- 2010-02-14 記
- 2010-02-12付 朝日新聞 朝刊・経済面(9面)に「強制規格」輸出の壁 鉄鋼でアジア各国導入 という記事が掲載されていました。
- 鉄連(日本鉄鋼連盟?)担当者は「日本は現地に損害を与えていないのに、巻き込まれてしまうのが強制規格の怖さだ」と話したとのこと。
- 非関税障壁だ、困ったものだ・・・・ と思ったのですが。
- ところで、鉄鋼先進国・我が日本の実情 は如何に? と思い、素人なりに調べてみると
- 例えば
- JIS G3101:2004 一般構造用圧延鋼材
- これは、皆様ご承知の SS330, SS400, SS490, SS540 を規定しているものですが、
2004年改正にもかかわらず、通常、JIS規格票本文の先頭に記載されているべき 国際標準との関係記述 がまったく記載されていません。
- JISの国際標準との整合(やむを得ず一致にできない場合は差異と理由明記)は 10数年前(*)から進められているのに、まだこんな JIS が残っているのですね。
- * : JISCのHP(http://www.jisc.go.jp/) 「標準化」→「JISと標準化活動」→「国際規格への整合化」 参照
- JIS と 対応する国際標準 については、JISCのHP (http://www.jisc.go.jp/) の
- 「デーベース検索」→「全ての検索項目」→「JIS関連」→「JIS・国際規格の整合性情報 」 で検索できますが
- JIS G3101 については 「該当する情報が見つかりません。 」 となりました。
- つまり JIS G3101:2004 は 「国際標準とは無関係な日本独自規格」 ということになります。
- JIS G3101 は JISマーク規格 ですし、
- 上記 JISCのHP 「デーベース検索」→「全ての検索項目」→「JIS関連」→「強制法規情報」で検索すると
- 多数の法令で指定されていると表示されるにもかかわらず・・・
- また、JIS G3101:2004 の 6.形状、寸法、質量及びその許容査 で 指定されている 例えば
- JIS G3193:2008 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状,寸法,質量及びその許容差
- は、「ISO 7452:2002[第2版] を基に作成した・・・ 取り引き(筆注:日本国内?)の実態に整合させる為、技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。・・・」と記載されており、
- 上記、 JISCのHP JIS・国際規格の整合性情報 で検索すると
- 「ISO 7452 1984[初版【廃版】](JIS 【旧版】の対応情報誤記載?) MOD:国際規格を修正して採用、国際規格との技術的内容及び規格の構成差異が必要最低限で、技術的差異が明確に識別され、かつ、説明されている」となってます。
- ただ、実態は JIS規格票原本 附属書JA(参考) に記載されているように
- 3. 寸法の表し方 : ISOに無い物を追加
- 4. 標準寸法 : ISO では例示(筆注:規定ではない)のものを 規格本文(筆注:規定)に採用
- 5. 形状及び寸法の許容差 : ・・・厚さ許容差は ISO に比べて厚さ幅区分で細やかな分類で規定。・・・
- 等、主要技術的部分での差異が大きく MOD(修正している)と言うよりは NEQ(同等でない) かもしれない、と思われるようなものです。
- 同様に、
- JIS G4305 : 2005 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- は、ISO 9445:2002 と MOD(修正) の SUS301, SUS301L, , , SUS316N等 の JIS規格で、
多数の法令で採用 されていますが
- 3. 種類の記号 (SUS301, SUS301L, , , SUS316N等 記号そのもの)
- 4. 化学成分 (この部分が追加か!)
- 5. 機械的性質(同上)
- 6. 耐食性(同上)
- 7. 表面仕上げ(同上)
- 等は、全て ISOに無い物を JIS で追加 したとのことです。
- 追加理由は 製品規格として必要なため との事ですが、国際標準として合意されていればともかく、
各国が独自に詳細な製品レベルまで追加規定したものは、MOD(修正)というよりは NEQ(不一致)ではないかと思われ、
性質の違う(標準として下位レベルの)製品規格、いわばメーカーカタログのようなものとして扱うべきではないか、という見方も出来ます。
- 日本が音頭をとり「カタログのような詳細まで規定した規格」 や 「特許やノウハウがないと同一製品を製造できなくする為の規格」 ではない 国際的に合意された「統一国際標準」が制定されていれば、例え強制規格で各国の認証が必要でも、
「世界的な統一認証制度や相互認証」の活用で、双方の無駄や非関税障壁としての悪用は避けられたのではないかと思われます。
- どの様な場合でも 他者の行為(特に我が身の不利益になる) が目に付きやすいのは人間の常ですが、「人のふり見て」という言葉もありますし。 自戒!
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