"スパークNo240" (2004.7)



Kさん(ディーゼル噴射技術一部)、
刈谷労基署に労災手続きの迅速化を要請

 過労と会社の不適切な対応によって、精神障害におちいったと労災申請をおこなった、Kさんは、五月二十一日、刈谷労基署を訪れ、事務処理の迅速化を要請しました。これには、スパーク発行責任者の他、愛知健康センター代表、愛労連西三河南地域労連代表が同行し、労基署からは、次長と労災担当課長、主任が応対しました。
 Kさんからは、昨年末に提出した労災申請が、半年で結論を出すという労基署の目標期限から、大きく遅れていること、自分が会社から賞罰委員会にかけられていること、いろいろ労災申請を妨害する圧力を受けていることなどが述べられました。「めどとしては半年で労災申請の結論を出すようにしている。しかし業務多忙のため手続きが遅れている。今後、関係者と面談し、書類を上部機関に提出したい」と労基署は回答しました。

(原文のまま掲載)
私はディーゼル噴射技術1部に所属している一人です。現在、『精神障害の労災申請』を刈谷労基署にしており、審議中です。私がそこに至ったのは、私が病気休職中や復職後に受けた、あまりにもひどいディーゼル職場の上司や人事部の対応に不満や苦痛を感じたので、労災申請に至りました。
その内容をスパーク読者に聞いて頂きたく、投稿しました。
私が精神疾患を発祥した原因は、長時間労働(無償残業も含む)による過労と職場環境(上司のいじめ)によるストレスによるものと考えております。
私が病気発祥直前の残業時間は月60〜80時間(無償残業分を除いて)有り、十分に会社に貢献し、成果も出したのに、翌年の人事考課で、上司のトヨタ対応のA室長に最低評価を付けられ、不服に思い、人事部『企業倫理委員会』に調査を依頼しましたが、調査結果は『成果が無かった』と上司の言い分(後つけの理由)を一方的に肯定し、最低評価は妥当という結論でした。こんなバカげた話はありません。
自分の身を削ってまで、がんばって長時間働いたのに、病気になって倒れたら、評価は最低となり、賃金は下がり、ボーナスも下がり、何の配慮もないです。
おまけに、私が会社を休職していた期間に家庭訪問に来たのは1回だけ、で、電話1本かけてこず、(人事マニュアルでは月1回家庭訪問する事になってます。)また、傷病見舞金の支給手続きは『知らなかった。』と支給無し。それで、土日は、自分の趣味に没頭しているのですから、呆れます。この件も人事部に調査依頼しましたが、上司は、『毎月訪問の意思を電話で示した。』等と嘘の言い分を肯定するありさまです。

労災申請する際にも、会社を休職した事を証明してもらうのですが、それを人事部2室のB室長、C主任部員に証明を拒否されました。理由は『会社の証明が無くても申請は出来ますから』等と『嫌がらせ』としか思えない理由でした。

あまりにも、上司側の意見ばかり肯定し、相談者の言い分を全然認めず、また、労災申請する事に対し『嫌がらせ』をする人事部に腹が立ち、反論したら、その事をちゃんと記録されており、後日、『あなたは人事部の**さんに、*****と発言し、威嚇行為をした。』と賞罰委員会に付議されるのです。これは、私個人に対する、上司と人事部が手を組み、会社や上司に歯向かう者は会社から追い出そうとしているのです。
それで、私個人では組織には勝てないと思い、『愛知労連』、『共産党八田ひろ子議員』、『スパーク発行責任者の金田堅三さん』に支援を求め、現在係争中です。

グローバルな企業を目指しているデンソーがこんなひどい会社だとは思いませんでした。
こういう風に会社(組織)と闘っている人がいる事を皆さんに知ってほしかったのです。
私と同様に病気で倒れ、泣き寝入りしている人や『社内イジメ』や『嫌がらせ』を受けて悩んでいる人の励みになればと思っています。            2004年6月19日


やっと始まった入出門時刻チェック(本社・安城)
 本社ではこの四月から、安城ではこの六月から、門での入退場の時刻チェックがおこなわれるようになりました。これはもちろんセキュリティの意味もありますが、この四月から、厚労省の時間管理の指導が厳しくなったためです。多発する過労死問題をうけタイムカードのない裁量労働者の労働時間も会社は把握する義務がでてきました。また、デンソーではスリットしてから無償残業する実態がまだ数多くみられます。スパークでも、トヨタと同じように門で時刻をチェックするシステムを導入するよう何回も取りあげてきました。遅ればせながらの一歩前進といえます。

