バファル編
バファル皇帝の妹マチルダは、コルネリオの奥方である。皇帝が死ねば、マチルダが女帝になる。これはゲーム中でジャンの口から語られる事実だ。さらに大全集には、マチルダは「権力に執着し自らが皇帝になろうと画策する」と紹介されている。
真の黒幕はマチルダで、コルネリオは愛する(?)マチルダのために、傀儡になっていろいろ活動しているのだ。
さて、一連の事件の主犯者がコルネリオであることは間違いない。マチルダはさすがに表舞台には出てこない。
しかしコルネリオはとんでもないやつである。最初は、ウジウジ呪い掛けてる(効くし^^;)暗い奴かと思った(呪いの儀式をしていたのはマチルダという可能性もあり得る…)が、途中からなんと自ら行動に出てしまう。
海軍を率いて出たのは帝国の警備を脆弱にするため。このときすでに海賊はメルビル下水の隠しアジトに待機している。はじめから、ブッチャーとコルネリオは結託していたようだ。
港から海賊、エロール神殿からモンスター。そして兵の多くはゴールドマインに駆り出されているとなれば、さしものバファル帝国といえどもひとたまりもないだろう。
さて、この計画は、主人公たちの活躍により阻止されてしまった。コルネリオはこのあとどうなるのだろうか。「海賊と入れ違いになった」とか言って、戻って来るだろうか?計画が成功していれば、それで丸く収めることも出来ただろうが・・・。
いやまてよ。主人公たちが海賊もモンスターもまとめて始末してしまったので、皇帝サイドの人間は何にも気づいていない、という可能性もありうるか。皇帝サイドの状況認識はどうなっているのだろう。マチルダを警戒しているのは明らかだが、コルネリオの暗躍に関してはどこまで知っているのだろう。少なくとも、皇帝は何も知らないようだ。これ以上は、画面から読み解くことは難しそうだ。
さらに細かいところも考えてみよう。
最初のゴールドマイン襲撃とパトリック失墜未遂。サルーインの秘密神殿。エロール神殿からのモンスター。ゴールドマインのモンスター。これらはすべてコルネリオが仕組んだものなのだろうか?だとすると、疑問が残る。モンスターの存在である。
サルーインの秘密神殿は、関係無いように思われる。これは、単なる狂信者の儀式と思われる。下水にモンスターがいるのは、それほど不自然ではない。
それ以外は、偶然にしてはあまりにもコルネリオにとってタイミングが良すぎる。コレはやはりコルネリオが一枚噛んでいると思われるのだが……。人間のコルネリオが、これほど大量のモンスターを使うのは、ちと無理があるだろう。
エロール神殿にはサルーインの神官がいたが、コレもコルネリオがサルーインの協力を得たというのか・・・?何度も言うが、コルネリオは普通の人間である。悪神といえども神であるサルーインがたやすく手を貸すわけが無い。ミニオンのメルビル破壊計画が、偶然コルネリオの行動と重なったのか。ん?ミニオン?
そうか、ミニオンだ。サルーインの配下の3人のミニオンは、世界各地で盛んに活動している。もとから裏側の事情に通じていたと思われるコルネリオなら、サルーイン復活の布石になるとか言ってミニオンと盟約を取り結ぶことも出来たかもしれない。
コルネリオは、最初からミニオンと結託していたのだ。ミニオンを通じて「邪」の力(皇帝に呪いをかけた術のこと)を得、ミニオンが間に立つことによりブッチャーと同盟を結んだ。コルネリオの権力を持ってすれば下水に海賊のアジトを確保するのはたやすいこと。各所にモンスターを動員したのはもちろんミニオンだ。奴らがモンスターを使うのは当然のことだ。
すごい。すばらしい。なんて奴だ、このコルネリオってのは。マチルダの帝位継承のために、サルーイン(神!)の手下と過激派の海賊まで動員してむちゃくちゃなことをやりやがる。目的のためには手段を選ばず、突き進む。近年まれに見る、本物の悪役だ。製作者には、ぜひ彼のために壮絶な最期を用意して欲しかった。
それにしても、この有能なコルネリオが身も心も捧げてしまうマチルダっていったい何者?この女のイベントも少しくらいあっても良かったのではないだろうか…。惜しい。
ここで、どうしても書いておきたいことがある。
皇帝サイドの人間の間抜けぶりである。皇帝は人がよすぎる。人を疑うという事を知らないのだろうか。パトリックは自分を貶めようとした人物の存在を疑うものの、本気で探してはいないようだ。ネビルは不穏な動きを感じてはいるようだが、なんせ諜報部が頼りない。モニカはローバーンにいながら、ろくな情報を掴んでいないようだ。ジャンもそうだ。スパイでありながら、敵に捕まるとは。おまけに主人公を追って未知のダンジョンに飛び込む。極めつけは、オウルにクローディアを渡した侍女である。おまえ、そんあにあっさりと世継を魔女に渡して・・・、あ!!
そうだ!マチルダが皇帝の命を狙うようになった直接の原因は、クローディアが生後まもなく失踪して、帝国の世継がいなくなったからだろう?……ってことは、あの侍女がオウルにクローディアを渡したのが、全ての引金であって…。
お?
我々が侍女と呼称するあの女、もしかしてマチルダではないか?
……さすがにそれは飛びすぎだとしても、マチルダの息のかかった人間であると考えることは十分可能である。そう。マチルダは、最初も最初、王族としてこの世に生まれ出でたときから女帝の座を狙っていたのだ。
あの侍女は、マチルダの腹心だった。で、マチルダの野望を聞かされ協力を迫られたのだ。魔女を呼ぶ呪文は、王族なら知っていたはずだ。あの夜、重い任務に錯乱したふりをしてまんまとオウルを呼び寄せ、クローディアを連れて行かせるように仕組んだのかもしれない。
オウルの言葉も気になる。
「 | あのうたは ひとつぬけとるのよ みにくくまがった そのはなで 私のねがいをかぎとったらってね ヘッヘッヘッ! じゃあ この子は あずかっていくよ 」 |
(全てのセリフは、のりおすくりゅう〜の過去ログの98/04/08にあります)
呪文が2行抜けていたのは、マチルダが森の魔女に真意を見抜かれるのを恐れて、侍女にはわざと教えなかったのかもしれない。
そう。オウルは全ての事情を見抜いたうえで、クローディアを本当に守るために連れ去ったのだ。とにかくクローディアにいなくなって欲しいマチルダ側と、クローディアを本当に守りたいとする森の魔女側の思惑が、ここに一致をみたのではないだろうか。このときサンゴの指輪(王族の証)を渡したのは、将来的にマチルダがクローディアを利用するといった計略があったか、あるいは悪になりきれず、クローディアを哀れに思った侍女なりの配慮だろう。
とすると、オウルが死に際にクローディアに語った昔話は、クローディアの身内のマチルダの恐るべき陰謀はうまく伏せたまま、矛盾のない理解を得るために非常に巧みに語られていることになる。
同時に「そんなもの(サンゴの指輪)ないほうがこの子のため……」という言葉と、クローディアの旅立ちのときの「やっかいなことにならねばよいがのう……」という言葉。これらが、がぜん深い意味を持つようになるではないか。
……すげえ、完結してる!!