2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

トヨタ孫会社に直接雇用要求 派遣会社 68人の解雇撤回
徳島


 トヨタ孫会社の光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)の工場で長期に働き、同社への直接雇用を求めていた派遣会社・コラボレートの労働者が今月末で雇い止めされようとした問題で、コラボレート社は十三日、JMIU(全日本金属情報機器労組)との団体交渉で六十八人全員の解雇を撤回すると表明しました。
 コラボレート社は昨年十二月二十八日、テクノ社に供給してきた六十八人に雇用契約が終了したといって、解雇を通告。これに対し、JMIUはテクノ社、コラボレート社に団体交渉を申し入れるとともに、徳島県労働局に解雇撤回を指導するよう要請してきました。
 六十八人の労働者のうち、二十人は二〇〇三年に結成されたJMIU徳島地域支部コラボレート分会の組合員です。
 JMIUは昨年暮れ、テクノ社とコラボレート社との「請負契約」は名ばかりで、実態はテクノ社の指揮のもとで働き、労働者派遣法に違反する「偽装請負」だと厚生労働相と同労働局に申告。
 同時に、テクノ社には、製造業に一年以上継続して働かせる場合、正社員として雇用することを派遣先企業に義務づけている労働者派遣法に従い、正社員として雇用するよう要求しています。

■正規めざす前進の一歩
 JMIU徳島地域支部コラボレート分会の矢部浩史委員長(40)の話 解雇撤回をかちとったのはうれしく思います。しかし、私たちが求めるテクノ社での正規雇用はいまだ実現しておらず、前進の一歩だと感じています。テクノ社は長年、生産を担ってきた私たちを法律を順守して正規雇用にしてほしい。


2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

“正社員より低い”7割 パート労働者の時間給
厚労省系調査


 厚生労働省系の二十一世紀職業財団が実施した調査によると、正社員と同等の職務や責任で働くパート労働者(正社員的パート)の時間当たり基本給が、正社員より低いケースが七割弱に達することがこのほど分かりました。
 労働力人口が減少する中で、厚労省は「子育てが終わった女性や、定年後の男性の就業のために、パートの処遇向上は重要」としており、特に基本給の決め方などで「格差是正」に力を入れる考えです。
 調査は全国一万三千事業所を対象に昨年九月実施し、二千八百二十一件の有効回答を得ました。
 正社員的パートで、年齢・能力・成果などに基づく「基本給の決め方」が正社員と「同じ」なのは11・6%にとどまります。「一部の人は異なる」が10・7%、「ほとんどの人が異なる」が18・7%で、「同じ人はいない」が39・8%に達しました。
 また、時間当たり基本給を見ると、「ほぼ同額」は14・5%に対し、「九割程度」が12・8%、「八割程度」が24・4%、「七割程度」が19・9%、「六割以下」が8・5%と、大半の企業で格差が解消されていない実態が浮き彫りになりました。


2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

“労働条件切り下げ生む” 労組などが反対運動
EUのサービス業自由化案


 【ベルリン=片岡正明】欧州連合(EU)域内でサービス業市場の自由化を促す「ボルケスタイン指令案」が欧州で大きな問題となっています。欧州議会での採決日程をにらんで、欧州労連(ETUC)や欧州社会フォーラムは二月初めに各地で相次いで大規模な反対デモを行います。

■「出身国」の待遇
 指令はEUの法律。指令が決定されると加盟各国はそれに沿って国内法を制定、施行しなければなりません。サービス業の市場自由化はEU経済戦略の一つの柱。二〇〇四年、EUの執行機関、欧州委員会のボルケスタイン欧州委員(域内市場担当)=当時=のイニシアチブで提案されたもので、対象にはホテル、レストラン、レンタカー、建設、不動産をはじめ、建築や法律のアドバイス、公共的な性格を持つ保健サービスも含まれます。
 問題になっているのが進出企業に適用される法律の「出身国主義」。EU域内の他の国に進出した企業には、進出先の法律でなく、出身国の法律が適用されます。そこで働く労働者の待遇を規制する法令も同じ。低賃金で悪い労働条件の国の会社は、他国でも同じ条件で雇用ができるようになります。
 統合が進んだとはいえ、EU内では歴史的に労働者の権利をかちとってきたフランスやドイツなどと、十数年前に市場経済がスタートし、労働条件の整備が遅れている東欧諸国とでは賃金水準や労働時間、雇用形態などでまだ差があります。
 欧州の労組は、東欧諸国の低賃金と長時間労働を持ち込む「社会的ダンピング」が生じ、労働者の権利保護や高福祉の制度を持つ「欧州社会モデル」が脅かされると強く懸念しています。

■反対集会を計画
 指令案は現在、EUの議会、欧州議会の特別委員会で可決され、本会議で審議されています。欧州議会会派のうち、「欧州統一左翼・北欧緑左翼連合」が指令案阻止への動きを強めていますが、議会で多数を占める保守の欧州人民党、自由民主などが賛成の方向で動いています。
 ETUCはフランス労働総同盟(CGT)の要請を受け、大規模な反対デモ・集会を二月十四日に欧州議会のあるストラスブールで行うことを決めました。経済のグローバル化(地球規模化)問題にとりくんでいる欧州社会フォーラムも二月十一日にストラスブールで反対デモを計画。アタック(市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション)も同日ドイツ全国に参加を呼びかけた集会をベルリンで行います。

■批准否決の一因
 この指令案をめぐっては、仏、オランダで昨年、欧州憲法批准の国民投票が行われた際、欧州憲法の「新自由主義の具体化」と批判され、批准否決の一因となりました。
 モンクスETUC書記長は、ことし前半、輪番制のEU議長国になったオーストリアのシュッセル首相に、経済成長の追求だけでなく、雇用、社会政策、環境とのバランスに配慮した「社会的欧州の建設がEU発展の中心でなければならない」と申し入れ、各国国内市場の社会的側面を重視した指令案でなければ受け入れられないと表明しました。

