2006年5月2日(火)「しんぶん赤旗」
格差拡大・改憲に反撃 第77回メーデー 全国371カ所で開催
社会的連帯を力に 志位委員長があいさつ
貧困と格差拡大、憲法改悪の動きに国民的な怒りと運動が広がるもとで一日、第七十七回メーデーが全国三百七十一会場で開かれました。東京では、全労連などでつくる実行委員会主催の中央メーデーが新緑の映える代々木公園で開催。トラックに「若者の力で憲法九条を守ろう」と書いた青年や、「運転手を貧困層にするな」とのプラカードを掲げたタクシー乗務員など、約四万四千人(主催者発表)の参加者が「安定した雇用と人間らしい働き方を」「憲法と教育基本法の改悪反対」と声を上げました。
「イナバウアー」と叫んで得意技を決めると、小泉首相がひっくり返る―。トラックの荷台でカラクリ模型を披露したのは東京土建台東支部の人たち。悪政を「社会的連帯でひっくりかえせ」とのアピールに、周囲から「すげえ」と感嘆と笑い声が上がりました。
式典では、代表委員の熊谷金道・全労連議長が主催者あいさつ。日本共産党の志位和夫委員長、エッセイストの朴慶南さんが連帯あいさつしました。集会後、三コースのデモ行進に沿道から「やってるな」「頑張れ」の声が飛んでいました。
熊谷全労連議長が主催者あいさつ
全労連の熊谷議長は、改憲と一体の教育基本法改悪の閣議決定に対し、「断固、糾弾したい」と強調。医療改悪や改憲のための国民投票法案を阻止するために、「全国のすべての仲間たちが職場や地域から総決起しよう」と呼びかけました。
熊谷氏は、小泉内閣が内政・外交で矛盾を深め、「構造改革」の見直しを求める国民世論が広がっていると指摘。世界でも「新自由主義」やアメリカの覇権主義反対の流れが広がっていることをあげ、「アメリカ言いなりで弱肉強食社会をつくり出している小泉政治に未来はない。政治の流れを大きく変え、希望に輝く未来『もうひとつの日本』を切り開くために、ともに奮闘しよう」と訴えました。
2006年5月2日(火)「しんぶん赤旗」
第77回中央メーデー
志位委員長のあいさつ
一日の第七十七回中央メーデーで、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった連帯あいさつは次の通りです。
(写真)連帯あいさつをのべる志位和夫委員長
第七十七回中央メーデーにお集まりのみなさん。おはようございます。私は、日本共産党を代表して、みなさんに熱い連帯のあいさつを送ります。
職場から無法を一掃し、人間らしい労働のルールを
私たちは、今年のメーデーを、小泉・自公政権が内政・外交ともにゆきづまり、暮らしと平和をまもるたたかいが、各分野で力づよく発展するなかで迎えました。
小泉「改革」の名ですすめられてきた弱肉強食の政治の害悪が、噴き出しています。とりわけ格差社会と貧困の広がりは、一大社会問題となっています。これは自然現象ではありません。その根源には、人間らしい労働を破壊してきた、財界と政治の責任があることを私はきびしく告発したいのであります。(拍手)
パートや派遣など非正規雇用労働者がふえつづけ、労働者の三人に一人、若者と女性の二人に一人に達しています。その八割以上は年収百五十万円以下という異常な低賃金で働かされ、休暇も保障されない、社会保険にも入れない、いつでも解雇される、という無法状態におかれています。人間をモノのように使い捨てるやり方を、絶対に横行させてはなりません。(拍手)
正社員のなかには、成果主義賃金がもちこまれ、労働者の命も健康もすりつぶす深刻な事態がすすんでいます。この労務管理は、大幅の賃下げをもたらし、際限ない長時間過密労働をもたらし、労働者を競争にかりたて、職場の人間関係を荒廃させ、メンタルヘルス問題、在職死、過労死をつくりだしています。
政府・財界が一体になってすすめてきたこれらの大リストラは、財界による職場支配を自らほり崩す矛盾を作り出しています。労働事故・労働災害の多発、品質の劣化、自動車のリコールの急増、鉄道や航空機での事故の続発がおこっています。労働者にこんなひどい状態をおしつけたままでは、自らの経営もなりたたない、日本経済も社会もたちゆかない――このことはいまや明りょうであります。(「そうだ」の声、拍手)
みなさん、労働者・国民の団結したたたかいによって、職場から無法を一掃し、人間らしい労働のルールを築こうではありませんか。(拍手)
国民サービス切り捨ての公務員削減をはねかえし、戦後最悪の医療大改悪法案を葬るために、力をあわせようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
「海外で戦争をする国」をつくるくわだてを国民の連帯で打ち破ろう
アメリカいいなり政治の矛盾も噴き出しています。「米軍再編」の名による基地強化おしつけにたいして、全国で自治体ぐるみのたたかいが前進しています。とりわけ、四月二十三日におこなわれた沖縄市長選挙と、岩国市長選挙で、「米軍基地強化反対」を掲げた候補者が勝利したことは、米国いいなりに基地強化をおしつけようとする政府に痛打をあたえる歴史的勝利であります。(拍手)
