2005年12月13日(火)「しんぶん赤旗」

現場の怒りを運動へ
労働総研シンポ 新自由主義に対抗


 労働運動総合研究所は十一日、設立十五周年を記念し、シンポジウム「労働政策の新自由主義的展開へのわれわれの対抗軸を考える」を東京都内で開き、約百三十人が参加しました。
 牧野富夫代表理事が主催者あいさつし、全労連の熊谷金道議長、自由法曹団の坂本修団長、ジャーナリストの斎藤貴男の三氏をパネリストに、大木一訓代表理事が司会・進行役を務めました。
 熊谷氏は「最大の対抗軸は職場・地域で起きている労働現場の実態をどう要求・怒りにし、運動にしていくかだ」とし、“ルールなき資本主義”といわれ、世界でも異常な働き方をやめさせ、人間らしく生き働くルールを確立していく大切さを強調。非正規労働者を視野に、「もっと多くの労働者に働きかけていきたい」と語りました。
 坂本氏は「最大の対抗軸は憲法にある」として「改憲に対し、国民的運動を起こし必ず勝利すること。対抗軸であると同時に、歴史を変えていく転換軸だ」と指摘。後を絶たない過労死など「広範な違憲状態」や、労働契約法制にみられるさらなる改悪の動きを批判。たたかいの声をあげる重要性をのべました。
 斎藤氏は、正規雇用の一部エリートと急増する非正規の流れの大本に改憲の考え方と共通性があると指摘。非正規を含め幅広い社会問題を視野に入れた運動を労働組合に求め、「差別的な雇用のあり方を許せば社会全体が差別的になり、戦争も不可避になってしまう」と警告しました。
 会場からは「非正規の運動は新自由主義に対抗し得るたたかいになる」との発言がありました。
 シンポに続いてレセプションを開催。大江洸代表理事があいさつ。日本共産党から浦田宣昭国民運動委員会責任者が出席し、笠井亮衆院議員が来賓あいさつしました。

 ▼労働運動総合研究所(労働総研) 全労連結成から一カ月後の一九八九年十二月、「全労連との緊密な協力・共同のもとに、運動の発展に積極的に寄与する調査研究・政策活動をすすめる」(設立趣意書)を目的に設立されました。十一月には全労連と共同で「労働組合活動実態と課題と展望」の中間報告を発表しました。



2005年12月13日(火)「しんぶん赤旗」

“返済肩代わり強制された” アイフルを提訴
大分


 サラ金大手「アイフル」(本社・京都市)の不動産担保ローンで、家族二人で所有するマンションの一方の持ち分が違法に担保にとられ、強制的に返済を肩代わりさせられたとして、同社から借金をした会社員(36)の父親(65)=大分市=が十二日、同社と根抵当権設定の登記手続きをした司法書士を相手取り、慰謝料五十万円と過払い金百六十六万円などの支払いを求める訴訟を大分地裁に起こしました。
 訴状によると、会社員は昨年二月、アイフル側のすすめで同社からの債務を不動産担保にきりかえ、父親と共同所有していた横浜市のマンションの持ち分(六分の一)を担保に入れ、昨年末までに極度額いっぱいの五百万円を借金。しかし、ことし四月から返済が滞るようになりました。六分の五の持ち分を持つ父親は、息子の持ち分が競売されると大きな不利益を被るため、計約五百五十四万円を肩代わりしてアイフルに支払いました。
 父親側は、マンションは時価評価で千五百万円程度の物件で、六分の一の持ち分に対して五百万円も貸し付けたのは過剰融資であり、競売されると不利益を被る家族を「有無をいわさず返済に協力させる、違法行為」だと主張しています。
 マンションの権利証は父親が保管しており、東京都内で開業する司法書士が、保証書を使い、「権利証を紛失した」との虚偽の理由で、違法に登記したとしています。
 また、父親は二〇〇一年にアイフルからの息子の借金を肩代わりした際、同社社員に対して、息子に「二度と貸さないように」と依頼していたといいます。
 息子の借金は、父親が約五百五十万円を支払ったあと、利息制限法の金利に基づく再計算で、百六十六万円の過払いが発生しています。


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