■欧州労働問題専門家 

■フランク・デッペ氏に聞く

■労組などが反対運動
 ボルケスタイン指令案の内容と背景について、欧州労働問題専門家、ドイツ・マーブルク大学のフランク・デッペ政治学教授に聞きました。(マーブルク=片岡正明)
 指令案は欧州連合(EU)で資本の自由化、サービス・労働力・商品の自由化条項を一部変更するもので、大きな問題があります。
 大きな変更は二点です。EU加盟各国の企業がEU内で自由に支社・支店を開設できることと、その支社・支店には所在地の国の労働法ではなく、本社のある国の労働法が適用されるということです。
 EU二十五カ国の間には大きな賃金格差、労働条件の差があります。
 ドイツでも建設作業員や看護師として、ポーランドなど東欧から就労している労働者が増えています。指令案は出身国主義で労働条件・賃金をダンピングし、事実上、東欧からの労働者で西欧の労働者を入れ替えさせます。
 すでにドイツでは建設業など一部の企業で労働条件の切り下げが行われています。
 低賃金の国から来る労働者を支援し、その国の労働運動を支援することが必要です。わたしたちがたたかわなくてはならないのは、不法就労の中に生き延びる道を求めざるを得ない人に対してでなく、不法就労を強制し多額の収入を得ている人たちに対してです。
 とりわけ、東欧と西欧は大きな格差があり、資本はこの大きな差をEU内の労働市場開放圧力として利用しています。東西の労働者を競わせ、政治的に各国の労働者が互いに対立するようしむけています。
 ボルケスタイン指令案のねらいの一つは労組の弱体化です。われわれは国内レベルの労働運動をまず強化するとともに、欧州レベルの連帯も強化しなければなりません。


2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

サラ金5社 もうけ5680億
最高裁も違法と認めた高金利


 アイフル、アコム、プロミス、武富士、三洋信販の大手サラ金五社が1%台の低金利で銀行などから資金を調達、利息制限法の上限(15―20%)を上回る25%前後の超高金利で貸し出し、五社グループ計で五千六百八十億円(二〇〇五年三月期)もの年間経常利益を上げていることが本紙調べで分かりました。今月十三日の最高裁判決は利息制限法違反の超過金利を実質的に否定しており、違法性の上のぼろもうけが改めて問題になっています。

 五社の有価証券報告書によると、アイフルは、住友信託銀行などから、1・61%という低金利で資金調達。その資金を消費者に26・9%という高金利で融資しています。その結果、年間千三百五十三億円の経常利益、五千百八十四億円の営業収入(いずれも〇五年三月期連結決算)を上げています。
 他の四社も同様で、アコムは経常利益千四百三十三億円(営業収入四千三百三十九億円)、プロミスは同千三百八億円(同三千六百九十八億円)、武富士は同千百九十三億円(同三千六百一億円)、三洋信販は同三百九十四億円(同千五百四億円)となっています。
 これほどの暴利を得られるのは、罰則のある出資法の上限金利が29・2%と高く、罰則のない利息制限法の上限金利(年15―20%)が守られていないためです。
 しかし、最高裁判決は「明らかな強制だけでなく、事実上の強制があった場合も、利息制限法の上限を超えた分の支払いは無効」としました。これまでも最高裁は、超過利息は過払いだとして返還請求を認めています。


2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

ライブドアを捜索 関連会社の買収で虚偽発表
東京地検


 インターネットサービス会社「ライブドア」(東京都港区、堀江貴文社長)の関連会社で、インターネット広告会社「ライブドアマーケティング」(港区、岡本文人社長)が二○○四年、出版社を買収する際に虚偽の発表をし、株価をつり上げた疑いがあるとして、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会は十六日夜、証券取引法違反(風説の流布など)容疑で、ライブドアや港区の堀江社長宅、マーケティング社など十数カ所を家宅捜索しました。
 マーケティング社の虚偽発表は、ライブドアが主導した疑いもあり、特捜部は堀江社長の関与の有無を含め、実態解明を進めます。
 調べや関係者によると、マーケティング社は社名変更前のバリュークリックジャパン時代の○四年十月二十五日、株式交換方式で、出版社「マネーライフ」(港区)を完全子会社化すると発表しました。
 しかし、ライブドアグループはこれに先立ち、同年六月、同社の発行済み株式を買収していたといいます。
 さらに、マーケティング社は同年十一月、第3・四半期(同年九月まで)の決算短信で、株価を変動する目的で、売上高や経常利益、当期純利益を水増しするなどの虚偽の数字を公表した疑いがあるといいます。
 ライブドアは、企業のM&A(合併・買収)を繰り返して急成長してきました。堀江社長は市場のルールに沿った企業活動の展開かのように語り、新興企業経営者の代表格としてもてはやされました。しかし、企業買収をめぐり、偽りの情報を流布することで株価をつりあげていたとしたら、ライブドアの「錬金術」は、市場のルールを破ることだったことになります。
 堀江氏は、昨年九月の衆院選に広島6区から無所属で出馬。自民党の武部勤幹事長が応援に入り、小泉純一郎首相も「エールを送りたい」と述べていました。

 ▼風説の流布 虚偽の情報や未確認のうわさを流すこと。株式など有価証券取引にあたり、相場の変動を図る目的で風説を流すことは証券取引法で禁止されています。情報を信頼して投資判断をした投資家に損害を与え、また、市場の信頼性や健全性を阻害するためです。風説の流布によって得た利益は没収されます。罰則は五年以下の懲役または五百万円以下の罰金。


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