西尾労基署、ガソリン噴射製造部の無償残業を調査、是正勧告
前号のスパークでお知らせしたように、ガソリン噴射製造部工機課の仲間からの訴えにもとづいて、日本共産党は７月２２日に西尾労基署に調査・指導を要請しました。仲間からの訴えは「悪質な無償残業かくしが行われており、このままではノイローゼになり、家族崩壊します。助けてください」という内容でした。
これに対して西尾労基署から８月下旬と９月上旬の二回にわたって回答があり、これには日本共産党デンソー支部の他、野村のり子西三地区常任、牧野次郎西尾市議、牧野勝子西尾市議、八田ひろ子参議院秘書が出席しました。労基署からは署長と第一課長が報告しました。
その回答の主な内容は以下のとおりです。
@ ガソリン噴射製造部工機課全員の勤務実態調査をおこなった。最近２ヵ月分を調査したところ、個人別研修記録カードと入退場チェックにいくつか矛盾があった。
A トヨタの無償残業が新聞に出た昨年七月前後の残業記録を見ると、「その他」の除外である"４"の処置が非常に多かった。多い人で一月に１６回も"４"の処置があった。監督官が、管理者に問ただしたところ「トヨタの問題があったので、これ以後、気をつけるようにした」と事実上、「訴え」にあった内容を認めた。
B 以上の調査結果に基づくデンソーに対する指導内容は次のとおりである。
（イ）研修記録カードは毎月その月のうちに、研修時間だけでなく、研修開始時刻、終了時刻とも記録すること。
（ロ）残業をやった後、研修する場合、管理者はこれをきちんと管理し、チェックすること。
（ハ）今回の調査で明らかになった労働時間管理の問題点についてその処置を監督署に報告すること。
（ニ）製造部長、西尾製作所長を監督署に呼んで、指導文書を渡す時に、従業員から寄せられた文書の内容について質し、正す。
トヨタ、豊田労基署と連携して残業改善へ大会
トヨタ自動車は名古屋支社で昨年七月、無償残業が発覚したのを機に、長時間残業の改善を目的とする大会を１１月に開きます。四月に実行委が設立され、豊田労基署も特別委員として加わっています。１１月下旬に７００社以上が参加し、第一回「ゆとり創造」大会が開かれます。
これ自身は大変結構なことでデンソーや刈谷労基署も、是非やってもらいたいところです。しかし、ただ掛け声だおれにならないよう是非本腰を入れてもらいたいものです。刈谷市なんか、もう大分前に「ゆとり都市宣言」をしていますが、ただそれだけですし、労災でも「無災害連続記録○万時間」と表彰される職場がある一方で労災かくしが蔓延しています。無償残業撲滅についても真剣な自主的な対策が求められています。
トヨタ、全社員に特別ボーナス
新聞報道によると、トヨタ自動車は、労使間の相互信頼などを柱とする「労使宣言」の４０周年を記念し、９月に全社員に特別一時金を支給するそうです。支給額は課長級以上の管理職が一律８万円、それ以外の社員が同５万円。９月２５日支給の給与に上乗せされる。トヨタは２００２年３月期連結決算で、国内企業として初めて一兆円を上回る経常利益を上げました。しかし今春の値上げは定期昇給だけの６５００円にとどまり、ベアは見送られました。
デンソーも過去最高益をあげながら、同じようにベアは見送られました。減給になった人も多数います。デンソーも「何とかしろ」と言いたいところです。
休日手当２３０万円支払う（三菱重工・名古屋）
４月中旬、三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所は労基署の是正勧告に従い、社員９５人に未払い手当計約２３０万円を支払っていたことがわかりました。これは昨年末に同社の労働者有志が労基署にデータを元に、調査と対応を求めていた運動が実ったものです。
出門時刻の記入制度導入広がる（日立、三菱重工）
無償残業がまん延していて、なかなか改善されない会社で、今出門時刻を守衛のところで記入する制度が広がっています。
茨城県の日立製作所水戸事務所。今年１月中旬から、夜１０時以降に帰宅する従業員は、出門の際に必ず警備員立会いのもと、備え付けの部署別の台帳に氏名と出門時刻を記入することになりました。休日出勤の際は、入門、出門の両時刻を記入しています。
名古屋市港区の三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所の技術部門では４月からサービス残業（ただ働き）・長時間労働是正につながる勤務時間管理の改善措置がとられています。
平日午後９時以後の勤務、いっせい退社日の残業、休日出勤は、所定の連絡表を守衛に示さないと入出門できない、としています。
これらは、いずれもその会社の勇気ある労働者の運動と労基署の指導の成果であり、デンソーより一歩も二歩もすすんだ内容となっています。
連合政策資料 第４弾
生産労働者（技能職・高卒正規入社者）の所定内賃金比較
（連合民間主要組合の賃金比較2000年度版より 残業・一時金・夜勤手当は含まない）
