市議会での発言のページ
2003年11月20日


市職員の給与引下げに反対

臨時市議会で砂田市議

 

11月20日開かれた小矢部市議会臨時議会で市職員給与条例改定が議論され、砂田市議が二つの理由を挙げて反対討論をしました。

 

人事院勧告制度の労働者救済という目的に反するから

労働者の救済を目的とした人事院勧告制度の運用を誤ったものです。

憲法第28条は、労働基本権を保障しています。ところが戦後アメリカ占領軍の要求で公務員労働者のスト権を政令201号で奪い、この代償として人事院勧告制度がつくられました。

それが、労働者の賃金引き下げを勧告し、しかも、すでに支給された賃金まで返還させることは、この制度の趣旨からも許されません。

日本経済の回復に逆行する

公務員給与の引き下げは、民間の賃下げに拍車をかけて景気回復に逆行し、大多数の勤労国民の生活水準を引下げることになります。

空前の利益を上げたトヨタ

幾百万の労働者の努力のたまものが大企業に独り占めされる

日本の大企業は、史上空前の利益を上げています。トヨタは02年度第3四半期の連結決算によると、昨年4月から12月までの9カ月間の経常利益が、前の年の同じ時期にくらべ53・3%増の1兆1642億円です。この利益は、労働者たちが額に汗して、働いて生み出したものです。この莫大な利益を財界、大企業が独り占めし、労働者にはリストラと賃金の切り下げ攻撃を加えていることは許されません。いまこそ日本の労働者と国民は、憲法が保障する労働基本権を行使して、賃下げ、リストラ攻撃と闘うべき時です。

国に逆らってでも

 住民のために働く公務員がいた

リゾートホテルを食い止めた湯布院町職員

砂田市議は、18日夜放映されたNHKテレビのプロジェクトX(大分県湯布院町)を紹介し、公務員のあり方を問いました。全国各地でリゾートブームが盛んな頃、湯布院町ではリゾートマンション反対運動と協力して、町の景観を守るために、建設省と直談判し、条例で規制したのです。当時小矢部市が、市の土地利用計画を変えてまでゴルフ場開発に協力したのとは、大違いでした。公務員が、国、県の指導に逆らってでも町民の利益を守ったのです。

合併問題で国のだましの手口を破ったわが市職員

小矢部市にも、市町村合併問題で、「合併しないと町は生き残れない」などと言う国、県からの圧力に抗して、「そうではない」と、専門家としての知識を生かし、財政見通しをはっきりさせ、市長や市の幹部に正しい認識を与えた職員たちがいました。

砂田市議は「このような公務員なら、住民も給料を下げろなどと非難しないのでは?」と問いかけました。

 

憲法第28条とは

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 



給与条例改定に反対

 

20031120日、小矢部市議会臨時議会が開かれ、給与条例改定が議論されました。私が行った反対討論の原稿です。

 

私は、議案第43号、小矢部市職員の給与に関する条例の一部改正について、次の二つの理由から反対するものです。

人事院勧告制度の労働者救済という目的に反する

まず第一は、労働者の救済を目的とした人事院勧告制度の運用を誤ったものだと言うことです。

憲法第28条は、労働基本権を保障しています。すべての労働者の団結権、つまり労働組合をつくり、それに加入することを保障し、団体交渉権、ストライキなどの団体行動権、争議を行う権利を保障しています。働く人々の生活と権利を守るために、解雇や賃金切り下げに反対してたたかうこと、年金の切り下げに反対してたたかうことは、日本の憲法が保障しているきわめて大切な国民の権利です。

しかもこの権利は、世界中で当たり前の権利として、アメリカでもヨーロッパでも行使されています。フランスでは警察官の労働組合もあるのです。

ところが戦後日本を占領したアメリカは、19487月芦田内閣に、公務員労働者のスト権剥奪を要求する書簡を送り、政府は臨時措置として、政令201号を発令し、公務員の労働基本権を奪い国民を弾圧しました。

