2005年10月15日(土)「しんぶん赤旗」

労働安全衛生法など改悪案可決 時短すすまない
衆院委で笠井議員


 十四日の衆院厚生労働委員会で、「労働安全衛生法『改正』」案について、日本共産党の笠井亮衆院議員が質問。従来の厚労省の過重労働防止通達より基準を引き下げないよう強く求めました。
 笠井氏は、二〇〇二年の厚労省通達では、一カ月の残業時間が百時間を超えるか、二―六カ月間の一カ月平均の残業が八十時間を超える労働者に産業医の面接指導を求めていたのに、「百時間超の残業」「本人の申し出」がない限り産業医の面接指導をしなくてもよいとしているが、根拠を示せと迫りました。
 青木豊労働基準局長は「行政指導では事業所に徹底できない。法律で義務付けてやりたい」と答えるにとどまりました。
 笠井氏は、問題なのは「本人の申し出」だと指摘。「今の職場の状況では労働者が申し出ることは困難。不幸にして亡くなった場合、裁判に訴えても、会社側から自己責任ではと反論されかねない」と追及。「月百時間超」「本人の申し出」という条件について改めて反対を表明しました。
 笠井氏はまた、時短促進法の改廃について、政府が一九八八年以来、十八年間に、年間労働時間を千八百時間に短縮することを十九回も政府決定したにもかかわらず、正社員の年間総労働時間は二〇〇一年の千九百九十時間から〇四年の二千十五時間へと一人平均で二十五時間も長くなっていると指摘。厚労相が提出した「労働時間設定改善法案」は、時短目標「年千八百時間」を掲げ続けるのかとただしました。
 尾辻秀久厚労相は、年千八百時間の時短目標を掲げることは明言せず、大臣の指針によるとし、閣議決定は廃止することを事実上認めました。
 笠井氏は「新法は閣議決定を廃止し、厚労相指針に格下げして、労使の努力に任せるもの」と指摘。「これでは時短はすすまない。必要なのは、労基法改正で時間外労働の上限規制に踏み切るべきだ」と訴えました。


2005年10月15日(土)「しんぶん赤旗」

旧道路公団の未払い残業代 8億4500万円支払い
仁比議員の質問実る


■職員ら「世の中捨てたものではない」
 旧日本道路公団時代の職員にたいする未払い残業代約八億四千五百万円が十四日、東日本、中日本、西日本の各高速道路会社を通じて支払われました。
 同公団職員の「サービス残業」は、日本共産党の仁比聡平参院議員が今年三月の国会質問で取り上げたもの。その後、労働基準監督署が「サービス残業」を是正勧告して今回の措置となり、旧公団担当者が仁比議員に報告してきました。
 支払われたのは、今年二―三月分の未払い残業代。残業代支給の対象者は旧公団職員のほぼ全員にあたる約四千六百人。一人あたりの平均額は約十八万円にのぼります。
 仁比議員は三月十八日の参院国土交通委員会で、午前零時を回っても不夜城のように煌々(こうこう)と明かりがともる公団本社の写真を手に追及。「このままでは死んでしまいます」との公団職員の悲痛な訴えの手紙も紹介しながら、残業記録の改ざんが組織ぐるみでおこなわれている実態を告発しました。この問題については本紙(二月一日付)で報道していました。
 質問後、三月二十八日付で労働基準監督署は公団に、未払い残業代を今年二月一日に遡及(そきゅう)して支払うことを求める是正勧告をし、公団は、今年二―三月分の時間外勤務時間の実態調査をおこないました。
 公団職員の一人は「仁比議員の質問後、公団内の雰囲気がガラリと変わった。以前はサービス残業なんか当然との雰囲気があったが、今では少なくても、サービス残業は違法だという認識になっている。世の中捨てたものではない」と話しています。

■今後もきちんと監視
 仁比参院議員の話 旧道路公団は「コスト削減」と称して職員に違法なサービス残業を強いてきました。そのやり方は、タイムカードの集計を意図的に改ざんし、いくら残業しても一定時間分しか払わないという極めて悪質なやり方。今後も国民の立場から、公団民営化、談合や天下りの問題を含めきちんと監視していきたい。


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