「米軍再編」の費用として、三兆円もの巨額の税金を投入する動きがすすんでいます。三兆円といえば、国民一人あたり二万五千円、四人家族で十万円にもなります。しかも、このお金は、本土と沖縄での米軍基地の強化とともに、アメリカの領土であるグアムの米軍基地強化にもあてられようとしています。日本の歴史にも、世界にも、類のないこの暴挙は、絶対に許すわけにはいきません。(大きな拍手)
「米軍再編」の動きは、基地強化とともに、米軍と自衛隊が一体になって海外での戦争をたたかう態勢づくり――憲法改悪の動きに直結しています。それはさらに、「戦争をする国」にふさわしい人間を育てあげる教育への変質をねらう教育基本法改悪の動きに連動しています。
みなさん、憲法を壊し、教育基本法を壊す――この歴史逆行の動きを、平和と民主主義をまもる国民の連帯の力で打ち破ろうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
「社会的連帯で、反撃を」――この旗を高く掲げ、暮らしをまもるたたかいと、平和をまもるたたかいを大きく合流させ、新しい政治への道を開きましょう。第七十七回メーデー万歳。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)
2006年5月2日(火)「しんぶん赤旗」
世界のメーデー
(写真)1日、ニューデリーで開催されたメーデー集会の参加者(豊田栄光撮影)
インド 外資開放に反対
【ニューデリー=豊田栄光】一日、インド労働組合センター(CITU)など主要ナショナルセンターが当地で合同メーデー集会を開催、約五千人が参加しました。
シン政権が進める小売業の外資開放や空港の民営化などを「国民の利益を損なう」として、反対運動の強化を呼びかけました。国際問題では、米軍のイラクからの即時撤退、イランへの経済制裁反対を訴えました。
中国 人民日報が社説
【北京=菊池敏也】中国共産党機関紙の人民日報は一日付で「労働に励み、素晴らしい生活を創造しよう」と題する社説を掲載し、メーデーを祝賀しました。
社説は、時代がどのように移り変わり、社会が発展しても、「誠心誠意、労働者階級に依拠する根本方針は揺らいではならない」と強調。また、労働者全体の素質を向上させ、「知識型、技術型、技能型、創造型」の隊列を築くことを重点課題として呼びかけました。
中国では、メーデーの集会やデモ行進はありません。五月一日から七連休です。この時期は、春の旅行シーズン。各地の観光地は観光客でにぎわいを見せます。
七連休となるのは、官公庁や大企業などが中心です。零細企業の労働者や出稼ぎ農民などは、十分に休みをとることができないのも現実です。
2006年5月2日(火)「しんぶん赤旗」
独左翼党大会おわる
WASGと組織合同へ
【ベルリン=中村美弥子】独東部ザクセン・アンハルト州ハレで二日間の日程で開かれていた左翼党第十回大会第一回総会が三十日、閉幕しました。大会はビスキー議長を再選するとともに、新役員を選出しました。南部のルートウィヒスハーフェンで開かれていた「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)の党大会も、左翼党との組織合同を正式に決定して閉幕しました。
左翼党とWASGは来年六月の合同を目指しています。左翼党大会では、WASGと連携して強力な左翼を形成する重要性が強調されました。左翼党連邦議会(下院)会派のギジ共同議長は「対等平等の立場を貫いてWASGとの合同を進めたい」と表明しました。
もう一人の共同議長であり、WASGを率いるラフォンテーヌ氏(元社会民主党党首、元蔵相)は左翼党大会に駆けつけ、「両党は資本主義に反対する明確な立場を取らなければならない。そうでなければ他党との違いがなくなる」と演説。また、「年金支給年齢の六十七歳への引き上げや付加価値税率の引き上げはとても受け入れることはできない」と述べ、メルケル政権を批判しました。
左翼党とWASGは統一選挙名簿をつくって昨年九月の連邦議会選挙をたたかい、五十三議席を獲得しました。しかし、WASG内の一部に左翼党との組織合同に反対する意見が根強くあります。
ベルリン特別市と北東部メクレンブルク・フォアポルメルン州のWASGの支部は両党の選挙合意に背き、今年九月の議会選挙で独自の候補者を立てる方針を決めました。両地域で州政府に加わっている左翼党が中央政権与党の社民党の政策を支持しているから、というのが理由です。
こうした動きに対し、ラフォンテーヌ氏は、左翼党との合同に向けWASG内の統一を呼びかけています。
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