2005年12月31日(土)「しんぶん赤旗」
職場のたたかい この一年 思想・女性差別を是正
大きな流れつくる
職場の自由と民主主義、権利を守る労働者のたたかいは二〇〇五年、思想信条や性別による差別、サービス残業(ただ働き)を是正させる大きな流れをつくりました。
■サービス残業・非正規雇用も
日本共産党員への差別是正のたたかいは二つの大企業職場で勝利し、大きく前進しました。
世界有数の鉄鋼メーカー、新日本製鉄の広畑製鉄所で一九六〇年代から半世紀近く続けてきた思想差別をやめると会社が約束。原告の労働者五人と高裁で和解しました。繊維大手のクラボウでも二十数年ぶりに労働者二人と和解。両社とも「憲法や労働基準法に従って、公平・公正に処遇する」と表明しています。軽四輪のスズキでは、地裁が会社に賠償を命じる判決を出しました。
闇の人事制度で女性を処遇していた住友金属工業の女性四人が男女差別是正を求めた争議で地裁が女性を理由にした昇格・昇給差別を認め、会社に賠償を命じました。
大企業が無法なリストラと正規から非正規への置き換えを強めているもとで、非正規労働者がたたかいに立ちあがり、次々と勝利しています。
食品メーカー・ネスレジャパンのグループ会社では、外注化を理由に解雇された契約社員五人が高裁で解雇撤回などで和解。ヨドバシカメラの売り場で「笑顔が足りない」と派遣社員(28)が派遣先のヨドバシと派遣元社員から受けた暴行事件で、地裁が両社に賠償を命令。最低賃金をも下回る月六万円の奨学金で長時間働かせていた関西医大の研修医(26)の過労死問題で最高裁が「研修医は労働者」と初判断。賃金支払いと賠償を命じた判決が確定しました。
業界の闇カルテルを内部告発した社員(58)への報復で三十年近く昇格・昇給させなかったトナミ運輸に地裁が賠償命令。ハンセン病元患者の宿泊拒否事件で廃業し解雇された原告らが解雇無効の地裁判決を受け、会社と和解しました。
サービス残業(ただ働き)の是正は、昨年に続いて、さらに前進しています。東京電力が六十九億円、人材派遣業最大手のスタッフサービス五十三億円、郵政公社三十二億円、関西電力二十三億円、大阪ガス十八億円、旧道路公団八億円と巨額の是正が続きました。
2005年12月31日(土)「しんぶん赤旗」
内需への期待圧倒的 法人企業調査
個人消費の回復カギ
企業の収益改善にとっても個人消費の動向がカギを握っていることが、政府調査でも明らかになっています。
内閣府と財務省がまとめた第七回法人企業景気予測調査(十―十二月期)によると、収益改善のための方策で、企業が最も重要度が高いと考えているのは、大企業、中堅企業、中小企業ともに「国内販売の拡大」がトップでした。さまざまな形でのコスト(原価)抑制による収益改善を追求する姿勢は依然として、大きな比重を占めているものの、内需の拡大への期待が群を抜いています。
製造業でみると、大企業、中堅企業、中小企業ともに「国内販売の拡大」が七割前後(複数回答)を占めています。一方、「海外市場の拡大」は大企業では36・0%を占めていますが、中小企業では11・9%にとどまっています。外需への依存は大企業の方が強いことが分かります。
国内販売を拡大していくためには、内需の拡大、とくに個人消費が力強く回復していくことが求められます。企業が人件費削減や部品単価切り下げで下請け業者にしわ寄せすることは、所得を悪化させ、個人消費を冷やします。また、小泉内閣が計画している所得税・住民税の定率減税全廃などの庶民負担増も消費に悪影響を与え、国内販売にブレーキをかけることになります。
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