市議会での発言のページ
2001年6月7日

2001年6月議会一般質問

砂田喜昭

目次
不登校対策について
学童保育の充実について
中山間地農業の直接支払い制度の充実について
介護保険実施1年後の問題点と課題
サービス残業根絶のための国の通達をどう具体化するか

(1)            不登校対策について

国連の子どもの権利委員会が日本の教育について「極度の競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにされされている」という厳しい批判をし、日本政府に教育制度そのものの改善を勧告しました。これまでの自民党政治が行なってきた競争主義、管理主義の学校教育が、子どもたちを過酷で、無用な競争にさらし、学校を荒廃させ、子どもの世界をゆがめてきました。教育改革を言うなら、ここを変えることこそ必要です。小泉首相ら自民党、公明党が強行しようとしている教育改悪3法案はこれに逆行するものです。高校の学区制を廃止し、いっそうの競争激化をもたらし、校長、教育委員会の一方的な判断で教員や生徒を首にするなど管理教育を強め、森元首相の私的な教育改革懇談会の雑談から生まれた社会奉仕活動の強制など、とんでもない内容です。廃案にすることこそ、教育をよくする道です。

さて、全国的には不登校も増加の一途をたどっています。

私は学校へ行くことがすべてと言う考えにたつものではありませんが、不登校の子どもが自立でき、成長できるような積極的な取り組みが行政に求められると思います。高知市教育研究所の報告を読むと、不登校で中学卒業後5年を経た子どもたちの自立率を調べたデータがありましたが、それによると学校に復帰できた子どもたちの自立率は卒業後1年目は96.2%、5年目は100%と言う結果が出ています。また適応教室などに通うことができたいわゆる「通所指導」を受けた子どもたちの自立率も平均95%で、学校に復帰した場合とほとんど変わりません。ところが家庭を訪問して指導することにとどまっている「訪問指導」の場合の平均自立率は69.2%にとどまっていました。中学卒業後も家庭に「引きこもり」、社会に出ていけない状態にある場合が多くなっています。小学生の時点で不登校状態になり、中学時代、一度も登校も適応指導教室などへもかよわず、家族以外とのコミュニケーションを取っていない「引きこもり」の場合、自立ができない場合が多いということです。

学校での不登校対策とともに、今後、通所指導の役割も重要で、適応教室や、兵庫県但馬やまびこの郷のような公的機関で、不登校児童や保護者と一緒に宿泊して野外活動を行うような施設の役割も重要になると思われます。そういう意味では小矢部市教育センターの果たす役割もよりいっそう重要になると考えます。そこで次の5つつの点について質問します。

@      不登校、保健室登校の現状と過去からの推移はどうなっていますか。

A      小矢部市が行なったスクールカウンセラーの配置の効果、評価について伺います。

B      スクールカウンセラーの配置の問題では、数年後を見据えた課題としては、児童精神科医や臨床心理士の確保に市としても努力が必要ではないかということです。現在、カウンセラーとして厚生連や砺波市民病院の医師が大きな役割を果たしておられますが、高岡市や砺波市でもスクールカウンセラーに力を入れるようになると、今までどおり小矢部市に来てもらえるか、心配されるからです。

C      不登校対応教員の配置を求めます。鳥取県では、専任で不登校対策にあたる教諭を確保し、家庭訪問や、夕方登校で学校に慣れさせるなどの取り組みを行なって効果を上げているようです。現状では、学校や担任だけで家庭訪問や不登校の子供と一緒に遊んだり、援助したりすることは不可能です。

D      教育センターで自立支援のための機能を強化するために、現在のベテランの方に加え、新たに専任の若い指導員の配置を求めたいと思います。支援機能の内容として学校復帰、通所指導、訪問指導などが考えられます。ベテランの深い人生経験に裏付けられた相談活動、アドバイスは貴重でありますが、それに加えて、若い、子供の年齢に近い指導員が一緒に学んだり、あそんだり、野外活動したりすることは子どもたちにも喜ばれ、自立を支援することができると思います。

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(2)            学童保育の充実について

小学校低学年児童の放課後支援として1999年9月からはじめた学童保育が好評です。

今年度は、定員20名のところ、27名が利用しています。多くの利用者があることは、小矢部市の施策が市民の希望にぴったり合っていたということで、たいへん喜ばしいことです。

