市議会での発言のページ
2003年12月18日

12月18日に行った討論原稿です。
請願の紹介議員となった宮西佐作議員は、私といっしょに請願の賛成の起立をしました。

 なお、請願を審議した総務常任委員会が本会議で行った委員長報告を文末に掲載しました。

20031218

イラク派兵反対の請願に賛成討論

 

自衛隊へ息子を入れた親から話を聞きました。よい就職口がなくて、自衛隊なら国家公務員だと思って入れたのだけれども、イラク派兵の話が出てきて、たいへん心配しているというのです。2年間すぎたら、資格を取って自衛隊をどうしてもやめさせるというのです。

イラクへの自衛隊派兵は、人ごとではありません。

加藤紘一氏の発言

私は、1217日付の北陸中日新聞に掲載された元自民党幹事長、加藤紘一氏の発言に注目しました。小泉首相の盟友といわれた人物の発言です。

イラク戦争の不当さについて、彼はこういっています。「イラク戦争が大量破壊兵器の存在を大義に始められ、それが見つかっていないという根本的な問題点は、フセイン元大統領が拘束されようがされまいが変わりはない話しだ」。

日本が国際社会のなかで果たすべき役割についての発言も注目すべきです。「イラク戦争に大義がなかったとか、復興には全力で協力するが武力行使に限りなく近いことはできない、と日本が言っただけでも国際社会は大きく動く。米国では大統領選挙にも影響するかもしれない。日本にはそれだけの影響力があるはずだ」と述べ、

さらにアメリカとの関係について、「私は自衛隊派遣に反対だが『それでは日本政府とブッシュ大統領との関係は悪くなる』と心の中では思っている。それでも、米国民の半数以上には訴えるものがあるはずだ。大統領とは遠くなっても、米国民全体とは遠くなるとは思わない」と述べています。

国民の命に責任を持つ立場から物事を冷静に、ありのまま見つめ、勇気を持って自分自身の判断に忠実になるならば、イラク戦争に関しては、自民党の政治家でも私とおなじ見方になるのだと思いました。

 

総務委員会での発言について

総務委員会の審議において、世論調査でも、自分のまわりの人もイラクへの自衛隊派兵にみんな反対していると述べる議員がおられましたが、それなら、なぜその思いを、勇気を持って貫けないのでしょうか。その方は「主目的は戦争に行くのでない。人道支援だ」と自らにいいわけをして「致し方ない」と述べられました。しかし、それならなぜ、イラクにある日本大使館に危険が迫ってくるのですか、日本人は日本大使館に近づかないようにと警告されるのですか。

国会審議では、自衛隊の任務が「人道支援」といいながら、迫撃砲で武装した米英軍も運ぶことができると、防衛庁長官は答弁しました。その実態は米軍支援であることはあきらかです。アラブ諸国も、世界各国も、みんなそう見なしているのです。口先でいかに「人道支援」と言い張っても、誰もそれを信用していないのが実態です。

米英占領軍に対するイラク国民の反発が強まり、米軍の司令官自身が「イラク全土が戦闘地域だ」と言っている現実を無視してはなりません。

自衛隊員は、「日本を守るため」と言われて、自衛隊に入ったはずです。こんどのイラク戦争は、アメリカが国連憲章を無視して一方的に先制攻撃をしかけた無法な戦争であり、その口実とされた大量破壊兵器も発見できていません。無法な戦争によるアメリカ、ブッシュ政権による占領支配が困難に直面したからといって、その尻ぬぐいに日本が自衛隊を出す理由はまったくありません。現実を直視し、勇気を持って自衛隊派兵に反対していただきたい。

 

憲法違反の自衛隊派遣は許されません。イラクにいるジャーナリストからメールが届きました。サマワの人々は、日本から企業が来て、自分たちを雇ってくれると信じているそうです。日本は憲法9条を持ち、イラクと同じようにアメリカに占領された国だから、軍隊が来るとは思ってもいないというのです。平和憲法をもっている国から軍隊が来たら、日本に期待している人たちの期待を裏切ることになります。

 

総務委員会の審議で、「人道支援は自衛権の行使だ」というとんでもない発言がありました。「自衛権の行使だ」と言えば、どんな無法をも合理化できるというのでしょうか。恐ろしいことです。第2次世界大戦で日本が中国から東南アジア、シンガポールまで攻めていった口実に「自衛のため」と言うことが使われていた歴史を思い起こします。

 

「イラク派兵の危険な可能性について議論するときりがない」という発言には、驚きました。派遣予定地のサマワは劣化ウラン弾による放射能汚染がひどい地域と言われています。そこへ派遣される隊員の安全について真剣に議論もせずに、ブッシュ政権に言われるままに、小泉首相の言うがままに、「自衛隊派遣」を、よくも言えると思いました。政治家としては、まったく無責任きわまりない態度です。人の命を何と思っているのでしょうか。

 

私は、自民党の加藤紘一氏とは政治的立場は異にするものです。しかしこの問題では加藤氏の発言、「政府は米国を支持しないという選択肢はないと初めから決め、思考停止した。(考えることをやめた。)本来ならこんな時こそ外交・安保の論議をもっと深くやるべきだ」との意見に同意します。自民党に所属しておられる市議会議員の皆さんにも、加藤氏を見習って、イラク派兵反対の声を、圧倒的多数の国民とともに、勇気を持ってあげ、この請願を採択されることを訴えて、私の討論とします。


請願の委員長報告

 本請願については、各委員がさまざまな想いに基づき審議した結果不採択となりました。しかし、イラクの早急な復興を願い、世界の恒久平和を求める国際社会の一員であるという日本の立場から、人道的貢献のため自衛隊を派遣することの必要性は十分に理解できるものでありますが、派遣される自衛隊員の安全確保や派遣時期の決定、派遣場所の選定にあたっては慎重を期する必要があり、今後とも国の動向を注視していく必要があるとの強い意見がありました。

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