"スパークNo236" (2003.12)



サービス研修所の無償残業代 夏の賃金で支払われる
 ――日本共産党デンソー支部
 11月19日、デンソー、アイシン、豊田工機の労働者有志と西三河地域労連の代表は刈谷労基署を訪れ、「労働基準行政の実現のための要望書」を手渡し、交渉を行ないました。
 デンソーに関しては懸案のサービス研修所の無償残業問題の調査結果について回答がありました。監督官は「提出された具体的なデータをすべてチェックし、適切な処置を行なった」と答えました。
 研修所では最近、勉強会を行なった場合、当日か翌日には研修記録カードに必ず記入すること、昇格前発表はビラ一枚について一時間当りの残業代を支払うという通知がなされ、改善がみられます。
 その他の申し入れについては以下のような回答が労基署からありました。
 @ 以前に申し入れのあった刈谷市議選の際のアンケートで出た二件の問題については処置した。
 A 労働時間のチェック方法については、現在、改善するよう各企業を指導している。
 B 三六協定の残業延長申請については、厳しくやるように通達が出たので、それに沿って、各企業を指導していく。
 C 様々な貴重な情報や相談が多く寄せられているので、これらも参考にして指導・改善に取りくんでいる。
 D 最近、管内で労働災害が上昇傾向にあるので、指導を強めていきたい。

デンソーも門で出退社時刻を管理すべき
 今年四月から、トヨタ自動車では全工場の門前で従業員の出社・退社時刻の打刻が行なわれるようになりました。アイシンでも技術本館で同じシステムが試行中です。これは厚生労働省の強い行政指導によるものです。
 デンソーでも来年一月から、従業員の出退社時刻を記録しなければならないので、フレックス勤務の者は、パソコンで残業入力し、カードリーダで出退社時刻を管理するようになるそうです。この方法では、システムが煩雑になるだけでなく、肝心の無償残業の根絶につながりません。今まで同様、カードをスリットしてから居残り残業する者が出るだけです。会社は本当に真剣に無償残業をなくす気持ちがあるのでしょうか。労働組合も、こんな中途半端な制度に、気やすく同意してはいけません。

うっかりするとだまされるところであった!
やっぱりあった会社が決めた役職定年文書
デンソーも最低でもトヨタ系各社並の労使協定を結ぶべき
 第一開発部の金田堅三さんは今年の五月に五十五才になり役職定年をむかえました。「他のトヨタ系では労使協定で六十才の定年まで役職ははずれない。デンソーでは、どこに五十五才役職定年のことが書いてあるのか、教えてほしい」と会社と労働組合に問い合わせました。
 そうすると、はじめは会社と組合は口ウラを合わせて「明文化したものはない。デンソーの良き慣習である」と回答しました。しかしその後、昔の組合員手帳に「一九八一年一月一日改訂」と書いてあったので、「誰が改訂したのか。改訂と言うには制定した元の文書があるはずだ」と双方に再質問しました。すると会社は「明文化というのは労使の契約のことを言った。労使協定はないけど文書はある」と認めました。労働組合も他のトヨタ系に大きく遅れをとっている、この制度の改善に早急に取りくむべきです。デンソー労組の存在意義が問われます。

聞いて下さいっ!おかしいことだらけの製造現場
西尾工場で働く仲間からメールが届いたので紹介します。
スパーク発行責任者、金田様
早速のお返事、ありがとうございました。
いろいろ悩みぬいた結果、少しでも職場の改善に繋がると思い投稿します。

私は、西尾製作所の冷暖房事業部の製造部に勤務する者です。

生産部門および工機部門において、会社に提出する書類(自己申告・改善提案・報告書)は定時間外 (自宅等)で書けと上司から指導されています。
改善提案については、報奨金が別途支給という形になっているので定時間外(自宅)で記入するのは当たり前 と思っていましたが、よくよく考えるとこれもおかしいことなのではないでしょうか?
それはなぜかと言いますと、改善提案の提出が義務化(月1件以上)されているからです。
月に1件以上提出または年間6級以上の提案案件提出促進などと部署の目標として掲げています。
改善提案提出率等というグラフを表示し、いかにも「提出の義務化」を促進するような活動が行われています。
自己啓発として自宅で書くのは問題ないですが、これを部署の目標として取り上げるのはおかしいことなのでは?
と思います。(労働時間内の場合を除く)

