JR東日本 自動改札専用切符 Suica
自動改札は夢の技術だった。しかし、駅員さんの技術であった切符挟みの妙技が見れなくなったことが非常に寂しく感じられる。定年退職し久しいが、私の叔父は国鉄西秋留駅(現在のJR秋川駅)の駅員だった。『ぽっぽや』という映画をごらんになった人がいたら分かるけど、駅の中には待合室があり、電車を待つ人々が多く座り、1時間に1,2本しかこなかった電車をまっていた、あの後継が今でも思い出す頃がある。一種の社交場だったのかもしれない。その国鉄西秋留駅もJR秋川駅となり、高架上の立派な駅となり、待合室も消えた。周囲には巨大なショッピングセンターもでき、何か、あの当時のわびさびのようなものが消えてしまったように思える。そう・・・切符挟みのカチカチ言う音と共に、確実に私の住む街は近代化の波に飲まれてしまっていったのです。
まあ、ノスタルジーを感じる心って、人それぞれなので、どうでも良い話なのですが、それでも「鉄道の進歩」ってのはある意味社会の進歩の鏡と言っても過言ではないほど、その速度は速いものだと感じています。切符がいつのまにか磁気式の自動改札となり、そして、ついには、タッチするだけで認識してくれるカード型切符が登場してしまったのです。
SuicaのIOカードです。これ以外にSuica定期券などがあります。
基本的にプリペイドカードですが、普通のものと違い、プラスティックでできており、曲げたらポキリと折れてしまいそうです。ですから、いままでの自動改札の穴には入りません。自動改札の上部に最近、何か平たい台が設置されているのをご存知でしょうか?それこそがSuicaを判定する台です。乗車するとき、Suicaカードをその台のところにちょっと振れるだけで、そのカードのユーザが電車に乗ったという記録が残り、プリペイドした値段から乗車賃が差し引かれるのです。触るだけで良く、また定期入れ程度なら、ケースから出さなくても認識してくれます。ケースから出さなくて良いという点は非常に便利だったりします。
値段ですが、2000円で1500円ぶん乗れます・・・って、500円損してどうするんじゃ!って感じですが、実はこのカードの中には精密な機械が入っていて(ソニー製)、無償で捨てられたら資源の大いなる無駄。カード本体はJRから購入者が「借りている」という形態になるそうです。ですから500円は保証金。このカードを窓口に持っていって返却すれば500円は戻ってくるそうです。
じゃあ、1500円ぶん乗ったら、毎回返却しなくちゃならないのか?というと、それは違い、この部分がこのSuicaの考え方の面白いところで、駅の券売機のところで「チャージ」することができるのです。そう、自動車のガソリンと考え方は一緒。全部使い切ったり、もう少しでなくなりそうになったら、買い足しができるのです。ですから、このIOカードは一生モノです。一回買えば、紛失しない限り買いかえる必要がないのです。技術的には50年くらいは使えるそうですし。
また、Suica定期券は、さらにすごく、定期券の中にIOカードの機能まで持ち、定期券の圏外で乗り降り乗りしても、清算せず、そのまま改札とおれるんです。出張が多い御父さんも嬉しいですね!(俺か)
そんな便利つくしのSuicaですが・・・ひとつ難点が・・・「今いくらチャージされているのか分からない!」ってことです。これには参った。カードはプラスティックの味気ないものなので、せめて液晶ディスプレイなどがあり、「アト残金ハ400円デス」なんて表示してくれれば便利なのですが、さすがにコストと、電源が必要ということで、無理なんでしょうけど、改札機を通さなければ、残金がわからないというのは、ある意味、改札機lロシアンルーレット状態です。ほら、改札機の扉閉められたことって誰しもあるでしょう?(え?ないの???)あのときの後ろに並んでいた人の目の怖さはたまらんもんがありますね。私も前の人間が改札機で失敗したらにらみますから(笑)。
そんなわけでSuicaを使った場合、「果たしてこのカードは残金あるんだろうか?」「なかったらどうしよう」という不安を胸に毎回毎回心臓の音をフル回転させながら改札を通らなければなりません。
これには参ります。
残金を調べる唯一の方法ですが、チャージ機や自動清算機に、残高照会(銀行みたいやな)をする機能があり、そこにSuicaを入れ、「残金確認」することにより、幾ら残っているか確認することができます。また、印字することもでき、過去どこに行って、どういう金額がかかったのかも分かります。これで出張の清算するとき、旅費の清算に迷わず、便利ですよ、おとうさん!(俺か)
利用明細。どこに行ったかばれてしまうので、浮気している人や指名手配している人は利用しないほうが・・・
つーわけで、鉄道は日々進化しています。Suicaはまだ東日本だけのサービスですので、これが他の鉄道会社まで伸びれば、かなり便利になっていくんじゃないかな?と思います。またクレジット決済ができるとか・・・夢は膨らみますよね。
でもね・・・あの、挟みの暖かさ・・・それが失われていくってのも、一抹の寂しさが感じられます。進化はすべてに良しとは限らない・・・。
JR東日本 Suica IOカード
価格:2,000円
販売:JR東日本 http://www.jreast.co.jp/
伊達と酔狂 May '2001