2005年6月14日(火)「しんぶん赤旗」
元慰安婦の話に高校生“衝撃”
「加害国の1人として 伝えていかなければ」
東京で体験聞く
「泣くまいと思ったけど、結局泣いてしまいました」。韓国の元日本軍「慰安婦」イ・オクソン(李玉善)さん(78)は十二日、第七回東京高校生フェスティバルに招かれて来日、戦時中に旧日本軍から受けた性的虐待について生々しい体験を二時間にわたって語りました。話を聞いた日本の高校生は「自分だったら耐えられないだろう」と衝撃を受けていました。「戦後六十年。侵略の真実を見つめよう」と日本民主青年同盟東京都委員会が企画したもの。
戦争の異常
元日本軍慰安婦の過酷な体験を高校生の前で証言するイ・オクソンさん(正面右)=12日、東京・渋谷区
イ・オクソンさんは一九二七年釜山生まれ。十六歳のときに、中国の延吉にある日本軍の飛行場に連れられて行きました。生理中でも軍人の相手をさせられ、性交渉を拒否すると殴るけるの暴行をうけ、刀で体を傷つけられたといいます。
「女性としてやはり聞くことがつらかった」と話すのは大野結美子さん。「戦争という異常な状態の中で、多くの人が傷つき、死んでいった事実をこういう形で伝えていくことは本当に大切なこと」といいます。
「本当に想像を超えていて怖かったです」という有本花野子さん。「加害国の一人として伝えて行かなければ」と日本が朝鮮を植民地支配した事実を見つめています。
靖国参拝は
「小泉首相の靖国参拝はしてもよいのではないか」と思っていた男子高校生は、イ・オクソンさんの話を聞いて「まだはっきりとはしないものの、靖国参拝はしないほうがよいのではないかと思い始めました。慰安婦・性奴隷にされていた時の大変さが伝わりました」といいます。
宇津野藍さんは「突然わけも分からず連れて行かれたのに、『お金が欲しくって行ったんだろう』などという人がいるのは本当に恥ずかしい」と感想を書きました。
「戦争は人間を人間扱いしないものだということを改めて実感した」という参加者は「中学の教科書を選ぶためのアンケートを書く催しがあって教科書を見てみたら、どの出版社の教科書にも従軍慰安婦の言葉はおろか内容も書いてありませんでした。戦争の真実はどんどん風化してしまう」とのべて、「しっかり伝えていかなければ」と決意を書いています。
2005年6月14日(火)「しんぶん赤旗」
文科相発言 中国外務省「強く非難」
「慰安婦」徴用は歴史的事実
【北京=菊池敏也】中国外務省の劉建超報道官は十三日、歴史教科書問題に関連して「そもそも従軍慰安婦という言葉は当時はなかった」とした中山成彬文部科学相の発言を批判する談話を発表しました。
劉報道官は、「『慰安婦』の強制徴用は日本軍国主義が第二次世界大戦で犯した重大な犯罪行為で、周知の歴史的事実」と指摘しつつ、「日本の教育に責任を負う閣僚がこの醜悪な歴史的事実を公然と否定することは、被害国の人民の感情をひどく傷つけるものだ。われわれはこれを強く非難する」と表明しました。
2005年6月14日(火)「しんぶん赤旗」
従軍慰安婦文科相発言 政府の立場否定は重大
市田書記局長が批判
記者会見する市田忠義書記局長=13日、国会
日本共産党の市田忠義書記局長は十三日、国会内で記者会見し、中山成彬文科相の「従軍慰安婦」否定発言に対し、「従軍慰安婦の存在を事実上否定し政府の立場を逸脱する重大な発言だ」と批判しました。
市田氏は、従軍慰安婦の事実を政府として認定し過ちを繰り返さないとした一九九三年の河野洋平官房長官談話を引き、「そういう言葉を公然と使うはずがないのは当然だ。当時は『太平洋戦争』でなく『大東亜戦争』と呼んでいたのであり、当時の言葉でなければ教科書に載せてはいけないというなら歴史教育が成り立たない。論外の話だ」とのべました。
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