@       これまでは多少無理しても、希望者全員を受け入れてきていました。ここへ来て、希望者に断ることのないよう望まれています。今年10月からもう一ヶ所、石動小学校で増やすことになり、新たに2名の指導員を配置します。せめてそのうちの1名だけでも、すぐに採用して、現在の児童センターで見習いをかねて子供の世話をしてもらえば、希望者全員を受け入れることができます。現状では人件費はパート扱いですから市がわずか30万円前後を負担することで可能です。
 現在の児童センターの場所が狭いという問題も、すぐ隣にある児童図書館「おとぎの館」を利用すれば解決できるのではないでしょうか。

A       夏休みや冬休み、春休みは学童保育が休みになります。しかし、この期間中も学童保育をとの希望があります。ぜひこれに答えるように工夫をしていただきたいと思います。最近起きた出来事ですが、小学校低学年の子どもを持つ母親が夏休みの勤務時間のことで会社に希望を述べたら、会社を首になったという深刻な事態も生まれました。また、大阪から仕事の関係で小矢部市へ転居して来た若い夫婦が、昨年、夏休みの学童保育がないので夏休みの間中、大阪の実家へ1年生の子どもを預けていた、今年も困っている。こんなことなら小矢部市で家を建てるのでなかったという後悔の言葉を手紙で知らせてきました。せっかく小矢部市に住み始めた若い人の期待にぜひ答えていただきたいと思います。

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(3)            中山間地農業支援の直接支払い制度の充実について

日本の食糧自給率がカロリーベースで40%まで低下し、7600万人分の食糧を外国に依存すると言う異常な状態になっています。ところが自民党政治のもとで、約3兆円の農業予算のうち、農業土木予算が約半分の14千億円で、価格・所得保障関係の予算は7000億円しかありません。フランスでは農業予算の67%、イギリスでは74%、ドイツでは70%が価格・所得保障予算となっています。これによって食糧自給率の向上をはかるのが世界の常識になっています。世界でも異常な予算の使い方を是正し、価格・所得保障を農政の中心に据えることが大切です。

私は先月24日、日本共産党地方議員団の一員として農水省で、中山間地農業に対する直接支払い制度の運用改善を求めてきました。ある方から、山に囲まれ、日照時間が少ない農地でも、面積が少ないと対象にならないという苦情を聞いたからです。この制度は水源を養い、洪水を防ぐ役割を中山間地農業が担っていることから、平地農業より生産コストがかかる分の一部を、国、県の負担で交付金として交付するもので、わが国では、このような所得保障的な考え方の制度としては、初めての制度です。小矢部市では宮島地区と南谷地区などが対象です。急傾斜地などで条件不利な1ha以上の面的なまとまりのある農地が対象となります。これを充実することが必要です。そこで次の3点についてお尋ねします。

@      現在対象となった地区とそれぞれの面積はどれだけで、その地区の何割に該当しますか。また、支払額の総額と、集落でどのような使われ方をしているのか、お答えください。

A      農水省では、一団の農用地の解釈について、道路、または水路でつながっていれば、そのような農地のまとまりが幾つか集まって1ヘクタール以上あれば、市町村長の判断で対象にできると言っていました。対象農地の見直しをすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

B      国によると日照時間による対象農地の拡大については、県知事の特認事項として可能とのことでした。そのための基礎データが不足しているので、日の出、日の入りの時間を季節ごとに調査してデータの集積を図ってはどうでしょうか。

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(4)            介護保険の実施1年を経て見えてきた改善への課題について

この10月から高齢者の介護保険料が満額徴収となり、これまでの倍に引き上げられます。介護保健サービスの利用状況も、在宅介護について言えば、要介護1から5段階までのサービスについて、利用可能限度額の33.81%しか利用されていません。一方、利用限度額が61,500円と一番少ない、要支援の場合の利用割合が63.79%ということからも、利用料負担が重くて実際の利用が少なくなると言う現実が見えてきます。

介護保険と福祉をよくする市民の会では、最近会合を開き、介護保険実施後1年を経てどのような問題があるのか、検討しました。そこで出された意見をもとに、つぎの9点についてお尋ねします。