この代償として人事院勧告制度がつくられたものです。公務員の争議権を不当にも奪っている代償として、労働者の利益を守る役割を担うのが人事院勧告制度のはずです。それが、労働者の賃金引き下げを勧告し、しかも、すでに支給された賃金まで返還させると言うことは、この制度の趣旨にてらしても許されないことです。

今年6月、ILO、国際労働機関理事会は、日本の人事院勧告制度が公務員労働者の争議権を奪っていることの代償措置としても、適切に機能していないと判断を下しました。国際的にも通用しない不当なことは、直ちにやめるべきです。これが反対する第一の理由です

日本経済の回復に逆行する

第二は、公務員給与の引き下げは、景気回復に逆行し、大多数の勤労国民の生活水準を引下げることになるから、反対です。

人事院勧告が、民間と公務員の格差解消を口実にしていますが、大企業がリストラに加えて賃下げ攻撃を加えている中、勧告どおりに実施されると、景気悪化の原因ともなっている個人消費をさらに落ち込ませ、日本経済をより深刻にします。

空前の利益を上げたトヨタ

幾百万の労働者の努力のたまものが大企業に独り占めされる

その一方でトヨタなど、日本の大企業は、史上空前の利益を上げているのです。2002年度第3四半期の連結決算によると、昨年4月から12月までの9カ月間の経常利益が、前の年の同じ時期にくらべ53.3%増の11642億円となっています。この利益は、労働者たちが額に汗して、働いて生み出したものです。この莫大な利益を財界、大企業が独り占めし、労働者にはリストラと賃金の切り下げ攻撃を加えていることは許されません。いまこそ日本の労働者と国民は、憲法が保障する労働基本権を行使して、賃下げ、リストラ攻撃と闘うべき時です。

 

新しい日本をつくるためにたたかおう

人事院勧告制度による不当な賃金引き下げ攻撃を打ち破ることは、これからの日本社会のあり方を問うでもきわめて重要なことです。私は、二つの側面から、この課題の意義を訴えたいと思います。

一つは、ヨーロッパのように、日本社会も働くものの生活と権利を守るルールある社会へ前進するかどうかが問われていると思います。

ヨーロッパでも、一九八〇年代から九〇年代にかけて、保守的政権のもとで、「規制緩和万能論」が強まり、労働者のたたかいによってかちとってきた労働のルールを壊そうという逆流が強まりました。それにたいして、フランス、ドイツ、イギリスなどでは、数百万人という規模で労働者が参加したゼネストをはじめ、強力な反撃のたたかいが起こりました。このたたかいは、個々の企業での賃上げや労働条件の改善をかちとるにとどまらず、解雇規制をはじめとする労働のルールを守り、前進させました。さらに、「企業の社会的責任」がEU全体の共通の認識となり、雇用や環境などの分野でそのための法令が整備されるとともに、情報公開の強化などをつうじて企業に自主的努力を促す方策がすすめられています。ヨーロッパでは、このように、無法な攻撃にたいする社会的大反撃の闘争のなかから、暮らしと労働を守るルールをつくりあげてきたのです。そしてこれらのルールが、ヨーロッパ経済の安定性と強さの一定の基盤ともなっています。

日本の国民も、たたかいによってルールをかちとった歴史的経験をもっています。一九六〇年代から七〇年代にかけての国民のたたかいは、いまに生きる暮らしを守る重要なルールをかちとってきました。七〇年代のオイルショックに便乗して一方的な整理解雇の攻撃が吹き荒れたさい、全国の労働者の強力な反撃がわきおこり、七〇年代後半に全国各地の裁判所の判決で「整理解雇の四要件」と呼ばれる一方的解雇を規制する判例体系が形成され、労働者の権利を守る重要なルールとして確立していきました。六〇年代後半から大きく発展した公害反対の住民運動は、「四大公害裁判訴訟」をへていっそう前進し、七〇年には「公害国会」を開かせ、公害対策を大企業を拘束しない範囲にとどめていた従来の公害対策基本法を改正させ、環境を守るルールの重要な前進がはかられました。世界に類をみない職場での異常な思想差別にたいして、長期の困難な闘争をたたかいぬき、東京電力、中部電力、関西電力など、すべての裁判で勝利をかちとり、こうした野蛮な思想差別を許さないルールを確立したことも、こうしたたたかいの成果です。女性の賃金差別を許さないたたかいも重要な前進をかちとりました。

