2005年2月13日(日)「しんぶん赤旗」・日曜版

ビラ配布で逮捕  国家公務員法弾圧事件公判にみる


プライバシー侵害の尾行を繰り返した警視庁=東京・千代田区

公安警察 手口はストーカー
16人で尾行
盗撮テープは30本以上


 日本の秘密警察というべき公安警察。秘匿されてきた捜査手法の一端が法廷で暴露されました。休日に「しんぶん赤旗」号外を配布したことが国家公務員法(国公法)違反だと逮捕、起訴された社会保険庁職員の堀越明男さん(51)の公判です。その手口は、捜査というより"ストー力-"でした。

異常な捜査
 掘越さんが逮捕されたのは2004年3月。職場と無関係の場所で、ビラを配布したことが、国公法の「政治活動の制限」に違反するというのです。この制限で起訴されたのは、実に33年ぷりのことです。
 しかも捜査そのものが異常だったーー。それが6回の公判で、浮かび上がりました。
 まず尾行の捜査記録を見てみましょう。
 尾行は公判で明らかになったものだけでも、約40日に及びます。とくに03年10月11日から総選挙公示前日の11月8日までの約1カ月間は、のべ16人の警宮が動員されました。
 平日は2人から7人の警官が、堀越さんを午前8時前の出勤から退庁後まで藍視。ソバ屋や牛丼屋での飲食、銀行での入金、知人と芝居を鑑賞といった私生活を克明に記録しています。
 休日は、ほぼ11人の警官がべったり尾行。「冷凍食品等を購入し自宅に戻る」ということまで書いてあります。



 この間、警官たちはビデオカメラで、堀越さんを盗撮していました。ビデオテープは、30本以上になります。
 盗撮テープは、法廷で公開されました。画面の周囲が暗く、明らかにカメラを隠して撮影した画像も。手口はストーカーそのものです。
 同年11月3日の祝日には、警宮11人、ビデオカメラ6台、車4台で約20メートル離れた場所からビラ配布を監視し続けました。
 さらに堀越さんといっしょにビラを配った人が誰か、ビデオ映像をもとに特定する捜査も。
 大量の人員と税金を使って、個人のプライバシーを暴き立てる違法な捜査だったのです。

警告もなく 本来、警察は犯罪を予防することが任務です。堀越さんの行為が違法というなら、まず警告すべきです。ところが、警告もせず、尾行を続け逮捕しました。
 長年、神奈川県警で巡査部長をつとめた春田長雄氏は、捜査自体を問題視します。
 「堀越さんが休みにビラを配ったことで、被害者がいるのでしょうか?だれも不利益をこうむっていない。不当逮捕です。10人以上の捜査員を充てる暇があったら、未解決の殺人事件や警察の裏金事件こそ捜査すべきではないですか」 国家公務員の政治活動を問題にするなら自民党はどうか。
 例えぱ小泉純一郎首相は、99年の共著『郵政民営化論』で、こうのべています。
 「選挙のとき、郵政省の約30万人の職員はどの役所よりも選挙運動を一生懸命やってくれる。特定郵便局長は国家公務員ですが、それでもやっている」
 これだけ堂々と"官庁ぐるみ選挙"をやっていることは国公法違反に問わない一方、堀越さんだけを執ように尾行し逮捕・起訴した形です。
証言拒否も
 公判では、警視庁の公安部門の現職警宮が証人として出廷しています。
 捜査計画を決定した警視庁公安総務課-係長の寺田守孝警部。現場指揮
をした月島署警備課長代理だった牛濱定警部です。
 公安総務課とは何をしている部署か公判で弁護側は寺田警部をこう追及しました。
 ーー一般的な共産党の活動情報を取っているのでしょう。
 寺田 「それをやったかやらないかというのは、今後の業務の支障になりますので、言えません」
 ーー証言拒否ですか。
 寺田 「はい」
 −−何で言え首いんですか。
 寺田 「……」
 法廷でも、組織の正体だけは、決して明かさないのです。
 そんな秘密部隊である公安警察は、これまでも、日本共産党の緒方靖夫国際部長(現参院議員)の自宅の電話を盗聴するなど、還法な情報収集をしてきました。
 日本共産党を監視対象にすることは、憲法に保障された思想信条の自由、結社の自由を踏みにじる不当意行為です。
 堀越さんはいいます。
 「私は今回の事件とは関係ないところでもスパイされ、不当な尾行でプライバシーを侵害されました。やり方が汚い。不当弾圧です。"政治犯"をつくるような捜査はやめるべきだ。そして国家公務員の政治活動も自由にすべきです」

 そんな秘密部隊である公安警察は、これまでも、日本共産党の緒方靖夫国際部長(現参院議員)の自宅の電話を盗聴するなど、違法な情報収集をしてきました。
 日本共産党を監視対象にすることは、憲法に保障された思想信条の自由、結社の自由を踏みにじる不当意行為です。
 堀越さんはいいます。
 「私は今回の事件とは関係意いところでもスパイされ、不当な尾行でプライバシーを侵害されました。やり方が汚い。不当弾圧です。”政治犯"をつくるような捜査はやめるべきだ。そして国家公務員の政治活動も自由にすべきです」


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