やるね豊田工機!
組長・係長に特別原資で昇給加算
 先の春斗は、デンソーでは賃金制度維持分の平均六千円の賃上げで妥結しました。工機の場合はこの金額が五千七百円(年齢勤続給千九百円、職能資格給三千八百円)です。ところが工機はデンソーより少し遅れて、今が中高年いじめの「新賃金制度」への移行期にあり、多くの手に職を持った現場の人の賃上げが実態ゼロかマイナスになると予想されました。そこで賃金引上げ原資とは別にお金を出し、指導職(組長・係長)に三千五百円が追加昇給されることになったのです。これは、今の労使なれあい春斗では現場の声が反映できないということの証拠であり、実質的に全トヨタ労連の春斗路線が破綻していることを意味します。


5億7600万円支払い
サービス残業で日本特殊陶
 自動車用スパークプラグ最大手の日本特殊陶業(名古屋市)が五月十三日までに、名古屋北労働基準監督署から時間外賃金支払いについて是正勧告を受けていたことが分かりました。サービス残業(ただ働き)に当たる未払い分は、二〇〇二年一月から〇三年十二月まで、全従業員の約三分の一に相当する千七百三十三人に上り、総額は約五億七千六百万円。日本特殊陶業は、四月分の賃金支給の際、対象従業員に全額を支払いました。
 〇三年十二月、同社小牧工場(愛知県小牧市)に北労基署の立ち入り検査を受け、是正勧告に基づいて全社的に調査していました。


三菱自リストラで対策チーム
党国会議員団 雇用、営業守る

 日本共産党国会議員団は五月二十六日、三菱自動車リストラ計画対策チームを発足させ、地域経済と雇用、関連業者の営業を守るために党をあげてとりくむことを決めました。  相次ぐ欠陥情報隠しで責任が問われる三菱自動車は、グループ全体の約22%に当たる約一万一千人の人員削減と主力の岡崎工場(愛知県岡崎市)の閉鎖を柱とする大リストラ計画を発表。地域経済と雇用、営業に深刻な影響を与えるものだとして不安や批判の声が広がっています。  会議では、責任者に佐々木憲昭衆院議員を、事務局長に八田ひろ子参院議員を選出。愛知・岡崎市をはじめとした自治体での現地調査を早急におこなうことなどを確認しました。

新しい世紀と新しい綱領
日本共産党が展望する二十一世紀−連載A−
プリンセス雅子の苦悩と天皇制
 先日、皇太子が雅子妃の病気について、記者会見した内容が、国民の関心を引き、いつになくまじめに皇室と宮内庁のあり方について一部のマスコミで議論がなされました。個人的には皇太子に「よく言った」と拍手したい人も多くおられたのではないでしょうか。ここには、一人の人間としての皇太子夫妻と国民主権の憲法の精神にマッチしない天皇一族だけを特別扱いする現象徴天皇制の矛盾をみることができます。いづれにしても、共産党は、天皇一族のすることには何でも反対であるとか、あるいは、まったく逆に、今年一月に今回の新綱領を決めた時には、マスコミの一部からは「共産党は路線変更して天皇制を容認した」という誤った見解がマスコミで見られました。そこで今回は日本共産党の天皇制についての考えを述べたいと思います。結論から言うと基本的考えは以前からまったく変わっていません。
 まず天皇制は憲法で規定されていますので、現憲法の全条項を守る、当面、部分的でも憲法の改定を提起する方針を持っていない日本共産党は、当然、天皇制は現憲法に厳格に則るべきだと考えています。即ち、天皇は「憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」(憲法第四条)をきちんと守ることが大切と考えています。戦前からの悪しき伝統で、国会議事堂に天皇だけが利用できる施設があったり、国会開会式に天皇が「お言葉」を述べて、これを国民主権の下、選挙で選ばれた国会議員が、うやうやしく、うけたまわるなどに対して、日本共産党が反対なのは当然です。ましてや、憲法の「国事行為」にもない「皇室外交」なるものや、天皇を「元首」扱いする各種行事などは論外です。また将来の天皇制のあり方については、国民の総意と論議によって解決されるべきものと考えています。
 いまイギリスでは王室の存廃をめぐる国民的論議がおきています。日本でも国民が民主的な社会をめざそうとすれば、民主主義や人間の平等と両立しない世襲制の天皇を「象徴」とする制度の存続が問われるときがくると思います。
日本共産党綱領より
〔憲法と民主主義の分野で〕
11 天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。
 党は、一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。