しかし、一九八〇年に革新統一の運動から社会党が離脱し、共産党を排除することを公明党と約束した「社公合意」で、日本の労働組合運動の右傾化の傾向が顕著になりました。労働者の権利や生活向上の要求を抑え込もうという労資協調主義が横行し、勤労者の生活と権利を守る社会的たたかいの力を大きく弱める事態がつくりだされてきました。

この弱点を克服し、不当な攻撃には強力な社会的反撃をもってこたえる社会へと前進していくこと、“たたかいによって暮らしを守るルールを確立すること”このことが、日本社会が「国民が主人公」の社会へと前進する上できわめて重要になっています。

あるべき公務員の姿

もう一つは、公務員のあり方を問う問題です。

もちろん公務員の賃金は市民の税金で支払われているので、市民の納得を得られるものでなければなりません。最近の不景気の元で、公務員に対する風当たりが強いことは理解できます。公務員のあり方が問われていることも、あわせて指摘しておかなければなりません。

以前に議会で問題にしたように、公務員が全体の奉仕者として、市民の利益を守って働いているのか、疑問なことも多々ありました。市民には禁煙だと注意しながら、議員がたばこを吸って入ってきたら、さっと灰皿を出したことなどは、公務員の態度として、批判されるでしょう。

しかし、公務員が専門家として、市民の利益を守るためにがんばっている姿が明らかになれば、公務員の待遇が悪くなればなるほど市民の利益にかなうかのような不満の声も少なくなるのではないでしょうか。

湯布院町でリゾートホテルを食い止めた町職員の役割

一昨日、NHKテレビのプロジェクトXという番組で、大分県湯布院町の町職員らの活躍を取り上げていました。10年ほど前でしょうか、全国各地でリゾートブームが盛んな頃、湯布院町へもリゾートマンションの進出計画が持ち上がり、それに反対する住民の運動を取り上げていたのです。町の景観を守るために、町が独自に条例を作り、規制しようとしたのです。当時小矢部市が、市の土地利用計画を変えてまでゴルフ場開発に協力しようとしたのとは、大違いでした。

その湯布院町に対して建設省から「待った」がかかりました。条例でリゾートマンションを規制してはいけないというのです。これに対して町の職員が、町の景観をスライドにして建設省へ乗り込み、条例を認めさせました。その結果、いまでは、たくさんの観光客が訪れる町となって、嬉しい悲鳴さえ上がるという番組でした。

公務員が、町の実情を訴えて、国、県の指導に逆らい、町民の利益を守るという重要な役割を果たしたのです。このような公務員なら、誰も給料を下げろとか、多すぎるとか、非難をしないのではないでしょうか。

合併問題で国のだましの手口を破った市職員の役割

小矢部市の職員の中にも、こういう観点から見れば、賞賛される職員もいると思います。私が特に最近感銘を受けているのは、市町村合併問題で、「合併しないと町は生き残れない」などと言う、国、県からの圧力に対して、「そうじゃないんだ」と、専門家としての知識を生かして、財政の見通しをはっきりさせ、市長や市の幹部に正しい認識を与えた勇気ある職員たちがいたことです。財政の専門家として、地方自治法の専門家として、制度の仕組みに精通している職員たちが、冷静な判断と意見を幹部職員に伝えたと言うことを評価したいと思います。これは、必ず、将来、市民の幸せにつながる決断だったといわれるときが来ると確信します。

公務員が、このような役割を果たすことこそ、重要であり、それが、市民の理解と支持を得る道であろうことを申し添えて、私の討論とします。



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