また、上級提案案件に関しては上司の報告があるため、上司が詳細資料を作成します。
この詳細資料作成の報酬として、改善提案でもらった(提出者の)報奨金は、すべて「係の会費として納入せよ」 と言う上司の指導があります。
知人のことですが、今回の上級提案提出でダイアモンド賞を受賞しました。
受賞すると記念品として2万円位の物品と現金5万円が支給されるそうです。
この現金5万円を「係の会費として納入せよ」と上司から指導があったと文句を言っていました。
これを聞いた時は、さすがに唖然としました。

自己申告も、自宅で書くように指導されています。
これは業務であり、定時間内に書くものなのではないでしょうか?
生産現場においては書く時間はなく、スリット後、もしくは自宅にて記入しています。 (生産負荷時間と残業時間を調査すれば、書類を記入する時間がないことがわかります。)

報告書は、残業規制からやむなく自宅で書くという日々が続いています。

QCサークルなど定時後に開催される教育についてですが、あまりにも現実の報告とかけ離れた時間を費やしています。 (土日の入門チェックと教育時間が合わないはずです。)
サークル時間の上限が決めれていますが、それ以上の時間を費やして資料を作成しているのが現状です。
この件は上司の目標のためだけで、資料作成した本人にとっては無償残業に他なりません。

工機部門についてですが、親睦会なる上司都合の飲み会が多々開催されます。
これは親睦を深めるものと言いつつ、上司の暇な日などにより決められており、高額な会費徴収やどうしても出席でき ない都合の悪い場合でも、参加しろと上司の指導があります。
出欠表では、欠席者は理由を報告する義務があります。
理由が正当で認められた場合に限り欠席が認められます。 (金額が高額のため、試験前日のためなどは理由になりません)
この半強制参加状態の場合、親睦会という名の労働に値するのではないでしょうか。
ちなみに、この親睦会の会計報告は、領収書の原本でなく全てコピーで処理されています。
親睦会出席率などの目標があると噂では耳にしたことがありますが、全くおかしい話です。

まだまだ労基法や安衛法、就業規則を理解していませんが、生産現場の者の意見として、問題定義してくれることを願います。

 スパーク発行責任者らはこのメールの内容を西尾労基署に申告したところ、監督官は「仕事としてやらせているのなら、きちんと支払うようにしてほしい」と会社を指導しました。これに対して会社は「昔ほど改善提案は強制していない」などと回答しました。

選挙エネルギーvs春斗エネルギー
 先の衆院選最終盤の金曜日の朝、刈谷駅の立体道路は連合労組の旗で埋めつくされ、通るのも難儀するほどでした。全員が元気よく大きな声で、組合推せん候補への投票を呼びかけています。すごいエネルギーです。ある中年女性が「○○候補夫人」のタスキをかけて改札口で握手作戦で、飛び回っています。自民党の候補者も共産党の候補者もハチあわせして、「三人揃い踏み」なのですが、二人は埋もれてわかりません。更に加えて、候補者本人がいないのに、選挙違反までして、組合幹部がマニフェストを配布しています。正直言って、このエネルギーの十分の一でもよいから、賃上げや無償残業をなくすために使ってほしいと思いました。それから選挙後、この東海地方のあちこちで組合推せんの民主党候補者の事務所が選挙違反で警察の捜査を受けていて、何のコメントも組合執行部からないのも、無責任としか、言いようがありません。

写真にみる日本史の中の日本共産党 連載第13回
釈放されたA級戦犯容疑者たち
 占領軍は1948年12月、東条英機らA級戦犯7人の絞首刑を執行したが、残りのA級戦犯容疑者については、裁判をおこなわない旨を発表、岸信介、児玉誉士夫、笹川良一ら19人を釈放した。彼らはその後、日本の反動勢力の支柱となった。写真左端が児玉誉士夫、右端が岸信介(1948年12月、神奈川県湯河原で)。
 この時からアメリカは日本の右翼勢力を自分の世界戦略の手下として使うことになった。いまだに侵略戦争をまじめに反省しない自民党などの体質の根源は、この時の日本の民主化の不徹底にある。日本共産党は侵略戦争に反対した唯一の日本の政党として現在、自主的、民主的、野党外交を積極的に展開している。