@      小矢部市の独自施策が全国的にも高い評価を受けています。市民の会の会合で出された意見に、「小矢部市の独自施策と言っても、砺波地方、みんな横並びでたいしたことがないのでは」と言うのがありましたが、津幡町を調べた方から、「そうではない、津幡ではこんなことはできないからとやっていなかった」と言う内容が紹介されました。また、保険料、利用料を軽減している自治体が奈良県、埼玉県についで全国で3番目に多いのが富山県で、その最大の要因をなしているのが、小矢部市をはじめ砺波地方の自治体がそろって利用料、保険料を減免しているからです。さて、このようにすばらしい内容の独自施策のその後の利用状況はどうでしょうか。

A      在宅介護サービスの実際の利用額が利用限度額の3分の1程度ですが、何が障害となっているのでしょうか。1割の利用料負担がネックになっているのではないでしょうか。魚津市はホームヘルパーについで利用の多いデイサービスについても利用料の4分の1を助成すると言う軽減制度を今年からはじめましたが、これを見習ってはどうでしょうか。

B      デイサービスの施設不足が利用を抑制してますが、市としてどう対応するのでしょうか。

C      通所介護の施設や老人保健施設でリハビリの専門家がいないという問題が出されました。理学療法士など機能回復訓練の専門職員の配置を進めていただきたいが、どうでしょうか。

D      介護施設入所者や家族はその施設に不満や疑問があってもなかなか遠慮があっていえない場合が多いようです。オンブズマン的役割を期待されている介護相談員の活動が重要になりますが、現状はどうなっていますか。苦情をどういう方法で受け付けているか、相談件数と解決件数はどれだけか、お答えください。

E      介護している家族に緊急な事態が発生した場合、夜中でも電話で相談でき、対応してもらえる体制はどうなっているか、お答えください。

F      医療と介護の間に当たるような事態が生じた場合、どこに相談をすればよいのでしょうか。たとえば65歳未満で若干痴呆の症状がある上、人工透析などを受けている場合、病院では入院させてもらえないし、家族が患者の送り迎えと日常の仕事の両立で非常に困る場合に、どこに相談すれば、解決できるのでしょうか。

G      在宅介護の場合、土日に婦人会などの行事があっても、なかなか参加できない場合があります。土日にデイサービスを利用できるようにしてほしいが、いかがでしょうか。

H      介護保険料の滞納の実態はどうですか。これだけ不景気が続くと、払いたくてもなかなか払えない状況も生まれています。経済的理由による保険料の減免制度を作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

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(5)            サービス残業根絶のための通達を、市職員にどう具体化するか

厚生労働省がサービス残業、ただ働き解消に向けた通達を46日付で出しました。この通達が地方公務員や教職員でも適用すべきだと言うことは、その後の国会審議の中で、政府自身が認めているところです。

働かせても賃金を払わないサービス残業は、諸外国で見られない日本独特のもので、労働基準法でも6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金を受ける明確な犯罪です。財界のシンクタンクである社会経済生産性本部は、これをなくせば90万人の雇用が増えると試算しています。これまで政府が積極的な手立てをとらずに来たため放置され、大企業職場などで横行していました。

日本共産党はこれまで国会でたびたびこの問題を取り上げ、解決を求めてきました。昨年4月の衆院予算委員会で志位和夫書記局長がサービス残業の一掃を求め、特に、労働者に実際の残業時間より少なく申告させる自己申告制を取り上げ、これがサービス残業の温床になっていると追求しました。今回の通達はこの指摘を受けた内容となっています。使用者には労働時間を把握する責任があることを明らかにしたのが、今度の通達の特徴です。そこで次の4点についてお尋ねします。

@      通達の存在、内容を全職員に徹底すること

A      部課長も含めて全職員の始業時間、終業時間を毎日把握し記録すること。その内容を請求があれば本人に開示し、また職員組合の要求があれば確認を受けること。

B      過去において時間外労働削減のための通達、指示文書を出したことはありませんか。また、労働時間の自主申告を阻害するような時間外労働時間数の上限を設定したことはありませんか。時間外労働手当に相当するものを定額払いにするなど労働者の適正な申告を阻害する措置をとったことはありませんか。尋ねします。

C      各課ごとに時間外勤務の実情を時間数で集計し、実際に支払われた残業手当(時間に換算)との比較を公表することを求めます。

 



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