2005年12月17日(土)「しんぶん赤旗」
企業の金余り83兆円 人減らし・リストラで増加
本紙試算 応分の負担求める声
民間企業(金融を除く)の手元に残っている余剰資金が八十三兆一千億円に積みあがっていることがわかりました。日銀が十五日に発表した資金循環統計の九月末速報をもとに、本紙が試算したもの。
試算は、二〇〇四年十二月末の企業の余剰資金を八十二兆円(速報による試算、確報による本紙試算では七十七兆四千億円)と算出した第一生命経済研究所主席エコノミストの熊野英生氏の手法を用いて計算しました。
余剰資金の推移を見ると、二〇〇一年を境に企業の余剰資金が増加傾向にあることがわかります。
大企業が小泉内閣の後押しを受け、人減らし・リストラで「V字回復」を図る過程と重なります。大企業は史上空前の大もうけを記録しても、労働者には還元せず、空前の「金余り」状態となっています。
企業の「金余り」に着目して、賃上げで労働者に還元すべきだとの意見や「法人増税が選択肢からあらかじめ排除されるものではない」(池尾和人慶応大学教授、『東洋経済』八月二十七日号)との論調も強まりました。
しかし、政府・与党は来年度予算編成で、庶民には定率減税廃止や医療改悪などの負担増を求める一方、大企業に対する減税措置は、縮小するものの温存する方針です。商業メディアも、「『家計に冷たく企業にやさしい』の流れが加速する気配が濃厚だ」(「朝日」十六日付)と報じています。
日本共産党は、依然低迷する家計に負担増を押しつけるのではなく、史上空前の利益を上げている大企業に応分の負担を求めるべきだと主張しています。
2005年12月17日(土)「しんぶん赤旗」
多数派結集の運動へ
全国革新懇が代表世話人会
全国革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)は十六日、東京都内で代表世話人会を開き、十一月の地域・職場革新懇全国交流会の成功を力に、憲法・平和、国民の切実な願い実現へ、さらに多数派結集の運動を推進していくことを申し合わせました。
全国交流会のなかで、各地の憲法改悪反対運動の発展や、まちづくり、合併問題など住民要求をとりあげ奮闘する姿がうきぼりになり、参加者に確信をひろげたことが報告されました。また、革新懇運動を無党派との共同をひろげ多数派結集をめざす運動として位置付けてとりくむ日本共産党神奈川県委員長の発言が反響をよび、山梨では交流会後に党県委員会が県革新懇と定期的に懇談会をもつようになったことが紹介されました。
情勢討議のなかで、自民・民主の「大連立」発言の背景に、在日米軍基地の再編・強化が沖縄をはじめ関係自治体の猛反発をうけ、民主党をとりこまなければ打開できないような状況に与党が追いこまれている事態があるとの発言が出されました。
子どもの安全をめぐる問題もだされ、大阪・八尾市の新日本婦人の会の班が「おばさんパトロール」を結成して通学路をまわり歓迎されているという発言が注目を集めました。
草の根の「九条の会」が三千六百に達していることが紹介され、その推進力である革新懇を結成し、拡大することが強調されました。
2005年12月17日(土)「しんぶん赤旗」
少子化白書 人口減少 来年にも 家庭と両立できる労働に
原因に長時間労働・不安定雇用
■解説
白書は、少子化問題が日本社会のさまざまな矛盾の複合的な結果であることをあらためて示しました。
日本共産党が来年一月に開く第二十四回党大会の決議案の中でも、少子化傾向の根本原因として、不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、出産育児・教育の経済的負担、子育ての社会環境の悪化を指摘。「家庭生活との両立ができる人間らしい労働をとりもどす」ことを解決策として強調しています。白書の分析はこれと重なるものがあります。
この間、出生率を改善している西欧諸国は、少子化問題を単に「いかに産ませるか」として扱うのではなく、子育てと仕事の両立を含めた総合的な対策を数十年にわたって進めてきました。
しかし、日本政府は長時間労働を野放しにし、「労働法制の規制緩和」の名のもと、雇用の流動化を推しすすめています。子育てしやすい環境づくりに逆行するものです。
白書もイギリスを例に「働きやすい環境の整備が結果として出生率の回復に寄与している」と指摘するように、出生率は、人間らしい生活や労働条件と切り離して論じられないことを再認識する必要があります。(大谷直)
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