2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」
20年、一人で仕事 スズキ思想差別 原告が陳述
控訴審始まる
軽四輪最大手のスズキ(本社・静岡県浜松市)で働く七人の日本共産党員が思想差別撤廃と賃金差別是正を求めて提訴した裁判が九日、東京高裁で始まりました。
スズキは、劣悪な労働条件の改善に熱心にとりくんでいる日本共産党員の活動を嫌い、党員と「口を聞くな。話すな」と職場で徹底し、結婚式に出席させない、仕事上必要な教育を受けさせないなど数々の人権侵害を行い、人事考課を不当に低くして、同年齢の平均賃金に比べて、最高で年二百六十万円もの賃金差別をしてきました。
これに対し、二〇〇〇年七月と翌〇一年十月に七人が提訴。静岡地裁は昨年九月、原告一人を除く六人に三千五百万円余の支払いを命じ、同社の反共差別意思を認定しました。
判決を不服として、原告・被告双方が控訴していました。
控訴審では、原告を代表して久米信雄さんが陳述。同社が再三、労働基準監督署から立ち入り調査と指導を受けてもサービス残業(ただ働き)をくり返してきたことや、長時間・過密労働を強いられて飛び降り自殺した労働者の遺族に「死んだのは本人が悪い」と労災申請を拒否したと告発。働く者の健康とくらしを一生懸命に守ってたたかってきた日本共産党員を二十年間たった一人で仕事をさせるなど、差別がまかり通っている事実を明らかにしました。
会社側代理人は、原告たちが四万円近い生命保険や損害保険、一万数千円の財形貯蓄に入り、平均年収は県平均より上回っているとして、差別はないとのべました。
2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」
独2大労組 金属、5%賃上げ交渉
公共部門 14年ぶり大規模スト
【ベルリン=片岡正明】ドイツの二つの巨大労組が賃上げや労働時間延長停止を求め、ストや交渉を行っています。
自動車や電機などの産業で働く労働者を組織する金属産業労組(IGメタル、二百四十五万人)は八日、ダルムシュタットで使用者側と労働協約交渉を開始し、5%の賃上げを要求しました。
IGメタルは物価値上げ分に加え、大きな利益をあげている大企業から労働者へのフェアな分配を求めているもの。「労働者の実感できる賃金引上げは国民の購買力をつけ、ドイツ経済にも貢献する」としています。
一方、使用者側は今のところ、「最大で1・2%」と抑制をはかっています。交渉が長引いた場合、金属産業労組は三月にも警告ストを打つかまえです。前回二〇〇四年の交渉ではIGメタルは2・2%、2・7%の二段階での賃上げを勝ちとりました。
一方、六日からストを実施しているのは統一サービス産業労組(ベルディ、二百五十三万人)で、南西部のバーデン・ビュルテンベルク州を皮切りに公共部門で十四年ぶりとなる大規模ストとなっています。今回のストは三十八・五週労働時間を四十時間に延長することに反対するもの。延長しても追加賃金の支払いはなく、自治体によっては夏冬のボーナス削減も提案されています。労組側は労働時間延長によって人減らしが進み、さらに労働強化になると主張、また自治体労働者削減は自治体サービス低下につながると訴えています。
2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」
正規雇用増えたというが 昨年1年では非正規が上回る
比較可能は2カ月だけ
■就職件数の統計
「少しずつ正規雇用が増え始めた」?―川崎二郎厚労相が七日の衆院予算委員会でもちだした「就職件数」の統計にはいくつものからくりがあります。統計を詳しく見れば、簡単に正社員が増えているとは言えません。
就職件数とは全国のハローワーク(公共職業安定所)を通じた就職人数のこと。川崎厚労相は二〇〇五年十一、十二両月の就職件数をあげ、前年同月比で正社員が増え非正規雇用が減っていると強調しました。
ところが正社員と非正規を分けて統計をとりはじめたのが〇四年十一月からなので、前年と比較できるのは〇五年十一、十二月の二カ月しかありません。
労働行政の専門家は「そもそも二カ月分だけでは統計とはいえないと思います。国会で出せる数字なのでしょうか。しかも、ここでいう正社員は四カ月以上の雇用というだけで、求人側の呼び方次第で六カ月の雇用でも『正社員』に入ってしまう問題があります」と疑問を投げかけます。
同じハローワークの統計でも新規求人の構成比を見ると、〇五年十一月、十二月とも前年同月比で正社員は0・6ポイント減り非正規がその分増えています。正社員を不安定雇用におきかえる動きが止まったとは、とうていいえないのです。
そもそも〇五年一年間の就職件数は、非正規雇用が百十一万件で、正社員の百二万件を上回ります。川崎厚労相も「一九九七年をピークに正社員が減り非正規雇用が増えているのは事実」と認めているように、ハローワークの職業紹介でここまで非正規が増えていることこそ問題です。
(吉)
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