上偵察機)の話なんか、けっこう面白く読めました。ただし 太平洋戦争ではほとんど利用する機会のなかった機種ですが(^^;

長編戦記では北支那を走り回った「独立混成第7旅団工兵隊」の話です。ひぐまと鉞で格闘したという名物男を中心とした新兵さん奮戦記で、ほのぼのと読めていい感じがします。




4月号がトップ(今月の丸を飾っていたのはたったの一日でした(笑)その時点でだれか見てくれたのだろうか(爆)
まあ、なんとか、その月中に更新できるように、これからはがんばります!ちなみに来月は「潜航奇襲作戦」 です。伊400とか伊25かな?ドイツのUボートなんかも記事になりそうですね。さて、さっさと買って書きましょう(笑)


2000/4/10 佐藤裕紀




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