市議会での発言のページ
2004年12月17日

12月議会で行った私の討論です。

議員定数削減に反対討論
2004年12月議会

行財政改革のために議員定数を削減するということは、市民の政治参加の道を狭めるものであり、市民が政治の主人公として「市民の幸せ」を追求するための行財政改革に逆行するので、賛成できません。

(1)議会が本来の役割を果たしてきたか

確かに市民の中には「議員を減らせ」という声が少なからずあります。議会が何をしているのか、よく見えないことの反映ではないかと思います。

市議会は、本来市民の代表として、市長が行う行政をチェックし、住民要望を実現させ、さらに市民の声を国や県へ届ける役割を果たすべきものです。この意味で我々議会は、自らを省み、それにふさわしい役割を果たしているか、大いに吟味する必要があります。

まず、「チェック機能が果たされているか」「行財政改革に役立っているか」という問題ですが、最近では市長交際費を大幅に削減させるなど、「市民オンブズ小矢部」の活動と相まって、それなりの役割を果たしています。過去には、税金で飲み食いすると批判の強かった食糧費について、1995年度には2800万円以上使っていたものが、99年度は550万円へと、5分の1に削減できました。旅費についても、96年度には4200万円使っていたものが2400万円へと、半分近くにまで節約できました。市の借金による金利負担についても、99年度は3億円の繰上げ償還を行い、将来にわたる利息9500万円を節約できました。この点では、行政をチェックし、正すという議会の役割がそれなりに発揮されたといえます。

しかし同時に、かつて市民から批判の強かった「クロスランドタワーに18億円」も使った予算とか、いま問題になっている綾子河川公園建設に7億5千万円を使う計画に対して、議会が「ノー」という態度を示していれば、市民の議会を見る目が大きく違っただろうと思います。「これこそ市民の気持ちを代弁して頑張ってくれる議会だ」と、議会に対する評価が大きく高まったのではないでしょうか。議員定数を減らして2千万円余り節約するという発想は、議会の本当の役割がどこにあるか、それを見失った議論だといわなければなりません。

また、議会が「国、県へ市民の気持ちを十分反映させているか」という点でも、市議会は十分にその機能を果たしていない現状が残念ながらあります。この議会で産業建設常任委員会は、小矢部市土地改良区から出された陳情について「国で三位一体の改革が議論されているときに、地方議会が個別の補助金についてものをいうのはいかがなものか」との口実で、保留としました。国で議論されている段階で、地方の実情をふまえて市民の意見を代弁してこそ、市議会の役割があるのではないでしょうか。

(2)議会改革の一歩は誰が何をしたかを公開すること

議会が市民の声に充分答えていないとすれば、これを変えることこそ議会改革のはずです。そのためには第一に議会の公開、つまり議会で誰がどんな主張をし、どんな役割を果たしているかを市民にひろく知らせる努力が重要です。各常任委員会の様子もケーブルテレビで放映するとか、議会だよりに誰がどんな質問をしたのか、議員の名前を入れるように改めるなど、すぐにできる改善策はあります。

市民からみて議員が特権的な身分と批判されるようなことは直ちに改めるべきであります。たとえば、議長公用車による毎日の送迎とか、議員の海外視察などはすぐに改めるべきであります。率直に言いまして、これらの問題点について議会改革特別委員会でもいろいろ議論してきましたが、なかなか抵抗があって、すっきりとまとまりませんでした。地方議会に政党は余り関係ないと思っておられる向きもありますが、現実には所属政党に縛られている様子がしばしばうかがえるのであります。

(3)議会を変える方法のカナメは選挙

それではこのような議会を変える方法はないのでしょうか。あります。市民の力で議会を変えるには、4年に一度行われる選挙がカナメです。選挙は無記名で行われる秘密投票です。誰が誰に投票したか、まったくわからない仕組みですから、自由に自分の意思で投票できるのです。選挙という方法でこそ、議員を交代させることが可能になるのです。議員を交代させたいと思う市民は、誰でも立候補する権利があるのです。

ところがここでも改善すべき問題があるように思います。仕事を持つ人の中で75%を占めるつとめ人、つまり雇われている人が選挙に立候補しにくい問題、とりわけ中小企業に勤める労働者にとって議会活動と勤務の両立が難しい問題があります。そこで小矢部市のような人口規模の自治体では、夜間に会議を開くとか、日曜、祝日に議会を開くなどの改善も必要ではないかと思うわけです。

もちろん選挙権、被選挙権は憲法が国民に保障する重要な基本的人権の一つですから、社会がそれを保障するように努力することも、当然のこととして求められます。

(4)議員定数削減は市民政治参加の道を狭める

さて、主権者である市民の声、意向が反映する議会をつくる上で、はたして議員定数削減が有効でしょうか。

私は、定数削減が市民の多様な意見を反映することに逆行し、市民の政治参加を狭めるのだということを強調したいのです。そのわかりやすい例が衆議院に導入された小選挙区制です。富山3区の定数が3から1に削減されたら、39万人の有権者のうち16万人弱の支持で自民党が議席を独占し、残り23万人の有権者の声が議会に反映しなくなりました。これが議会不信の一番根本の原因ではないでしょうか。

定数削減では現在の議員には、一つも痛みが伴わないのです。議員報酬も、政務調査費も何も変わりません。ただし、次の選挙での定数が3人少なくなるということは、すべての市民、有権者にとって、議員に出て政治に参加しようとすると、その枠が20人から17人へと狭くなるのです。市議会の定数削減は、小選挙区制を導入したことと同じように市民の政治参加を狭める自殺行為であり、議会改革に逆行します。

真の議会改革を実現するためにも、この議案を否決されるよう訴えて私の反対討論とします。



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