2005年12月28日(水)「しんぶん赤旗」

失業率悪化4.6%
11月 2カ月続けて上昇


 総務省が二十七日発表した労働力調査(速報)によると、十一月の完全失業率(季節調整値)は4・6%と、前月と比べ0・1ポイント悪化しました。二カ月連続の悪化です。
 同日発表の家計調査報告(十一月分)でも、実収入、可処分所得とも五カ月連続で減少しているように、収入の低下傾向が続くもとで、パートなど女性の就業希望者が増えていること、今よりよい条件の職を求める転職希望者が増えたことが要因とみられています。
 完全失業者数は、前年同月比で二万人増加して二百九十二万人。三十一カ月ぶりの増加です。特に女性は八万人(7・4%)増加しています。年齢別では、二十五―三十四歳の女性が突出しており、完全失業者は前年同月比で十万人増、完全失業率は1・7ポイント増の6・7%。この年齢層での雇用情勢が厳しさを増しています。


2005年12月28日(水)「しんぶん赤旗」

「間接差別」初の明記 対象は限定 雇用機会均等で報告案
厚労省審議会


 二〇〇六年の男女雇用機会均等法(均等法)改正を前に論議をすすめてきた厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会(横溝正子分科会長)は二十七日、「今後の男女雇用機会均等対策について(報告)」(案)をまとめ、厚生労働大臣に提出しました。まとめを受けて厚労省は、均等法改正案の作成作業を始めます。
 報告案は、「間接差別」を初めて明記。しかし間接差別として禁止する対象は、▽募集・採用時の身長・体重・体力▽コース別・総合職の募集・採用時に全国転勤を条件とする▽昇進における転勤経験を条件とする―の三つに限定する不十分なものになりました。しかも業務のうえで必要と判断されれば、間接差別と認められず禁止されない、との要件が盛り込まれました。
 女性労働者の五割を超えるパート・臨時・派遣労働者の賃金・労働条件の改善の問題、気軽に相談できる窓口や権限の強い救済機関の設置、罰則規定は記載されませんでした。
 報告案に対し、労働者側委員から「間接差別基準は、限定列挙ではなく例示列挙にすべきだ」、使用者側委員から「間接差別概念の導入について懸念がある」との意見が出され、それぞれ記載されました。
 この間の審議会の論議で、労働者、使用者双方の委員の意見が最も対立したのが、性別にかかわりのない雇用条件や基準が結果的に一方の性の労働者への不利益につながる「間接差別」を明記することでした。労働者や全労連が明記を求め、運動してきました。


2005年12月28日(水)「しんぶん赤旗」

賃金格差解消盛る
「男女共同参画」計画を閣議決定


 政府は二十七日、第二次男女共同参画基本計画(二〇〇六―一〇年度)を閣議決定しました。十二の重点分野((1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大(2)男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革(3)雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保――など)について、二〇二〇年までの長期的な政策の方向と、一〇年度末までに実施する具体的施策を列挙しています。
 女性の社会進出の度合いを示すジェンダー・エンパワーメント指数が日本は世界八十カ国中四十三位(〇五年)と低いことをあげ、管理職などの「指導的地位に女性が占める割合を二〇二〇年までに30%程度になるよう期待する」との目標を提示しました。
 現行の基本計画(二〇〇〇―〇五年度)では掲げていなかった男女賃金格差の解消について、ILO第100号条約(同一価値労働同一賃金)の趣旨を踏まえ格差の解消を図ると明記。
 間接差別や妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止については、労働政策審議会での検討結果を踏まえ「適切に対応」するとしています。
 仕事と家庭の両立支援について、長時間残業を行っている人を五年で一割以上減らすなどの目標を掲げる一方、現行の基本計画の「年間総労働時間千八百時間の早期達成・定着」を削除するなどの後退面があります。
 また、子育てのための資産形成や高齢期の所得保障について「自助努力」を強調しています。
 選択的夫婦別姓制度については「国民の議論が深まるよう引き続き努める」との記述にとどまりました。権利侵害を受けた女性が国連の委員会に通報できる女子差別撤廃条約選択議定書の批准についても、「検討を行う」とするにとどまっています。


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