2005年10月18日(火)「しんぶん赤旗」

時短促進法改悪
目標掲げないものに後退


 政府・与党は、十四日の衆院厚生労働委員会で「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」(時短促進法)の改悪を労働安全衛生法、労災保険法、労働保険徴収法の三重要法案と一括して、わずか六時間の審議で強行しました。十八日には、衆院本会議での強行を狙っています。

■“労資が自主的に”
 一九九二年に臨時措置法として制定された時短促進法は、国際公約でもある年間総労働時間千八百時間という労働時間短縮の目標を推進するための法律です。「国は、労働時間短縮推進計画を策定しなければならない」(第四条)と定め、これに基づき時短推進計画をくり返し閣議決定してきました。しかし、目標を達成できないまま同法は二度延長され、来年三月末で期限を迎えます。
 ところが、今回の改悪で、法律名も「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)と変え、時短目標は掲げず、“事業主が労働時間の設定を改善するに当たって必要となる指針を厚労大臣が定め、労資が自主的にとりくむ”という内容にしようとしています。
 政府は「労働者の年間総労働時間は八八年度二千七十六時間、九五年度千九百十二時間、二〇〇四年度千八百三十四時間と着実に短縮してきた」と自慢しました。

■「短縮」はマジック
 日本共産党の笠井亮衆院議員は、この数値が大企業がリストラで正社員を減らし、パートなど非正規労働者を増やしたことによるもので、「現実ではないマジックだ」と追及。正社員の年間総労働時間をただすと、尾辻厚労大臣は、〇一年度が千九百九十時間、〇四年度が二千十五時間で小泉内閣になって以来、二十五時間長くなっていることを認めました。
 厚労省が「過労死の危険がある」とする週六十時間以上働く労働者は、九三年度に五百四十万人と全労働者に占める割合が10・6%から〇四年度は六百三十九万人、12・2%と増えています(総務省「労働力調査」)。正社員の長時間労働は深刻で、時短目標を廃止する理由はありません。

■財界の強い要求が
 労働時間の国際比較でも、製造業労働者の年間総労働時間で日本の労働時間はフランスやドイツより約四百時間も長い千九百五十四時間になっています。(グラフ)

 時短目標を廃止する法改悪の背景には、財界の強い要求があります。
 財界の総本山、日本経団連(奥田碩会長)は「罰則が伴わないものでも、法律による規制の追加は労使自治、規制緩和の動きに逆行」(『経労委報告〇五年版』)するといい、“法規制や行政指導はなるべく無くし、労働条件の決定は労資自治に任せよ”という主張をくり返しています。
 日本経団連は、さらなる「規制緩和」が必要とし、今年六月に発表した「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」で、年収四百万円以上のホワイトカラーには労基法の労働時間規制を外すよう求めています。
 「労資のことに外部からあれこれ口を出すな」といわんばかりの「労資自治」では、時短がすすまないばかりか、圧倒的に優位な企業側の思い通りに労働条件を変えるのは目に見えています。
 笠井氏は、同委員会で「必要なことは、労働基準法の改正で、時間外労働の上限規制に踏み切るべきだ」と訴えました。
 労働安全衛生法改悪案とともに、時短促進法改悪案は、労働者の命と健康を守る企業責任を後退させ、世界で批判を浴びる働き方をより異常なものにします。悪法を一括し、ごり押しする小泉内閣へ国内外から批判が強まるのは必至です。(原田浩一朗)


2005年10月18日(火)「しんぶん赤旗」

自治労連新役員が党本部訪問
市田書記局長ら応対


 自治労連(全労連加盟)の新役員が十七日、日本共産党本部を訪問しました。訪れたのは、八月の定期大会で選出された駒場忠親委員長、大黒作治書記長、川西玲子副委員長ら五氏。
 日本共産党から市田忠義書記局長、浦田宣昭・国民運動委員会責任者らが応対しました。
 駒場氏は、大会が憲法闘争を本格的にすすめることや、地域住民の願いに応える「こんな地域と日本をつくりたい」の運動、正規・非正規の枠を超えて三十万の組合員をめざす―の三つの基調を確認したと紹介。小泉政権が狙う公務員削減などの「小さな政府」という主張が国民負担増であることを広く訴えていきたいとのべました。
 市田氏は、「こんな地域と日本をつくりたい」というスローガンは公務員問題を考えるうえで大事だと激励。国民サービスを切り捨てた結果、アメリカのハリケーン被害への救援の遅れが深刻化したことや、イギリスの民営化の学校給食に対して「ファストフードばかり」と見直しを求める運動が広がっていることにもふれ、公務員が少ない「小さな政府」で本当にいいのかを国民にわかりやすく問いかけていくため、日本共産党もがんばりたいとのべました。


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